あづま路の道の果てよりも、なほ奥つ方。 わたしの旧姓は。なぜかその土地の呼び名であった。
祖先は平家の落人であったらしいと聞くが。定かではない。 ただ本籍地であるところが。すごく辺鄙な山里であるため。 もしかしたらそうなのかもしれないと。信じてもいるのだが。
その旧姓がとても好きだったなあと。突拍子もなく思ったりする。 最近やたらと昔を懐かしむのは。年をとった証拠かもしれないが。
10年も20年も30年前も。不思議と昨日のように思う。 とても鮮やかなのだ。いつだってその時の自分がはっきりと。 見える。そうしてそれが私の人生かと。感慨に浸ることもある。 なかなかのもんだなと。まるでドラマを観ているかのように。
だとすると。今もずっと連続ドラマの主人公をしているわけで。 この先どんなシナリオなんだろうと。ちょっとわくわくもしてくる。
しかし。台本はないし。監督は誰なんだろう。姿も見えないし。 臨機応変にアドリブもおっけいだし。撮り直しとかもないのだから。
まっ。気楽にやっとけばなんとかなるんだろうなあと思う。
あづま路の道の果てよりも、なほ奥つ方に。嵐が近くなりし夜。 どうしてわたしはここにいて。どうしてここで生きているのか。
昔よりも。もっとはるか昔を思い出してみたいものだ。
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