一橋的雑記所

目次&月別まとめ読み過去未来


2006年03月25日(土) もしかしなくても、『月下』の続き(えー)。※ホントは、081208.

バックアップを兼ねて(何)。



開け放した扉の向こうから、冴えた月明かりと夜の気配。
何故だか眠れないまま、臥室に身を起こしてさわさわと寄せ返す雲海のざわめきを聴くともなく聴いていた。
もう、何日になるだろう。
下手をすれば溢れそうな感情を制して、職分を全うする事だけに専念する毎日。
もの問いたげな主の表情に気づかぬ振りをするのは、時折顔を合わせる百官の長の何もかも心得た風な穏やかな笑顔に激昂しそうになるのを抑えるよりも、正直な所、辛かった。
でも、それ以上に辛いのは。
日増しに胸の中に降り積もる、失望にも似た悔しさ。自分は一体、何を思い上がっていたのだろう。信頼を勝ち得るだけの何ものをも為しては居なかった。そんな己を棚に上げて、どうして主を……彼女を責められるのか。

「情けない、かな……」

結局の所、自分はまだ何一つ、変われてはいない。偏狭な価値観に捕らわれ守られ、自分の正しさに疑問すら抱かなかったあの頃から。
だから、遠ざけられたのだ。あの場から。
あの時、もし自分がその場に居たとしても、彼女は、自らの命を暗殺者の刃に晒した事だろう。自分が真にしなくてはいけなかったのは恐らく、身を挺して彼女を庇う事でも、王の身で凶刃にその命を晒そうとした行為を責める事でも無い。
あの、怜悧過ぎる程怜悧な男の掌に乗せられて初めて気づいた事が、ひたすらに悔しかった。何より、誰より、自ら気付けなければいけない事だったのに。

かき合わせた夜着の隙間に忍び寄る冷気すら生ぬるく感じられる程、悔しさに熱を帯びる胸をそっと抑える。
今は遠い故国の玉座を文字通り身を以て守るあの人を思う。
この国を……この国の主を守ると決めた時にやっと知ることの出来た、あの人の思い。けれど結局それは、知り得ただけでしか無かったのだと思い知らされたようだった。

「……ほんと、情けないったら」

唇を噛み締め、身を折り、堪える。
これ以上、みっとも無い真似はしたくない。でも。
食いしばった歯列の間を縫ってともすればこぼれ落ちそうな呻きを、何とか堪えようとした、その矢先だった。

「祥瓊……?」

今、一番聴きたくて、でも聴きたくなかった声が、潮騒にかき消される事無く、真っ直ぐに耳朶を打った。

「ごめん、もう寝んでるかな」

年頃を思えばそっけない程に低く、なのに、良く透る声は、主の特徴の一つだった。知らぬ人が聴けばぶっきらぼうを通り越して平坦に感じる程、感情を伺わせない声音はけれども、不器用で嘘のない人柄の故。本当にどうでも良い事を話したり、隠したい事がある時程、人は、際限なく愛想の良い声を出せるものだ。良い悪い、では無く。

「良かったら、少し話したかったんだけど……こんな時間になってしまって……」

独り言めいた声と言葉に、酷く胸が痛む。答えたかった。自分はちゃんとこうして起きていて、あなたの言葉に確かに耳を傾けている、と。
けどでも、口を開けば、言葉よりも先に気持ちが溢れてしまいそうで、いっそう強く唇を噛み締める。

「祥瓊が、ここ暫く、私と話してくれなくなった事、その訳も、分かっているから。分かっているのに、ごめん、私は……」

主の声が、穏かなまま途切れる。不器用で、その癖、酷く潔くて。自分が正しいと信じたことの為には何もかも飲み込んで突き進むだけの信念を持ちながら、けれども、王として相応しくない自分の事は、いつ投げ出しても構わないと本気で思っている。その生き方そのままの声音に、熱を帯びた胸の奥底が苦しいまでに痛んだ。
無私が虚無にどれ程近いものかをまだ知らない、若い王の声。
その側近くに寄り添い、その治世を見届ける事でかつての己の罪を償おうと考えている自分に、出来る事などたかが知れている、けれども。

「……分かっているなら、良いのよ」

小さな溜息の後、深夜の冷気を胸深く吸い込んだ後、声を励まし答える。

「祥瓊? 起きてたんだ」
「起きてるわよ」

臥室の帳を掻き分けて、ひやり底冷えのする床へと足を落とす。

「陽子こそ。政務でも無い夜更かしは感心しませんわよ、主上?」
「……眠れなかったから」

冗談交じりの言葉にまともに答えながら躊躇う素振りを見せる彼女に、肩を竦めて見せた。

「そんな所に長居してたら身体に毒よ? 幾ら神仙の身でも」

手招くと、大人しく従ってやってきた。
こんな刻限になってもまだ起きて何かしていたのか、いつもの簡素な官服にも軽く結い上げた髪にも少しの乱れもなく、かといって、疲れた様子も伺えない横顔は、いつもどおりの穏やかな無表情だった。似たもの主従、とは言うけれども、主が従えるこの国の麒麟の文字通りの無表情とは随分と異なる印象を与えるものだと、どうでも良い考えが脳裏を横切った。もしかしたら、見とれていたのかもしれない。

