静かな雨が降ったりやんだり。そんな日に見つける向日葵の花。 せいたかのっぽですこし首を傾げては。どこか真っ直ぐに何かを。 見つめているのだけれど。うるうるとおっきな瞳から雨粒がぽたり。
落ちる。
通勤途中。今朝もオクラのおんちゃんを見かけた。 どんなに悪天候でも。オクラの花は毎日咲くのだそうだ。 そうして実がいっぱいなって。それがどんどん育つそうな。 おっきくなり過ぎたら売り物にならなくて。だからとにかく。 毎日せっせと摘まなくてはならない。とんがり帽子みたいに。 オクラは空向きに実をつける。なんだか可愛らしい姿だこと。
職場に着きそろそろと仕事を始めた頃。そのおんちゃんがやって来た。 「ほれ、食うか?」と言って。机の上にどさっとオクラを置いてくれる。 雨のせいかそれはいつもよりピカピカ光っていて。瑞々しさこの上なく。 遠慮なく笑顔で頂戴する。今朝も見たよって言うと。にこにこと嬉しそう。
実は。ほんとうは思い出してはいけないのだけれど。私はこのおんちゃんが。 苦手だった。上得意さんで大切なお客さんなんだけど。時々すごく嫌いだった。 小言とか嫌味とかそういうのじゃなくて。なんていうか奥歯に物が挟まったような。 それがたまらなく気に障ることが多かったのだ。そうしてそんな自分自身が。
嫌だった。なんとか好きになれないものかとずっと悩んだりもしたのだった。 だけどそれが思うように出来なくて。逃げるようにトイレに隠れたこともある。
このところずっと毎朝。おんちゃんを見かける。 どしゃぶりの雨の日だって。いっしょうけんめいオクラを摘んでいるんだ。 すごいなって思う。えらいなって思う。なんか日に日に尊敬するようになった。
とても不思議な気持ちだった。今朝は心から微笑むことが出来たんだもん。
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