心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2009年06月02日(火) 副業

夜食/グレープフルーツジュース・チキンラーメンミニ
53.0Kg, 10.4%

以前、ハードディスクのレストア業という小遣い稼ぎを試みたことがあります。

といっても、ソフト的に壊れたドライブからデータをサルベージする、って話とはちょっと違って、ハード的に壊れたセクタを補修しようというもの。

そんなことが可能なのか、と驚かれるかもしれませんが、例えばこんなソフトもあります。
HDD Regenerator

まずネットオークションや中古屋でジャンク品のドライブを安く買い集めてきます。このときに、モーターが回らずスピンドルの回転音がしないとか、ヘッドが動かずシーク音がしないみたいな、本格的にお亡くなりになっているドライブは避けないとなりません。ターゲットはあくまで「バッドセクタが増えてフォーマットが終わらなくなったブツ」のみ。

これを自宅のパソコンにつなぎます。
ハードディスクメーカーの物理フォーマット用のソフトを使うだけで、バッドセクタの代替処理が行われて直っちゃう場合もあります。そううまく行かない場合は、上のソフトを使います。順調ならば、夜寝ている間に終わっているはず。
あとはメーカー製のソフトで動作チェックをし、レストア品だと注釈を付けてネットオークションに出せば粗利が出ます。

問題はレストアに失敗した場合。手元に残るのは本格的ジャンク品のみ。これもネットでジャンクとして売り払い、損を減らせばオーケーです。でも、ひとつ問題がありました。

普通ジャンク品に手を出す人は、「ひょっとしたら動くかも知れない」という期待に金を払います。しかしレストア業の僕が出品するジャンク品は、まさにゴミのようなジャンクばかり。それが知れると、誰も手を出さなくなりました。

レストア率が高いときはいいのですが、それが落ちるとジャンクのドライブを山と積むハメになります。やがて利益を吐き出す時が来て、赤字になる前に撤退するハメになりました。

上で紹介したツールは結構使えます。もしお手元のパソコンが壊れて、修理に出したら「ハードディスク交換」だと言われたら、いったんパソコンを手元に引き取って、上のツールを試してみる価値はあるかもしれません。うまくいけば、失いたくない大事なデータを救出できるかも。


2009年06月01日(月) 休み

夜食/グレープフルーツジュース・バナナ×1
53.0Kg, 10.4%

月曜日は休暇でありました。
朝寝どころか、お昼まで寝ました。
午後はパソコンをうだうだイジっていました。
あっという間に夕方です。
晩ご飯を食べてテレビを見ていると、もうお風呂と寝る時間。

ごろごろして、なんにもしない休日。

これぞ有意義な休暇だと思います。
「有意義に休むために、何かしなくては」という強迫観念に捉えられてしまっては、有意義に休むことができなくなります。休暇明けで仕事に戻ったとき、リズムがつかめなくて、「今日一日は仕事のリハビリにあてなくては」などとのたまわってしまうのが、正しい休み方だと思うのです。

問題は仕事が片づかないことですけど。


2009年05月31日(日) 脳の病気(その4)

53.0Kg, 8.4%

善光寺の御開帳に集まった人の数は6百万人以上。長野県の人口の3倍だそうです。

さて、アルコール依存症を含む精神病は、心の病であると同時に、脳という臓器の障害でもあるという話を続けます。

最近は障害を「障がい」、子供を「子ども」とするなど、特定の漢字を嫌う傾向が強まっている気がしますが、それはまた別の機会に書くとして。

障害という言葉にはいろいろな意味があります。例えば damage(ダメージ)、trouble(トラブル)、あるいはdysfunction(機能障害)。handicap(ハンディキャップ)という言葉もあります。handicapped と言えば身体障害者のことです。

臓器の障害は「機能障害」という意味ですが、じゃあその障害を抱えて生きていくとなると「ハンディキャップド」という意味で捉えるのが良いと思います。

つまり、「何らかの制限や不利な条件を背負わされている」。これは心の病気に限らず、慢性疾患全般に言えることです。その不利な条件を受け入れていくことが、一番大事なことだと思います。

例えば、うつ病が原因で休職したせいで、出世競争から脱落してしまったとします。もう一度競争に復帰して、同期の出世頭になることを目標にしてしまうと、うつ病は簡単に再発してしまうでしょう。そこで、閑職に追いやられても、クビにならずに経済生活を維持できることに感謝しながら働ければ、それで良いのです。残業なしで早く帰れるから、映画を見るのが趣味になったというなら、なおさら。

これが「俺はもう出世できないから仕事を辞める」などと言い出して家族を困らせたりする。背負ったハンディを受け入れられないとはこういうことです。

アルコール依存症でも同じことで、「飲まなくなれば普通の人と同じ」と考えたい気持ちはよく分かりますが、現実には飲まなくなっても「不利な条件」は消えくれません。


2009年05月28日(木) 閑話休題

53.2Kg, 10.5%

脳の病気については、ひとまずおいて。

月曜日に納品のために、県内某企業を訪れました。うちの会社からは、ほかに神奈川の本社から営業さんが同行してくれました。警備所に置いてある受け付け用紙には、質問が二つ追加されていました。

・38度以上の熱がありますか?
・インフルエンザ様の症状がありますか?

