曇り日。一気に肌寒さを感じて七分袖の服を着た。 一歩踏み出したような秋。やがてそれも深くなる。
背中を押しているのは誰だろう。振り向くのがこわくなる。 流されているのだとしたらその水は何処からくるのだろう。
平穏な日常にさざ波がたつ。ふっと大きな息を吹きかけられたように。 そこだけが揺れる。どうしようもなく揺れてただ身をまかせるばかり。
サチコがとうとう結婚を決意したらしい。その事を話し出せずにいて。 ずっと悩んでいた事を知った。あらためて家族の絆の深さを感じながら。 もしかしたら私の執着心が邪魔をしていたのかもしれないともおもった。
覚悟はしていたこと。娘の幸せを願わない親などいるはずもないのだから。 もちろんそれは淋しい。けれども泣きながら話すサチコが不憫でならない。
いつもの笑顔であっけらかんと「わたしいくよ」と言わせてあげたかった。
結婚式はしないのだという。とにかくふたりで暮らし始めることになりそう。 もう部屋探しを始めているようで。はらはらとしながら見守るしかなかった。
うす紅の秋桜が秋の日の何気ない陽だまりにゆれている。
そんな歌があった。母は縁側でアルバムをひらいてみたい。
あなたがわたしのこどもでなくなるはずがない。
わたしがあなたのははでなくなるはずがない。
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