「来る途中、浩瀚に逢った」

だから、唐突に零された主の言葉の意味を一瞬、取り損ねた。

「……冢宰に?」
「うん。眠れなくて走廊伝いにぼんやり歩いていたら、途中で彼の居拠に行き当たったらしくて。王宮って何処でもこんな造りになっているのかな」

遥か雲上に存在する王宮の、所謂内宮は、王とその側近の住まいとして特別な呪法が施されている。生まれ着いての王族どころか、異世界に生まれ育った主には、その意味や理由を学ぶ機会が無かったのも道理、と溜息を零した。

「王宮の主には、全てを掌握する権利と義務があるものだから」
「ああ、うん、そうだね」

飲み込みの早い主は、あっさりと頷いた。

「だから、夜幾らほっつき歩いても誰も咎めないし、後を付けて行こうにも、王と同じ道を行けるのは台輔だけだけど、程ほどにね」
「うん、気をつける」

生真面目に頷いてから、もう一度、ごめん、と頭を下げられた。そういう意味では無かったのだけれども、と思いはしても、口にはしなかった。気付けば、いつもと代わらない会話がそこにあって、主は、特に思い詰めた風でも無い。その事に安心している自分が、辛い。

「……祥瓊」
「ん」
「すまなかった」
「もう良いわよ」

真っ直ぐな、曇りの無い、強い輝きを内に秘めた翠の瞳を見つめ返す。

「浩瀚からも、すまなかったと伝えてくれ、と。……わたしには、良く分からなかったんだけれども」
「……そうね、私にも良く分からないけど、」

明らかな嘘を吐きながら、目を逸らさず微笑んで見せた。

「あの冢宰に貸しを作れる機会は滅多になさそうだから、受け取っておくわ」
「違いない」

主は、屈託の無い透明な笑みを浮かべた後、視線を落とした。

「……今回の事、多分、色んな人を怒らせたし失望させたと思う。本当にこの国の事を思うなら、簡単に、命を投げ出すような真似はしてはならないって、本当はそう思う。けどでも、わたしは……」
「陽子」

訥々と話し始めた主を、強く遮る。驚いたように顔を上げた彼女を制して、自分のものよりも少し低いところにある肩に手を置くと、力を込めてとん、と押しやった。完全に虚を突かれたのか、見た目以上に軽いその身体は、軽い帳を押しやって、臥室の中に倒れ込んだ。

「……祥瓊?」
「ねえ、陽子。私は、私たちは、何の為にここに居るの?」
「……え?」
「王は、玉座に居ないといけないものなの。人の暮らしを安寧なものに保つ為に。それは分かっているでしょ?」

柔らかな寝具に仰向けに倒れたまま、主の瞳は真っ直ぐこちらに注がれている。一見すれば、年頃の娘たちよりも明らかに華奢で小柄なその身体には、天命に選ばれた王の血が流れていて、そこには、この国とその大地に安寧を齎す約束が秘められている。

「先ずはそれを全うして。この国の民に、飢えずに済むだけの実りを齎す時間を与えてあげて。あなたがそれすら出来ないような王だっていうのなら、」

主の、曇りの無い真っ直ぐな瞳を、真っ向から見返しながら、身を屈める。その肩にそっと手を添えた後、ゆっくりとその咽喉元へと手を伸ばし、酷く痛む胸には気付かないように、強く、微笑んだ。

「私が、倒してあげる。今直ぐにでも」

瞬間、大きく見開かれた主の……彼女の目が、ゆっくりと細められ、それから、逸らされた。

「……すまなかった。わたしは、随分と、甘ったれていたんだな」

違う、と即座に否定してあげたい気持ちを必死で押さえ込んで、緩く首を左右に振った。

「甘ったれている訳じゃないとは思うけど……でも、うん、これは、陽子一人の話じゃなくて、」

月渓、あなたはどんな風に、王を……父を見ていたのだろう。
共に理想を抱いて、憧れて、信じたくて、庇いたくて。
その想いだけでは、何もかもが全う出来なくて。
失いたくないものを、どうすれば守れただろう。
何度、そう自らに問いかけて、迷い続けた最後に。
残されたその道を、選んだのだろう。

「私は、陽子が王だから友だちになった訳じゃないけど、でも、陽子は王だから。王である陽子とずっと一緒に居たいから、」

不意に、今更こみ上げてきた何かに、思わず言葉が詰まる。こんな所で、と悔しさが押し寄せても、自分ではどうにも出来ないと分かって、情けなさがいや増した。
こんな事では、本当に伝えたかったのは、分かって欲しかったのは何だったのか、結局、自分の気持ちだけのようで、悔しかった。

