雨と風が強くまた春の嵐のような一日。
早朝、病院にいる義妹から電話があり
姑さんの様態が少し落ち着いてきたとのこと。
やはり昨夜が峠だったのか。
頑張り屋さんの姑が無事に峠を越えたのか。
とにかく良かったと皆で胸を撫で下ろす。
今夜もう一晩付き添って様子を見るという義妹に代わって
夕方から病院へ行っていって先ほど帰ってきたところ。
娘とはいえ義妹ばかりに負担をかけるわけにはいかない。
長男の嫁なのだからと自分に言い聞かすばかり。
義妹に後を任せて家路を急ぎながらとても複雑な気持ちになった。
嫁いだ時からずっと厳しかった姑のことばかりを思い出す。
辛かったこと悲しかったことばかりに押し流されてしまう。
そんな自分が歯がゆくてならない。そしてとても情けない。
今夜は甥っ子が彼女さんと一緒にお見舞いに来てくれて
「おばあよ、目を開けれや、嫁さん連れて来たぞ」って
そうしたら姑さんの顔が一瞬微笑んだように見えた。
一生懸命に目を開けようとしている。口を動かそうとしている。
ちゃんと聞こえている。かすかでも意識があるのだとわかる。
重い空気の病室に希望の光が差し込んだような一瞬だった。
桜はもうすっかり散ってしまったと思っていた今日。
思いがけずに見つけた「ぼたん桜」
雨に打たれながらも微笑んでいるように見えた。
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