目覚めるといちめんの銀世界。その純白に心を奪われるような思い。 雀が。たぶんいつもと同じ雀達がさえずっているのだけど。それが。 いったいどこにいるのやら。窓を開け広げて「ほ〜い ほ〜い」と。 呼びかけてみたりした。雀はただただちゅちゅんと鳴いているばかり。
庭に出て積もった雪に手をつっこんでみたら。20センチ位の深さ。 南国ではこれが大雪。ほんとうにこれほどの雪を見たことがないくらい。
周辺道路の殆どがチェーン規制で。家族全員自宅待機となった。 バスも鉄道も運休らしくて。学校も臨時休校になったようだ。
おかげでのんびりと過ごす。まるで時間が止ったような気さえする。 朝から何杯コーヒーを飲んだことか。とても贅沢な時間に思えた。 そのくせため息が出る。ぼんやりしていると心がむずむず痒くなるみたい。
長靴を履いて少しお散歩をしてみた。堤防の土手を。ほこほこした雪を。 一歩一歩踏みしめるように歩いていると。雪にも香りがあるように思う。 なんて表現すれば良いのか。息をするたびに胸にきゅきゅっと伝わる匂い。
思わず深呼吸をしながら。また歩く。振り向けば私だけの足跡が見えた。 そうして見つけたのは。季節外れの野あざみの花。雪あざみと呼んであげたい。 葉も茎もすっぽりと雪に埋れている。なのに花だけがそこにぽつんと咲いて。 綿帽子似合うかな?と首をかしげて問い掛けているようだった。 なんて愛らしいのだろうと。胸が熱くなる。会えて良かったなあって思う。
昼下がり。ゆっくりと太陽が見え始める。雪がきらきらと眩しく光る。 ぽとんぽとんと雫になって。雪が少しずつ落ちていく音は。少しせつない音。
残り少なくなった雪を。惜しむように。我先にとその場所を見つけては。 近所の子供達が歓声をあげている。土手を滑って遊んでいる姿に心が和む。 それはそれは楽しそうで。子供の頃にそうしたことを懐かしく思い出した。
もうすぐ立春。雪あざみに光り降り注ぐ時を待ってあげよう。 咲きたくて咲いてみた。その草むらの。その場所で。生きていると。 思いがけないことにはっとして。また空に向かって咲けるのだろう。
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