小粒の雨が降ったりやんだり。傘は要らないほどの雨。
思いがけずに気温が高くなり蒸し暑くなった。
稲刈りの終わった田んぼがまた緑色になる。
それは田植えの終わった頃の光景に似ていて
なんだかはっとするような鮮やかさだった。
刈られても芽が出る。稲はとてもたくましい。
私はと言えば刈られたまま。きっと雀色なのだろう。
芽を出したいけれどそれが出来なくて少しむなしい。
このまま枯れてたまるものかと思ってはいるのだけれど。
雀色には雀色の生き方があるのだった。たとえば「いま」
そうそう雀と言えば今日仕事中に義父が外で叫ぶので
何事かと慌てて外にとび出してみたら
それはそれは沢山の雀が群れをなして庭の水溜りで水浴びをしていた。
「見てみろや、可愛らしいもんだな」なんと穏やかな義父の笑顔。
雀達は羽根をばたばたさせながらそれは気持ちよさそう。
義父とふたりでしばし見入る。なんとも穏やかなひと時だった。
そうして義父の優しさを感じる。こんなにも優しいひとだったのだ。
私も一羽の雀。群れるのは苦手なので仲間はいない。
水浴びもひとり。空を飛ぶ時もひとりが好きだった。
お気に入りの木にとまって「ちゅんちゅん」と歌う。
その歌声に聴き入るひともいない。まるで空気みたい。
雀も老いたら死ぬのだろうか。何処で死ぬのだろうか。
きっと最後の最期まで歌い続ける人生なのだとおもう。
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