冬晴れであったが北風が強く何とも寒い一日となる。
日本列島が強い寒気に覆われているそうで
明日は高知県の平野部でも雪が降るかもしれない。
もう怖いなどと言ってはいられない。
「かかって来いや」と今は強気になっている。
雪が降っても槍が降っても仕事を納めに行かねばならない。
職場に着くなり支払いの段取りを始めていたが
お客さんがお正月用にと冬野菜を沢山持って来てくれた。
大根、白菜、小松菜と何と有難いことだろう。
しばし雑談をしているうちに気分がとても穏やかになった。
お昼には仕事納めを済ませたお客さんが支払いに来てくれる。
どこも不景気なのだろう。やっと年末手当を貰えたのだそうだ。
一生懸命働いて得たお金を頂きなんだか気の毒でならなかった。
けれどもおかげで同僚にお給料を支払えそうである。
とにかく真っ先に取引先への支払いを全て済ませた。
預金残高はすっかり無くなり社会保険料の分だけ残る。
一件、いつも月末に支払ってくれている会社があったが
午後になっても振り込みがなくどうやら年明けになりそうだった。
電話をしてみたが誰も出ない。もう仕事を納めてしまったのだろう。
手持ちの現金を数え同僚のお給料とボーナスを準備する。
ボーナスと云っても寸志であったが昨年並みに支給出来そうだった。
この一年同僚のおかげで成り立った会社である。
ささやかな気持ちであるがきっと伝わることだろう。
義父には同僚の半分であったが手渡せばとても喜んでくれた。
最初は「俺は要らんぞ」と遠慮していたのだが
お正月のお小遣いだと言えば内心は嬉しかったのだろう。
最後に私であるが残念ながら現金が底を尽いてしまっていた。
義父に云えば心配するだろうと思い何も言えなかった。
お正月の準備もあるが何とかなるだろうと思う。
まだ明日があるのだし少しは入金があるかもしれない。
それにしてもよくここまで出来たものだと達成感は大きい。
ぎりぎりの瀬戸際であったが会社も沈没せずに済んだ。
年が明ければまた大海に漕ぎ出して行けそうである。
追い詰められてこそではないかと思う。
平然と構えていては立ち向かう勇気も失っていたことだろう。
いつだって「かかって来いや」でなくてはならない。
明日は工場の大掃除をして事務所に鏡餅も供えよう。
そうして心の底から気持ちよく仕事を納めようと思っている。
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