曇り日。気温もさほど上がらず過ごしやすい一日。
朝のうちにお大師堂へ。
先日の外国人のお遍路さんはスペイン人だったようだ。
備え付けのノートにイラスト入りで書き込んでくれていた。
解読は出来ないけれどコメントがとても嬉しく思う。
Sさんの字で「スペイン男女」と添え書きをしてあって
Sさんらしいなあと笑みがこぼれる。
お参りを終えてから母に会いに行く。
前回は孫たちが一緒だったけれど今日は一人で。
どうしたことかひどく緊張をしていた。
とにかく笑顔でと自分に言い聞かせていたけれど
母の顔を見るなり自然に笑顔になれた。
そうしてたくさんおしゃべりをする。
なんと穏やかな母の笑顔だろう。
そんな母の笑顔を見たのは初めてのような気がした。
また来るからねと約束をして部屋を出る。
「ありがとうね。ありがとうね」と母の声がこだましていた。
外に出て車に乗るなりどうしようもなく涙があふれてくる。
少女の頃に生き別れた母とやっと再会できたような気がする。
50年もの間、私と母はいったいどこを彷徨っていたのだろう。
母でもない娘でもないと見えない壁にさえぎられていたのか。
その壁がやっと今日取り払われたような気がした。
私は今日の涙を一生忘れないだろう。
お母さんもうどこにもいかないで。
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