「祥瓊……」

倒れ込んだまま、彼女はその手を差し伸べる。頬に触れた指が、そのまま目尻へと動いていく。

「有難う、祥瓊」

微笑むように、何かを堪えるように、彼女の眉が下がり、眼差しが細められる。ゆっくりと伸ばされたもう一方の手が、首の後ろへと回り、引き寄せられる。
有難う、と何度も繰り返すその声が酷く静かで。
ああ、主は……彼女は多分、何もかも分かっているのかもしれない、分かっている自分に気付けないだけなのかもしれない、そう思った。
気付けば、潮騒はすっかりと止み、開け放たれた扉の向こうから、遠く西へと傾いた月の光が、臥室の帳を照らし出す場所にまで届いていた。




― 了 ―




2006年03月24日(金)

※ホントは、081122。
ひっそりと、こそこそと、似ても似つかぬ2.5次元。
時々、考える事、考えざるを、得ないこと。
現実的な事。
多分、終わりのない不安。










心配なんかしたって仕方ない。
伝え聞く話だけじゃ、あの子のホントは一つも伝わらないから。
あたしは、いつもどおり、過ごすだけ。









このタイミングで、って思わないでも無かった。
長い付き合いになるあの人も、ちょっとだけ気まずそうに視線を逸らした。
でも、丁度良いのかも知れない。
一日中切れ目無く、お仕事が続いていれば、余計な事、考えずに済むし。
余計な事、かあ、って、少しだけ思ったけど。

お家の回線っていうかPCがご機嫌斜めで、帰っても何処も見に行く気になれなくてさっさと電源を落とす。そしたらする事なんて、台本の下読みとかデモのチェックとかそんな位しか無くて、ぼんやりとお風呂入ってぼんやりとお湯沸かしてぼんやりとお茶飲みながらソファにだらりと寝そべってみる。そろそろ肌寒いなあって思うけど、衣替えも何も手に付かなくて、ホント、この時期って面倒だ。
DSのアクセント辞書を傍らにマーカー持って台本と睨めっこしていたら、テーブルの上の携帯が出し抜けにぶるぶるっ震えて吃驚する。お仕事関係かなあと手に取って、もっと吃驚した。

――ご無沙汰してます。今から立ち寄っても良いですか?

絵文字も何も無い、滅茶苦茶そっけない画面に固まった。
一体どんな返事を返せっていうのだろう。
差出人の名前に間違いない事を何度か確認していたら、突然ピンポンが鳴り響いて、さっきの比じゃない位にびくっとする。
間違い無い。
でも、らしくない。
らしくない理由は分かるけどでも。
兎に角あたしは、思考を停止して立ち上がると、インターフォンは無視して玄関に向った。

「……すみません、いきなりで」

あの子は、いつもどおりのきらっきらな目であたしを見上げた。
ちょっとだけ、ほっぺたがほっそりして見えるのは気のせいかな。
開いたドアの向こう、敷居を跨がない位置で畏まったように佇む姿は、いつもどおりちっさい癖に、あたしの視界一杯を埋め尽くす存在感に溢れている。

「今日、愛媛から帰ってきて。あの、お土産があって」
「お土産?」
「生もの、だから、その、早く手渡したくて。あ、ゆかりさん、蒲鉾とか大丈夫でしたっけ?」
「蒲鉾?」

良く見たらあの子はおっきな旅行鞄を肩から提げてて、それを直に足元に置いたかと思うと、中から保冷バッグっぽいきらきらした袋を取り出した。

「そのまま食べても、煮物に入れても美味しいんですよ、これ。うちの母のお薦めで……あの良かったら」
「あ、うん」

困ったような笑顔のまま視線は落ちたまま、きらきらの袋を押し付けられて、ぼんやりと受け取ってしまったら、微妙な沈黙がその場に下りた。何とも、居たたまれない。

「……奈々ちゃん」
「あ、はい」
「折角だから、寄ってく?」

明日もお仕事だし、あの子の都合も良く知らなかったけど、でも、気付けばそんな言葉をあたしは、口走っていた。

「や、えと、あの、こんな時間ですし」
「タクシー待たせてる?」
「いえ、今日は電車で」
「なら良いじゃん、ゆかりちょうど、お茶してたとこだし」
「いや、でも……」
「蒲鉾、一緒に食べよ?」
「え?」

多分、何でも良かったのだと思う。
あの子を、今、引きとめることが出来るのなら。
玄関先で少し躊躇う素振りを見せた後、あの子は小さく頷いた。
ほっとしてくるりと背中を向けた一瞬、ドアを開いたまま足元の鞄の中からあの子が何かを取り出すのが見えた。小さく折り畳まれた紙、みたいなもの。
ちょっとだけ、知ってる。その中に入っているものの意味。
あたしは、見なかった振りで、そのまま先に奥へと足を向けた。


