落書きSS

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薔薇薔薇 3 日記SSからの続き
 閻魔刀か、と呟いた髭男。ネロはクレドの隣で一応大人しく彼を見据えていた。
 写真は男の・・・ダンテと言った男の手から机に放たれ、クレドの前に戻ってきた。
 偉そうに足を組んで、ダンテはソファの背もたれに体重をかける。こんな男に、なにが出来るのかと。ネロはクレドの意思がわからないでいた。
「・・どこにある?」
「フォルトゥナから北へ向かった氷河山の中に見つけました」
 クレドが地図を広げた。
 城塞都市フォルトゥナを中心にして、海に囲まれた中での、広大な島。小さな離島が周りに点在していた。
 中心の市街地から北東の位置に今いる本部。その東、市街地から北にあるミティスの森。その更に東、市街地から北東にダゴンの塔とバエルの塔がり、その北に氷河山があった。それは小さな離島だが、全てが氷に覆われ、無人島だとクレドは説明した。
 この場合、本部からミティス、塔、それから氷河山に行けばいいように見えるが、塔と氷河山の間には海が広がり、橋もない。氷河山に行くには、ミティスの森の北、炎岩に行き、そこから通じる橋でしか行けない。
「・・・数日かかりますが、準備はこちらがします。それぞれ支部がありますので、なにかあればそちらに寄っていただければ支援いたします。通達はしておきますから・・・」
「その辺は問題ない。特に支援もいらないが・・・一つ聞こう」
「なにか?」
 地図をネロに渡しつつ、クレドが顔を上げる。ネロは無言のまま地図を綺麗に畳みながら、二人の会話を聞いていた。
「地図を見るに・・・氷河山は人が行くような場所じゃあないな?───なぜここで見つけた?」
「・・・氷河山にはスパーダが暮らしていた屋敷があるのです。我々は定期的にそこを訪れ、清め、守ってきました。それが突然、氷が張り付き始め・・・氷河山支部の者が閻魔刀を見つけました。教皇様によると、閻魔刀はスパーダが持っていた刀とわかり、その後もう一度氷河山に行こうとしたのですが、氷に覆われ尽くし、悪魔も出始めたのです」
「で、アンタ方は俺になにを望むんだ。閻魔刀を手に入れるか・・・悪魔狩りか」
 す、とダンテの瞳がクレドを射抜いた。
 青く澄んだ瞳。けれど、その奥には、悪魔の鋭さが垣間見えた。ゾクリと悪寒が走ったのは、勘違いではない。
 ごくりと生唾を飲み込んだクレドは無意識に恐怖を感じていた。
 なにも悪いことをしていないのに、親に叱られる。でも違うと言えない、圧迫。
「・・・いいだろう。引き受ける」
 ダンテが瞬きすると、その瞳は何事もなかったかのようにクレドを映していた。ほ、と息を吐いたクレドは暴れる心臓を押さえ、全身に感じた疲労を押し隠す。
「あ、ありがとうございます・・・出発は・・・」
「今日は祭りをやっているんただろう?出発は明日だ」
 暗に"祭りに行く"というのがわかって、クレドは軽く頷いた。
「わかりました。よろしくお願いします。・・・道案内を兼ねてこのネロが同伴します」
「はあ!?なんで俺が・・・っ」
「ネロ!慎め」
「・・・っ」
 胸倉を掴むほどの勢いでネロが立ち上がる。クレドに抗議しようとしたが、彼の一言に大人しく座った。
 が、納得はしていないらしい。
「お嬢ちゃんの言う通りだ。俺は一人で行く」
「ですが・・・っ」
「・・・それとも、教団の人間を同行させる理由があるのか?」
「い、いえ。地図では簡単に見えますが、実際には複雑なので・・・慣れなていないと・・・」
「俺が普通の人間じゃないことは知ってるな」
「・・・はい」
「なら同行はいらない。OK?」
「わ、かり・・・ました・・・」
 膝の上でクレドが強く拳を握る。女だから、と馬鹿にされた気分になったネロだったがクレドに叱られるのもイヤなのでダンテを睨むだけに抑えていく。鼻で笑われて、銃を抜く寸前だったのは、クレドにはばれていなかった。

  
    
2008年07月06日(日)


1Dにょたな話

 
 夏。
 熱い。
 
 ・・・確かに熱いのはわかる。
 が。

 いくらなんでもそれはないだろう、と2Dは目を覆った。

 
 薄手の白いシャツに腕を通しただけの1Dが自分の指定席に座っていた。
 男性用のトランクスが彼女にとっては短パンになっていて、シャツを羽織っているのはいいけれど、ボタンが止まっていなくて胸が丸見え。
 そんな格好で、雑誌を読み、コーヒーを飲み、ストロベリーサンデーを食べる姿。
 
 自覚がないって、恐ろしい。

「オイ、ダンテ」
「ん?」
「せめてボタンを・・・」
 と、2Dが手を伸ばす。シャツのボタンを留めようとして、でも、止まったのは2Dの手だった。

 ボタンがはまらない。
 無理に寄せてボタンを留めようとすると。

「・・・痛いんですけど」
 胸を押しつぶしてまったようだ。
「どうせ客なんか来ないんだからこのままでもいいだろ」
「───いいのか?」
「出かけるときくらいはちゃんと着るさ。でもこんだけ暑いんだから、ココにいる間はいいだろ」
 ラフなかっこうでも許せよ、と言うが、ラフすぎるというのが彼女には分からないらしい。
 せめて、胸を隠して欲しい。さらに言えば、ちゃんとしたズボンを。

「・・・でかけてくる」
「服なら買ってこなくていいぜ」
 踵を返して颯爽と事務所から出て行こうとする2Dの行動を予想した1Dはそれを止めた。
「だって、そのうち戻るかもしんないし。女の服なんて着たくないし」
 だからアンタのシャツ着てる。
 そうは言っても、1Dも2Dも細身で、女性体になったからと言って胸が膨らんだ1Dには胸元だけが苦しくなってしまう。
 もう一つ大きめのサイズを用意すればいいだろうかと考えつつ2Dはふと、1Dをまじまじと見た。

 仮にも恋人で、女の体でシャツを着ている。

「・・・これが萌え、なのか・・・?」
 と小さく呟いて1Dに歩み寄り、簡単にその身を抱き上げると変わりに椅子に座った。
「ちょ、なんだよ」
「その格好で許す代わりに、こうしていろ」
 体位で言うなら正面座位。2Dの腰に跨るように座った1Dの胸元に2Dが唇を寄せて。

 可愛らしい喘ぎ声が聞こえてくるまであと数分。


 
 1Dが女の子になったと聞いて、服を提供しようかと訪れたレディとルシアが事務所に入れなかったのを彼らは知らない。
 
2008年07月05日(土)


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