眼鏡越し
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昨日、息子とふたりで大好きな写真屋さんに行った。 そのあと大好きなパン屋さんでクロワッサンだとかを買って 県立大の芝生の広場の大好きな木の根っこに座ってパンを食べた。 木漏れ日のまるい光の模様。 老若男女が、歩いたり読書したりバドミントンしたり凧揚げしたり。 そういうのを眺めながら、 今日は1年ちょい前までの普通の毎日の再現だったなあと思う。
この芝生の広場は以前、毎日のお散歩コースで まだおぼつかない足取りの息子と一緒にたくさん歩く練習をした。 足取りがしっかりしてきたら、 美術館前の池の鯉を見て 図書館前の鎖の雨樋を息子がジャラジャラと揺らして その裏の小高い丘に登って、 どんどんお散歩の範囲は広がってゆき・・ なーんてしみじみ感傷に浸っているのは私だけであった。 息子は引越し以前のことはなーーんにも覚えていないらしい。 この広場の事も、目の前が線路のアパートで過ごした毎日のことも。 そりゃそうだ、新しい出来事が日々待ち受けているのだ、 忘れていかなきゃ溢れちゃう。 君が忘れていく部分を記録とか記憶するのは私の仕事。
そうだ。 とても久しぶりの パン屋さんの駐車場で、車から降りる前に 「パンあるかなー」と息子は言った。 おなかが空いて無性にパンを食べたかったのだとは思うけれども、 覚えていたのかなーもしかして。なんつって。 「引越してちょくちょく来られなくなりました」と 今さらながらやっとパン屋のご主人に伝えられた。 すこしスッキリした。
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