雪やなぎの花が咲いた。小さくて白い花がたくさん。ゆらゆらしている。 そのそばに真紅の椿が。まるでブーケみたいによりそっているのを見た。
ついこの前だったように思う。去年。その前もその前の春もその場所で。 同じ風景に出会っていることが。嬉しくて。涙ぐむほどありがたいこと。
かくじつに年を重ねている。何も変らないと思い込んでいるかもしれない。 そんな自分と。変らずにはいられないと観念している自分と。ふたりとも。 おなじ一本の蝋燭になって。来る日も来る日もその火を消すまいとしては。 いちにちが無事に終わればほっとして。また明くる日のために眠りにつく。
わからないことのために。苦しんでなどいられない。 わからないことのために。悲しんでなどいられない。
春を授かったいま。想うことは想うほどはかなくて。 これでよかったんだと。うなずくには。まだ少し時がひつよう。
だから。もすこし。だからもすこし。風にふかれていたいなと思う春。
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