夜明け前レモンのような月をあおぐ。
そよそよとずいぶんと涼しい風に吹かれながら
もの思う。そんなひと時がとても好きだった。
だからこそ踏み込んでこられるのがとても嫌で
なんとしてもじぶんを守ろうと必死になる時がある。
今日はじいちゃんのリハビリを兼ねて
海苔網を重ねる作業を二時間ほど。
5枚づつ重ねて種付けをする準備だった。
軽い作業だったけれどまだ無理は禁物で
「もっとできるぞ」と言うじいちゃんを宥めて
ほんの少しだけ。もうそれでじゅうぶんに思う。
まだまだこれからやらなければいけないことが
たくさんあるけれど決して無理をさせたくはない。
出来ないことがあってもよい。出来ることだけにしよう。
娘の38歳の誕生日だった。夜はささやかにお祝いをする。
ケーキの蝋燭をあやちゃんが83歳にしてみんなで大笑い。
娘が腰を曲げて老婆の真似をたりして笑い転げる。
私も笑いながらふっと娘が生まれた日のことを思い出していた。
産声をあげてくれなくて「お願い泣いて!」と気が狂ったように叫んだ。
助産師さんが生まれたばかりの娘のお尻をパンパン叩いてやっと泣いた。
あの元気な産声をいつまでたっても忘れることが出来ない。
生まれてきてくれたこと。そうしてふたりの孫を授けてくれたこと。
いつも明るくてひまわりのような娘にただただ感謝している。
さっちゃんありがとう。母はとても幸せな母です。
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