| 2005年01月11日(火) |
これから峠を越えるんですよ |
すぐ近くの高原の町では一日中雪が降っていたそうだ。 どうりで風が冷たかった。時々陽が射してはまたどんよりと暗い空。
今朝は少し気掛かりなことなどあり。それはどうしようも出来ないことだけど。 「どうか穏やかな一日を」と祈るような想いで出掛けたのだった。
長いトンネルを抜けて右へ。そこからは山道で峠を越えたら職場のある山村。 同行二人なのだけど独りきりで歩いているお遍路さんに出会った。 いつもなら軽く会釈をして追い越してしまうのだけれど、今朝はどうしてか。 クルマを停めてしまった。そしたらお遍路さんもはっとして立ち止まってくれた。
私は咄嗟に。ちょうど助手席に積んであった栄養ドリンクを提げて駆け寄る。 お遍路さんは足摺岬から次の札所へ行くのに一度道に迷ってしまったらしくて。 ほんとうにこの道で良いのかすごく不安だったらしい。 50代くらいの女性。たった独りの巡礼。心細くなることもいっぱいだろう。
「だいじょうぶですよ。ずっと真っ直ぐ。これから峠を越えるんですよ」 そう言ってあげたら。ほんとうにほっとしたようににっこりと微笑んでくれた。
そして足摺の札所で貰ったお札を下さった。なんだかすごくもったいなくて。 ほんとに貰って良いのか。手を合わせてありがたく頂いてしまう。
旅の無事を祈って別れる。クルマに戻ると颯爽と歩き始めた後ろ姿が頼もしい。 頂いたお札をよく見てみると。そこにはその方の住所と名前が書いてあった。
大阪府豊中市・・と。それを知ってすごく胸が熱くなり何と言い表せば良いのか。 涙があとからあとから溢れ出てくる。こんなにありがたいことはないと思った。
あのひとの住む町も。今朝は冷え込んだであろう。 肩を落として。どんなにか憂鬱な朝を迎えたことか・・・。 どうしてあのひとばかり辛い思いをしなければいけないのか。 ぜんぶ私ならよかった。神様はどうして私にそれを下さらないのだろう。
だけどこうして光を頂いた朝。いちばんに恵まれるのはきっとあのひと。 出口のないトンネルなどないことを。ずっとあのひとに伝えたいと思った。
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