書泉シランデの日記

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イスタンブール
2006年08月04日(金)

ずいぶん更新をごぶさたしてしまいました。
てんこ盛りの諸般の事情がありますが、まあ、それはそれとして、ごく最近の出来事は、イスタンブールへ行ったことです。

そもそもの動機はビザンチン美術が見たい、ついで、オスマン帝国の遺産が見たい、でした。

イスタンブールに限ってですが、ずいぶん丹念に見て歩くことができました。その間に、美術以外のいろんなこと ― 政治とか歴史とか宗教とか人の暮らしとか ― に思いを馳せることが何度もあり、イスラムについてはこれから一生気になりそうな気配です。

トルコ人は親日的だとかよく言いますが、確かにそのなつっこさは半端じゃありません。客引きじゃない、いい年をした大人が「コンニチハ!」なので、私もすっかり愛想よくなってしまいました。道を聞くと、いい加減な情報でもすごく親切に教えてくれます。迷って困るのはこちらですが、そのご好意はありがたい・・・バス停でバスを待てば、「ここなら日が当たらんぞ」と日影を教えてくれて、バスが来ると声をかけてくれます。東京ではこんなこと、ありえませんね。

カッパドキアに行かないのはまだしも、ボスポラス観光船に乗らないでは帰国して人に会わせる顔がなかろう、と乗りたくもないのに乗りにいき(夫は乗りたがった)、安い船に乗ったら、日本人ゼロの多国籍船でいろんな国の家族が乗っていて、私は景色より船内のガキども、いえ、お子様がたの様子が面白かったです。もしかして、日本の子供って世界で稀に見る表情の悪い子供なんじゃないかしら。

トルコの女の人は、私たちと同じように半そででジーパンで、という人もいますが、目だけ出す黒チャドルで原理主義者かなあ、という人もいれば、カラフルなスカーフで髪を覆って長袖という人もいます。どちらかといえば、スカーフ長袖が目につきましたが、しゃれたオフィス街では逆転するのかもしれません。私の知り合いの奥さんやその妹さんは半そでジーパン組でした。

で、そのスカーフ長袖さんたち、私たちから見れば、暑いのに何が嬉しくてそんななりをしているの、ってところです。考え方だってひどく古めかしいように思えます。ところが、見てしまったのです。夕暮の木陰で彼氏とご親密なご様子。・・・とっても安心しました!
(そういえば、入国手続きのところで、平然と割り込んできたのもスカーフ長袖姐さんだった。世俗のルールは信仰とは無関係らしい。)

有名なトプカプ宮殿(15C)は素晴らしかったです。金閣寺なんて虫かごのように思えました。それと同様に素晴らしいはずのドルマバフチェ宮殿(19C 西洋バロック建築)なのですが、豪壮で美しいことは確かなものの、なんだか情ない気がしました。国が衰微するときって、わけもなく他国のまねをするように仕向けられるのかもしれません。

今のトルコはEUに入りたい一心のように思えます。「国際法上はヨーロッパ」という声も聞きます。(ちなみに携帯電話ではアジア、旅行保険はヨーロッパ)たぶんトルコ経済にとってはそのほうが有利なのでしょうし、イランやイラクといっしょくたにされたくないという思いもあるかもしれません。そのあたり、同じアジアの東の端の国の西欧志向と似たものを感じますが、でもそれでいいのかしらん、というのが私の大きな疑問です。グローバルスタンダードという名のもとに、とにかく西欧のルール、もっといえばアメリカのルールで物事を進めることが要請されますが、本当にそれが正しい選択なのでしょうかね???

長々と書いてしまいました。
とにかく、トルコ、面白いです。

さて、最近さぼりがちな「書泉シランデ」、この先もさぼらざるを得ない理由が多々ありまして、当分閉店をすることに決めました。つまらないものを読んでくださった皆様に厚く御礼申し上げます。



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