今日も曇り日。いちだんと肌寒くすっかり初冬を思わす。
おひさまが恋しい。やわらかな陽射しをいっぱいに浴びたい。
仕事から帰宅するなりあんずが叫ぶように声をあげる。 おしっこを我慢していて私の帰りを待ちかねていたようだ。
ほらほら大急ぎと全速力で土手へと駆けていく彼女。 私も引っ張られながら走った。ふぅ早くも息が切れる。
彼女はとても気持ち良さそうにおしっこをする。 その恍惚とした顔。なんともいえない顔をする。
そうしてそれが済むと今度はのんびりと歩き出す。 相変わらず草と戯れるのが好きで道草ばかりしている。
お大師堂の近くの石段の手すりに彼女を繋いだ。 それが彼女にとっていちばん嫌なことのようだ。
とにかく悲鳴のような声をあげて叫び続けている。 置いとけぼりにされるのがよほど寂しいのだろうか。 単に我がままなのだろうか。それは知る由もないけれど。
泣き叫ぶ我が子を独りぼっちにするような母の気持ちになるのだ。
けれどもそれがもう日課になってしまった。 そうして私はやっとお大師堂にお参りすることが出来る。
そこまでしなくてもとふと自分を咎めるような気持ちにもなる。
けれどもこれだけは譲れないと強気になってしまうのだった。
お大師様もきっと毎日微笑んでいることだろう。
ワンちゃん今日も泣いてますよってつぶやいているかも。
「ありがとうございました」手を合わせ何度も頭をさげて。
決して急ぐことなく彼女の元へと帰る。
そうして頭を撫でてあげるとご機嫌になる彼女であった。
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