梨子の日記
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50メートル向こうから歩いてくる姿を見つけてしまった。 今日は、もしかしたら会えるかもしれない日。 期待はあったけれど、まさか遭えるとは。
気がついてしまったというより、探していたんでしょう。 だけど。 遭えた嬉しさとは裏腹に・・・・
すれ違わないように、反対側に早めに進路変更する。 挨拶しなくてもいいように。
クールで無表情な人なので、挨拶しても反応がこないのは なにより恥ずかしい。
黒の上着。 黒っぽいズボン。 認知するのはそれで精一杯だった。
私は、ホットコーヒーを握り締め ”貴方になんか気がついてないよ!”を 必死で装い、できる限り感情を押し殺して。 行きかう人々の流れに乗って すれ違った。
普通の日常。 当たり前に始まる一日の朝。 一週間に一度のささやかなときめき。
貴方に会える・・・・かもしれない特別な金曜日。
永久に告白することはない。 貴方がもし、もうここにくる必要がなくなったら 遭うこともないし、一緒に仕事することもない。
こんな瞬間を心の中につなぎ合わせながら・・・・
私は自分の人生から、けっして目を離さず。 静かに日常を送る。
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