キッチンへ直行して、取敢えずお茶を沸かし直す。
蒲鉾に合う飲み物って何だろう。やっぱしお茶かなあと首を捻りながらティーバックを探す。紅茶は頂き物とか差し入れとかで葉っぱを貰う事多いけど、何故だかお茶っ葉を頂く機会は全くと言って言い程無いから、これは致し方無いと思う。

「あ、ゆかりさん、お茶なら私が」
「え?」

あたしの所に遊びに来る時の習慣からか、あの子がいそいそとキッチンにやってきて、ダイニングの椅子に鞄を置いて、背凭れにジャンバーを引っ掛ける。

「何でー。今日は奈々ちゃん、お客様なんだから」

いつもは何だって言うんだろう、って言ってから思いつつその肩を押しやろうとしたら、少しだけ唇を尖らせながら、あの子は首を振った。

「私が淹れたいんです」

何処か頑固な所のあるあの子が時々見せる頑なな態度。何もこんな時まで、と思わないでも無かったけどでも。

「分かった。ゆかりが淹れるよりも美味しいもんね」
「え、あの、そういう意味じゃ、」

素直に譲ったのに途端に慌て始めるあの子に、小さく苦笑い。

「褒めてるんだよ?」
「……っ」

吃驚したように目を見開いたあの子の顔に、ちょっとだけ失敗したかな、とこっそり反省。いつもらしくないのは確実に、あたしの方だ。

「だから、絶対美味しいの淹れてねー」
「あ、えと、はいっ」

ティーバックをはい、と差し出すと、反射的に上を向いて広げられるあの子の掌。いつもなら綺麗に彩られている筈の爪が、飾り気の無いまま指の向こうに白く光っているのが切ないなんて、あたしの勝手な思い込み。そういう事に、した。


折角だから、あの子がお茶の仕度している間にと、きらきらした袋から中身を取り出して、まな板とか出して包丁なんか握ったら、あの子はぎょっとしたようにこちらを振り返った。

「ええと、何してるんです?」
「蒲鉾、切ろうと思って」
「あの、包丁要りませんよ、そのまま食べられますから」
「え、そうなの?」

そういえば、板付いてないし真空パックだし、寧ろキッチン鋏の出番かな、と思いつつ包丁は仕舞い直して、食器棚からパン皿を一枚だけ取り出した。

「あのー、ゆかりさん」
「なにー?」
「茶筒とかって流石に持ってないですよね?」
「ちゃづつ?」

キッチンテーブルで蒲鉾のパックを切って中身をお皿に空けつつ振り返ると、銀色の袋を手にしたあの子がむう、と眉根を寄せていた。

「お茶の葉持ってきたんですけど、残りをどうしようかと」
「……あー、ええと、タッパでも良い?」

咄嗟に答えたあたしに、あの子は眉根を寄せたまま少し唸ってから、湿気させ防げたらいっか、って小声で呟いた。

「なーなちゃん、言いたいことあったらもっと大きな声でー」
「え、や、その、別に私は、」
「これで良いかなー?」

差し出した、レンジにも使える優れものな容器に、あ、大丈夫です、と応えてあの子はそのままあたしに背を向けた。

「あのさー」
「はい?」
「茶筒、買っても良いよ、せっかくだから」
「……はい?」

振り返ったあの子が、きょとんとした顔を見せる。
いつもよりちょっとだけ無防備な、疲れた顔。
あたしは、上手く笑えてる自信が無くて、少し俯いた。

「今度はいつお休みになりそう? 分かったら知らせて」
「……あ、はい」

酷くぼんやりとした声が返ってきたのを確認してから、あたしは、蒲鉾を乗せたお皿を手に、リビングへ向った。





……続くかもです(何)。










2006年03月23日(木)

書きかけ。
つか思いつくままのだらだら書きなので。
気が付いたら消えているかもしれません(えー)。


見つけてしまった方は。
いずれ決着付くまでは。
完全スルーな方向で一つ(何)。









ずっと、どきどきしてる。


いつものラジオ収録がやっと終わり、相方の子やスタッフさんたちに挨拶するのもそこそこに、局を後にした。
今週はスケジュールの関係で録りの日程が重ならなくて、しかも色々あって、彼女が今何処にいて何をしているのかも全く分からない状態だった。明日がオフなことは知っていたから、焦る気持ちを抑えながら携帯を開く。当然、メールも着信も無い。少なからずがっかりした気分になりつつ、訳も無く辺りを見渡した。

「……どうしようかな」

仕事中ならアウトな時間帯だったけれども、ダメ元で直接掛けてみる。
単調な呼び出し音は、留守番電話転送ぎりぎりのタイミングで消え、物凄く気だるい声が私の鼓膜と心を振るわせた。






