秘密
東京へ行くことを君に話した。
日にちを伝えて、ホテルを捜してることも。

数日前、既にホテルを仮押さえしたことは秘密。
君はすぐにネットで調べだした。
ここならいいんじゃないと君が言ったホテルは
私が押さえているホテルだった。

なくなりそうだから、予約すればと言われ
誤魔化しながら、そのホテル見たことあるようなと
暴露した。

東京でのスケジュールはと聞かれ、
友達には11日に会うと話す。

11日は、あの人に逢う日。
友達と言っておけば、君はそれ以上の詮索をしない。

あの人から返事がきていた。

  私をエスコートすべく、全力を尽くすべし!


  了解いたしましたっ!

こんなノリだから、友達と言えるだろう。

君は彼以外の過去を何も知らないし
聞こうとしない。

だから私も何も言わない。
小さな嘘は、友達はオンナだと言った事。
女性にも会うから、完璧な嘘じゃない。

オンナだと言った私を絶対に疑わない。
疑わないことのほうが、私には不思議だ。

君の頭の90%は仕事で占められているから。
愛だ、恋だと言ってられる人間はお気楽だと
言うようなオトコだから。

私は、何も言わない。
嘘はつかない。
黙ってるだけ。

あの人と別れた数年前の映像が浮かぶ。
外泊したことがないと言って
泣いている私を部屋に置き去りにした。

オトコとして愛せなくなったから
ふさわしいオトコを捜してほしいと言った。

彼と付き合いだして、それでも
メールを寄越し続けた。
私の暮らす街での仕事を担当すると言った。

あの時、再会はなかったけれど
来月どうなることやら。

あの時、試そうと話していた。
できるかできないか。
現在の私の身体なら、何の憂いもない。
一つになれなかった当時の心残り。

お互いがその気になれば
私たちは試そうとするだろう。

私には、罪悪感などないから。
あの時の心残りを、今度こそと思う気持ちが
優っているなら。

私たちは一つになって
それでも、それ以上の未来を見ない。

一つになれば、現実に目を向けるだろう。
なれなかった哀しみを、なることで乗り越える。

刹那の夢
果たせなかった夢

私だけの秘密。

別れの瞬間、私は笑いながら見送るつもり。

2004年07月22日(木)

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