橋の向こう側。
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「最近、藤ちゃん元気ないから心配です。」
藤ちゃん、というのはあたしのコト。名字が藤井だから藤ちゃん。 大人になると名前で呼ばれることが本当に少なくなった。今、あたしを名前で呼ぶのはこっちではしゅうちゃんだけだ。
あたしのコトを心配してくれてるのは、バイト先の先輩であたしとしゅうちゃん共通の知り合いである桐山君。 あたしはこの人を兄のように慕っていて、心が弱いあたしはしょっちゅうこの人に助けてもらっている。
とてもかっこよくて、優しい人。しゅうちゃんがいなかったらあたしはこの人に恋焦がれたこと間違いないです(笑)
「俺には藤ちゃんと、まっつん(しゅうちゃんのコト。松本だから)の問題は解決してあげるコトできんケド、二人には幸せになってもらいたいと思ってるよ。辛いかもしれんケド、頑張ってな。」
「…桐山君、変な質問していいですか?」
「うん、何?」
「桐山君も結婚とか彼女さんに言われたら、やっぱうっとーしいですか?」
「俺はもう女と付き合って6年になるし、迷惑もかけたし就職とかちゃんとしてから結婚しなあかんなと思ってるよ。…ただ俺は基本一人が好きやから急かされると悩むとこもあるねんなぁ。 まっつんは自由人やから、余計そういうのにしばられるん嫌なんかもなぁ。…藤ちゃん、今からいうことまっつんにゆったらあかんで?」
「はい、了解しました〜で?」
「まっつんな、結婚とかもしするとしたら藤ちゃんしかおらんゆーとったで。」
今まで考えてたコトがすべて吹っ飛ぶくらい嬉しかった。 例え、これが。桐山君の気をつかった優しい嘘だったとしても。 本当にしゅうちゃんが言ったことだとしても。
それは、あたしが欲しかった言葉だったから。
単純だ、とは思うけど。まだまだあたしはしゅうちゃんがすきで。 まだうねうねと、考え続けながら傍にいるコトはわかってたから。 希望を持って待っていられる言葉を誰かに言ってもらいたかったのだ。
「それ、直接言われる日を願ってます…」
そう、笑ってみせた。 ありがとう、桐山君。あたしを心配してくれて。
しゅうちゃん、ごめん。あたし相当しつこい女みたい。なんだかんだ言ってまだ離れられないみたい。
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