― Your heart sound. ―






途中、友だちに教えて貰った美味しいケーキ屋さんに立ち寄って、手土産を買い込んだ。
彼女は実際、お付き合を始める以前に想像していた以上に気難しくて我侭で好き嫌いが多い人で、何が好きで何が苦手で何が嫌いなのか正直、私には今以て、ほとんど把握出来ていない気がしている。
たとえば、付き合い始めた頃うっかりと彼女的には辛さ全然控え目じゃないカレーを食べさせてしまった時は、危うく一週間口を利いて貰えなくなる事態にまで発展して本当に大変だった。以来、彼女に何か振舞う時は、地雷避けに種類を出来るだけ沢山揃えるように心掛けている。それはそれで「奈々ちゃん無駄遣いし過ぎ。絶対将来困る」とばっさりなんだけど、私が原因で彼女を涙目にしてしまうよりはよほどマシだと思うことにしている。
だからケーキ屋さんでも散々迷って、でもそんなに時間はかけられないから最後はお店の人にまでアドバイスを求めたりして絞り込んだ結果、フルーツたっぷりのタルトと、桃のジュレをあしらったレアチーズケーキ、それから果糖を使ってあっさり仕上げたそのお店定番のショートケーキ、この三つが今私が手にしている小箱の中にちんまりと収まる事になった。
喜んでくれるかな。
くれると良いな。
その先に待っている諸々には敢えて意識を飛ばさないようにして、膝の上数センチに浮かすように捧げ持った小箱をそっと、爪の先で撫でてみる。
これくらいで彼女が嬉しい素振りなんて見せてくれるとは勿論、考えていないけれども。
何も無いよりは多分きっと、ましなんじゃないかなあって思うから。
溜息をつきながら、待っててくれたタクシーのシートに再び深々と身を沈ませて、私は何故だか複雑に幸せな気分だった。



週に1、2回はお邪魔しているから、エントランスのロックコードにもエレベータで押す唯一のボタンにも、この指は慣れたものだった。
普段使いの大振りな鞄にうっかり当たってしまって崩れたりしないようにケーキの箱を慎重に抱え直した時、彼女の部屋のフロアでドアは開いた。
週に1、2回はお邪魔しているのに、一人でここへ来る時はどうしてだかとても特別に緊張する。
ご近所さんに出会ったらどうしよう、なんて微妙にずれた心配だけは、時間帯が時間帯だから今は抱かないですんでいるけれども。
合鍵は少し前、渋々な様子を隠しもしないで彼女が手渡してくれていた。それでも、居ると分かっているのにそのまま使って入る訳にはさすがに行かなくて、インターフォンにそっと指を伸ばし、軽く一押し……したと同時に唐突に、目の前にドアが迫ってきて思わず仰け反った。

「っわっ!」
「おっすー、遅かったねー。って、あれ?」

いつもどおり、そう嬉しくもなさそうな普通の顔をドアの向こうから覗かせた彼女が不思議そうな眼差しを私の手元に注いだ時。
私は多分、半分くらい、泣きそうになっていた、と、思う。



ごめんねー、なんて。
誠意の欠片もない平坦な彼女の声を背中に浴びながら、ケーキの箱をキッチンテーブルに置く。
ここまで折角慎重に慎重を期して持ち込んだデリケートなお菓子たちは、先ほど彼女から喰らった重くて分厚い鉄板の一撃によって、無残に偏ってしまっていた。

「あんまり遅いから、どしたのかなーって思ったの。んで、玄関で待ってたら足音したからさー、折角だから、脅かしてみようかなって」

そりゃあもう驚きました、確かに。
でも、それ以上に、私は切ないです。
そっと開いた小箱の中、タルトの上にあしらわれていた季節のフルーツたちは一方の壁に密集状態、チーズケーキは哀れ上下に泣き別れ、ショートケーキに至っては、原型を最早留めては居ない有様ですから。

「……箱のまま食べた方がマシかも……」
「えー? なになにー?」
「や、何でも、無い、です」

私の落ち込みなんて何処吹く風、彼女は至って機嫌良く、いつものようにソファーの上で膝を立て、軽く上体を揺らせながらテレビを見始める。時折漏れ聞こえる音が彼女が観ているものの内容を嫌でも知らせてくれていたけれども、取敢えず黙殺出来る程には私はケーキの処遇に頭を悩ませていた。
とはいえ、いつまでも悩んでいたって仕方ない訳で。
多少見栄えが悪くとも、味は保証付き。出来るだけ丁寧に、吹っ飛んだフルーツやクリームなどをかき集め、原型を想像できる程度に形を整えながら、大き目のお皿一つの上に並べ直す。
丁度お湯が沸いたのでいつものハーブティーを用意して、相変らず画面に見入っている彼女にはお伺いを立てないままそれら全部をトレーに並べ持ち、リビングへ移動する。

