My life as a cat
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2018年08月11日(土) 森の家の午後




リュカの仕事仲間が家に招待してくれた。森の中の広大な敷地。そしてその中に建つこじんまりとした家。中から家主のファブリスがパンツ一枚で出迎えてくれる。この人は野生児みたいで、いつもこんな感じ。よく食べて、よく飲んで、よく遊ぶ。爽快でとても好感の持てる人。正午に集合というと、みんな揃うのは14時頃というラテン節。のろりのろりと適当に飲んで適当に食べる。わたしはオーブンを借りてローズマリーのフォカッチャを焼いた。癖のわからない他人のオーブンでいまいち成功とは呼べなかったが、子供も大人もフランス人もイタリア人もみんなうめー!とガツガツ手が伸びてすぐに売り切れてしまった。デザートにはイタリア人の男の子が作ってきた正統派ティラミスとわたしが作ったレモンと紅茶のティラミスとマチェドニアが揃い、これもガツガツ手が伸びてすぐに売り切れた。みんなこう食欲旺盛だと気持ちがいい。メンバーはわたし以外みんなラティーノだったわけだが、食事中にイタリア人の男の子が話していたことが面白かった。

「西オーストラリアに1年住んでたけど、アングロ・サクソンには馴染めなかったな。いつもはにこにこしてて礼儀正しいのに、飲むと胸ぐら掴みあって喧嘩してたりしてさぁ。その点メキシコへ行ったときは家に帰ったようにすんなり馴染めた」

あぁ、確かにそうかも。ラティーノは時間守らないとか、仕事を最後までやり遂げないとか、女たらしとか、テキトーな感じの人は確かに多いけれど、酒を飲んで暴力的になるとかそういう人はなかなか見ない。

食べ物という食べ物が全部なくなると男性陣はペタンクで遊び始めて、女性陣はカフェを飲んでおしゃべり。この素敵な家の家主のファブリスとエミリーはなんと出会って25年、一緒になって20年になる。20歳になる息子もいる。そのふたりがなんと来年やっと結婚することに決めたという。何がきっかけでそう決めたのかと聞くと、法的に一緒にいないとどちらかが死んだりしたらお互いにお金とか手つけられないから、というそっけない答えがかえってきた。でも、法的にしばられてなくてもそんな長い間一緒にいたのだもの、相当強い絆で結ばれているのだろうな。結婚の話で盛り上がっているところに、ペタンクに興じていたファブリスが走ってきた。

「ふは〜。喉が渇いた」

とレモンチェロをラッパ飲みしてゲームに戻って行った。

鳥のさえずりと人間の声しか聞こえない静かな森の家での午後は平穏にゆっくりゆっくり過ぎていった。

夜はリュカとカセドラルで開かれたアマチュアのオペラのコンサートを観に行った。カセドラルの建物の構造やこの南仏の乾いた空気のせいだろう、とにかく音の迫力が凄い。打ち上げ花火を見ている時のように心臓が震えた。

帰り道ファブリスとエミリーの結婚の話になった。

「結婚するのかぁ。しかも6月。市役所の式の後に家で簡単な小さなパーティー・・・ってまるでわたし達の結婚式と同じ。わたし達の結婚式がすごい素敵だったから感化されたに違いないよ」

「あっ!絶対そう!」

結婚するふたりとおなじくらいわたし達の頭もめでたいのであった。

Michelina |MAIL