「ゆかりさん」
「んー?」
「ケーキ、食べませんか?」

おう、と小さく答えてローテーブルに落ちた彼女の目が、ん?と細くなる。

「奈々ちゃん、これって」
「ケーキです」
「大惨事だね」
「ええ、不測の事態に巻き込まれまして」
「そっかー」

でも美味しそうー、なんて棒読みで唱えながら何事も無かったかのようにフォークを手に取った彼女には勿論何も言えないまま、私はポットの中身をそれぞれのカップにゆっくりと注ぎ入れた。
その間も当然、背後のテレビからは聴き慣れた音声とリズムが流れてくる。
むずがゆいような、嬉しいような、たとえが悪いかもしれないけれど、悪戯を見つかりそうな子どもみたいな気持ちが胸いっぱいに広がり始めて大変だった。

「……ん、美味しいね」
「それは良かった。ここのはホント、どれも美味しいんですよー」

彼女が最初に選んだのは、ちょっと不恰好にフルーツたちが並べ直されたタルト。小さく賽の目に切り刻まれた季節の果物を楽しげにフォークに突き刺しながら、一心に口を動かしている。
その幸せそうな姿にほっと息をつきながら私も彼女の隣に腰を下ろすし、フォークを手に取った。真正面にある液晶モニターには極量注意を払わないように、ついでにさり気なく手に取ったリモコンで、ボリュームを少し絞ってみたけれども、幸い彼女は気にした風も無くほっとする。
大皿の手前に位置する上下に分離してしまったのを無理矢理繋ぎ直したレアチーズケーキはもはや、原型を留めていなかった。その上、散りばめられていた桃のジュレはめり込んだり箱の壁へ取り残されていたりしてすっかりと減量してしまっている。けれども、ひと掬いしたふわふわなチーズクリームは風味たっぷりで滑らかで十分に美味しくて思わず頬が緩んだ。

「奈々ちゃん食べてるの何?」
「桃のレアチーズケーキです」
「美味しい?」
「ええ、美味しいですよ」

どうぞ、ってフォークの先に取り分けた一切れを彼女に向けて差し出すと、あーん、なんて声を上げてぱくりと一口。その邪気の無い動作に、更に頬が緩むのを自覚する。

「どうです?」
「ん。美味しい」
「良かった」
「奈々ちゃん、さっきからそればっか」

むう、と気難しげに眉を寄せた彼女に、そんなことないですよ、と心から笑い掛け、私は紅茶のカップを手に取った。

「あ、そだ奈々ちゃん」
「はい?」

随分と満たされた気分で、薫り高い深いそれにそっと唇を近付けた時。

「ライヴに麻美子ちゃん、来てたんだ?」

狙い済ましたような一言に、噴出しそうになった息をすんでの所で引きとめて、ソーサーが激しい音を立てるのにも構わずカップを戻した。

「え? あの、え?」
「すっごい嬉しそうだったねーコメンタリ」

にっこり笑う彼女の笑顔からは、いつもどおり底が少しも見えない。

「なんていうんだっけ、実はめっさ軽いって言ってた竪琴、あれ弾いてたおねーさんも、奈々ちゃんが可愛い可愛い連発する気持ちがすっごく分かったくらい可愛かったし、あの歌、歌ってる時の奈々ちゃんはおもっきり気持ち良さそうだったし」

流れるように言い募りながら少しずつ間合いを詰めてくる笑顔の向こう、ベビーピンクのTシャツに包まれた肩越しに見えるのは、先日発売日を迎えたばかりの私のライヴDVDの映像で、今まさに、彼女が話題にしている楽曲のイントロが小さく始まろうとしている所だった。コメンタリー版では無かったけれども、DVD自体は発売日前に私自身の手で彼女にプレゼント済みだったから、今日までに何度か既に再生済みだったのだろう。
本当に、油断していた。

「ほいでさ、なんでだろ、あの曲の時の奈々ちゃん、いつもみたくカッコいいってよりは、すっごく綺麗に見えたんだよねー」
「あ……あの、ゆ、ゆかり、さん?」

ん?、なんて小首を傾げるように迫る彼女の。
顔は兎も角、その目は少しも、笑ってはいなくて。

「あんな顔、ゆかり、見たことないかもって、ちょっと思ったりして」

吐息を零すことすら躊躇われる、至近距離。
僅かに尖った彼女の唇がほんのりと色づいている様が否応無しに見て取れて。

「あ、でも、だからって別にライヴに呼んで欲しいっていう訳じゃなくて」

するり、と、綺麗に爪を切り揃えられた彼女の指が、自身のこめかみに触れた後、ゆっくりと目の前を過ぎり、私の肩を、とん、と突いた。

「こうして、お部屋で何度でも観る事が出来るし、それに、」

ちらり、と彼女の細められた眼差しが、背後の画面へと流れていく。

「麻美子ちゃんが居たっていうお席からだと、折角のお顔も全然、見えなかったと思うし」
「あー……でも、モニター、とか、」

基本的に、関係者招待席は会場の上階に設定されるものだったから、そこからは確かに、ステージの様子を肉眼だけで捉えるのは困難だったと思う。その分、ステージ上のモニタにはかなりのサイズのものを用意していたから、私の姿は勿論表情なんかも常に、あの広い会場中に十分に伝わっていた筈。
そんな事を思い出し反射的に口にした言葉はけれども、何の助けにもなりはしなかった。

「ん、だからね、」

速度を速めも緩めもせずゆったりと近づいてくる、悪戯っぽく微笑む彼女の眼差しはいよいよ真剣で。
その分、私は少しずつ、仰け反っていくしかなくて。
思わず後ろ手を突いた時には、彼女の右の手は私の肩の上、左の手はソファの背もたれを掴んでいて。
彼女はラフなTシャツに包まれた上半身ごと、触れるか触れないかの距離で私に圧し掛かる位置に存在していた。

「ステージの上の奈々ちゃんはすっごくかっこ良くて、いつもと違って大きく見えて、」

可愛いらしい笑みを湛えた顔。
けどでも少しも笑っていない瞳。
甘くて深い真剣な声。
少しずつ視界と聴覚を支配していくそれらに、自然と私の胸は激しい動悸に苛まれ始める。
多分何処かで予想していた、でもある意味完全に予想外な彼女の言動に、私は呼吸は愚か、瞬きさえ奪われて為す術も無い。

「そんな奈々ちゃんを、あれだけ沢山の人たちがあの場で共有したんだなあって、」

すうっと、細められた眼差しがほんの一瞬、強く揺らめいた。

「それって、やっぱりなんか、悔しいかなあって」
「ゆ、ゆかりさん……」

それって何だか矛盾してますよね、なんて零しかけた言葉を私は危うく飲み込んだ。

「でもねー、会場には行きたくないんだなー。だから余計悔しいんだよねー」

鼻筋にほんの少し皺を寄せるようにしてしかめられた顔が、ピントの限界まで近づいて、ふわりと柔らかい匂いが薄っすらとした熱と一緒に頬に触れて。
優しい振りをした獰猛な獣に睨まれた獲物の気分を味わいながら、でも、頭の片隅酷く冷静な部分がその時、怯えている場合じゃないぞ、と言わんばかりに小さなアラーム音を響かせた。

「――ゆかり、さん」
「なに?」

だから。
鍛え上げた腹筋に目一杯力を込めて。
彼女の可愛らしい小さな悲鳴が耳元を掠めるのにも構わないで。
覆い被さるその身体にしがみつくように抱きついて、一気に半身を跳ね上げる。
考えるよりも先に動いている時の私は、多分、色んな限界を超える事が出来るのだろう。
次の瞬間、私と彼女の体の位置は完全に、入れ替わっていた。


置き去りのモニターからは、聴き慣れた透明な弦の音と自分の歌声が絡み合うようにして流れている。思い出す度に大きく声を張り上げ歌い出したい衝動に駆られる程の、特別な時間が再生されている。
けどでも、今の私の五感はそれらを遠く追いやって、今眼下で呆然とこちらを見上げている彼女の存在に全てを傾けている。
掌の中捉えた彼女の手首は少し力を込めて握れば壊れてしまいそうにか細く。
その唇から零れる乱れた息はこの頬に触れる度に次第に熱を帯び。
組み敷いた拍子にもつれ合った膝や腿は逆に冷やりとした感触を甘い痺れと同時に私のそれに伝えてくる。
潮騒みたいに騒がしい自分自身の血潮が耳の中に響かせる雑音の中、懸命に拾い上げる彼女の微かな呼吸の音。
その見開かれた瞳には、逆光に表情を沈ませた私の姿が綺麗に映りこんでいるのが見て取れる。

「……奈々ちゃん……?」

浅い呼吸音を割って、彼女の驚いたような、けどでも静かな声が零れる。急激に頭に登った血流はそれでも一向下がらず、今の状態から引き下がる気持ちには少しもなれなかった。
何日も前から。
いや、きっと。
あのライヴが終った瞬間からずっと、どきどきしていた。
用意していた彼女の為の席は結局、埋まることは無かった。
仕事やその他に理由があってもなくても多分、そうなるだろうことはもちろん、予想していた。
彼女自身のライヴに私が招待されることがありえないのと同じ位、それは彼女にとっては譲れない、当然の行動で。
だからこそ、かもしれなかった。
ライヴが終りステージを離れて日常へと舞い戻るたび、彼女のことを一気に思い出してしまう。
あの目も眩むような幸せな空間と時間を離れて、その場所に在った自分を振り返るだけの余裕を取り戻した途端、その場には決して現れない彼女へと逸る気持ちがどうしても抑えきれなくなる。
そんな自分を、彼女に、どうにかして、伝えたくて。
分かって欲しくて。
だから、今もこうして。
彼女に対峙しているのかもしれない、と気付いた。

「悔しい、ですか?」

混乱し掻き乱された胸の痛み、その最奥から、何かを引き剥がすようにして酷く冷静な自分が立ち上がる気がして、そのまま口元を苦笑の形に歪めながら零した言葉に、彼女の眉が強くしかめられる。

「……奈々ちゃん?」
「私は、もっと、悔しいです、ゆかりさん」

彼女の呼びかけすら遮るように続けて、ゆっくりと顔を近付けていく。

「私にとって、ステージは、歌は、私の想いを、言葉を、全てを解き放つ最高の場所で手段なんです。なのに、いつも、あなただけがその場には居ない」

彼女の目が、戸惑うようにゆっくりと瞬いた。

「だから、あなたには私自身を全部、ぶっつけるしかないって、思い知らされるんです、いつも」

ライヴでの私を、観客席に居る沢山の人たちと共有することを拒んで。
いつも、たった一人観てくれるあなたには。
多分、結局は、それしかないんだって、思い知らされる。
いつも、いつも。

「私がそんな風に想ってる相手は、ゆかりさんだけで、でも、ゆかりさんは、」
「あー、もうっ!」

溢れる勢いに任せて続けようとした言葉はけれども不意に、鋭い彼女の叫びに遮られた。

「ゆかりね、あんまし頭良くないし難しいこと言われても困るんだけどっ!」

叩きつけるように投げつけられた声に、その意味内容が落ち着くよりも先に文字通り頬を打たれたようになって、私は軽く仰け反った。

「奈々ちゃんが小難しいこと考えてることは分かった。でも、あたしはやっぱライヴには行かないし、だからって、ステージでの奈々ちゃんが凄いこともカッコいいことも認めてるし、ファンの子たちとか、友だちとか皆から物凄く好かれていることも、沢山の人と仲良しなのも、悪いことだなんて思ってないし……ああ、もうっ!」

腕も足も私に押さえつけられているから、唯一自由になる頭をぶるん、って大きく振った後、彼女は俯いた。
そのまま動かないその姿を見つめている内に、冷水を浴びせられたように頭から血が下がってゆくのを覚えて、私は蒼褪めた。

「……あ、あの、ゆ、ゆかりさん……?」
「だからいいじゃんっ、嫉妬くらいしたってっ!」

あー、もう、いっちゃったよー、なんて拗ねたように呟くと、彼女はふい、と顔を思いっきり逸らした。

「やだよーもう、ゆかり、すっごくかっこわるい……」

泣きそうな声、薄っすらと赤く染まる頬、震える肩。
そんな彼女を見下ろしながら、私は、呆然としていた。
なんだ。
嫉妬、って。
え、誰が、何に。
て、言うか。
『誰』に?
え、え?

「ちょ、え、あの?」
「離して」
「え?」
「離せーっ」

じたばたと彼女が身を捩る。瞑った両目からは今にも雫が零れ落ちそうで。

「……っ! 離せって言ってるのに」
「嫌です」

離せる訳がない。
人の気も知らないで、DVDなんかで高見の見物決め込んでおいて。
今更嫉妬とか、そんな、可愛いこと言ってる人のこと。

「だーっ! くっつくなーっ!」
「最初にくっつこうとしてきたのは、そっちじゃないですか」

涙目で抵抗する彼女を極力優しく、でも、断固として抱き締める。

「それでも、ライヴには来てくれないんですよね?」
「行かないっつーの」
「ゆかりさんのにも呼んでくれないんですよね?」
「当たり前だっつーの」
「それって、私に嫉妬して欲しいからで、」

どすん、と鳩尾の辺りに重い衝撃を感じてからようやく。
私は、ちょっと調子に乗りすぎたかも、と気付いた。
気付いた時には手遅れで。
彼女の細い膝をまともに喰らった私は悶絶しながらそのまま、ソファの上から見事に転げ落ちてしまっていた。



残りのケーキは全て、彼女が平らげて。
さっきよりも余程大音量でライヴDVDは延々とエンドレスに次々と再生を繰り返され。
完全に臍を曲げてしまった彼女の為に私は、お風呂と夕食の仕度を全力で済ませたけれども。
まともに口を利いてもらえたのは、全てのお片づけが済んで、後は寝るだけ、という時間になってからのことだった。







なんだこれ?(ヲイコラ)

多分、後日大幅に書き直す可能性大。
うっかり読んでしまった方、ホンマすんません(平伏土下座)。

てか、取敢えず。
本日は、此処までー(えーえー)。
0806240023.


一橋@胡乱。 |一言物申す!(メールフォーム)

一橋的迷想宮へ戻る一橋的胡乱なBlogを開く

My追加