もしそんなだったら、こんなとこ来ねーよ。なんつーか、いかにも「アリバイ作り」的な質問事項でありました。さて、仕事はさっと済んだので、帰り際に営業さんに、

「そういえば、本社では皆さんマスクして仕事してるんですか?」

と尋ねてみたら、そんな人はいないという答えでした。

でも念のため、水曜の本社勤務日にはマスクを携えて行きました。ところが、新宿へ向かう特急電車の中でも、横浜線や小田急の中でも、マスクをしている人はほとんど見かけませんでした。関西で季節はずれのインフルエンザが流行っているといっても、関東ではこんなにのんびりしたものです。

しかし、ドラッグストアではマスクが売り切れていました。実家の母が来週初めに神戸に農協のパックツアーで遊びに行く予定でしたがが、ツアーそのものが中止だそうです。

「ジジババばかりの旅行だから心配要らないとは思うんだけど、万が一ウィルスでも持って帰ってきたら、何を言われるかわからんからねぇ」

と母は電話の向こうで言うのでありました。

季節性のインフルエンザでも、国内で毎年数百人〜数千人が死んでいます。致死率は0.05%ほど。それと比較して、豚インフルエンザはそれほど騒ぐことなのでしょうか。

もっとも、第一次大戦前後に猛威を振るったスペイン風邪も弱毒性だったものの、途中でウィルスが変化して強毒性となり、世界で死者四千万人、致死率は2%という結果だったそうです。


2009年05月21日(木) 脳の病気(その3)

53.3Kg, 9.8%

脆弱性を抱えてしまった私たちは、それにどうやって対処していったらよいか、という話。

いったん、脆弱性の話を離れて、精神・身体・知的の障害者についての話に転じてみます。

障害者を特別の施設に閉じこめておくのではなく、社会で(自宅で)暮らせるようにすることをノーマライゼーションと言います。特別扱いをやめて、当たり前にしようという意味です。

ただ、このノーマライゼーションとは、障害者に対して健常人と同じ能力を期待し、同じ待遇を約束しているわけではありません。能力に制限があることが障害なのですから、その現実から目をそらすわけにはいかないのです。例えば仕事や住む場所が自由というわけにはいかなくて、何らかの制限を受けることは仕方のないことです。

本人や家族が「障害を受け入れる」ということは、無理無理に頑張って普通人と同じ結果を出そうとするのではなく、制限があることを納得して受容することです。また、社会が障害者を受け入れるということは、そうした制限のある人を社会の一員として受容することです。

こうした人は、社会にとっては(言葉は悪いですが)足手まといになります。その非効率を受け入れることが文明社会だろうと思います。強い人、健康な人だけで構成されていれば社会は最高の効率で動くでしょう。効率のために弱者を排除するというのであれば、それは弱肉強食の論理であり、文明を持たない動物と同等の、人間らしさを失った社会になってしまいます。

さて、臓器に脆弱性を抱えた人は、(たとえ障害者に分類されるほど重いハンディキャップを背負っていなくとも)同じことが言えると思います。

ハンディキャップの重さや種類が違っていたとしても、何らかの制限を受けていることに違いはない・・・というところで、さらに次回に続いてしまいます。


2009年05月20日(水) 脳の病気(その2)

53.3Kg, 8.2%

精神病は、心の問題であると同時に、脳という臓器の障害でもあるという話の続き。

近年になって、統合失調症(精神分裂病)患者には脳萎縮があるという知見が定着してきました。画像で脳萎縮が判別できないレベルであっても、すでに脳神経細胞の消失が起きていると考えられています。
ただ、臓器の病気だからといって、これが恐ろしい遺伝病だと考えるのは間違っています。一卵性双生児の片方が統合失調の場合、もう一方が発症する確率は十パーセントあまりです。つまり残りの八十数パーセントは同じ遺伝子を持ちながら(脳萎縮がありながら)発症しないわけで、環境要因の大きさが分かります。

近赤外線を脳に照射して中の血流量を図る「光トポロジー」という技術があります。開業医の精神科医がこの装置を導入し、うつの診断に使っているというニュースをテレビでやっていました。例えば「<た>で始まる言葉を思いつくままに並べてください」というふうに脳を使わせると、健常者の場合前頭葉の血流量が増え、うつ病患者の場合は増えない、のだそうです。この機能の違いは、当然脳の器質的な違いからやってくるものでしょう。

部屋が片づけられず、すぐに汚部屋になってしまう人の中には、ADHDという病気の人が含まれているのですが、このADHDは「注意欠陥多動症」という「症状」に焦点を当てた病名です。この病名以前はMBD(微細脳損傷)と呼ばれていました。これは症状よりも原因に焦点を当てた名前ですが、ふたたび原因に関心が集まっているのだそうです。

どうやら21世紀初頭の精神医学は、心より脳へ向けて舵を切っているようです。

ところで(依存症を含めた)精神病というのは、親から遺伝によって受け継いだ脳の器質的脆弱性が問題なんだよ・・と言われても、実際その病気にすでになっている人間には何の慰めにもなりません。精神病の親を持っている(いまのところ健康な)子供たちにとっても同じことが言えるでしょう。

では、そういう脆弱性を抱えてしまった私たちは、それにどうやって対処していったらよいか、という話は、また次回に続くのであります。


2009年05月19日(火) 脳の病気(その1)

(信州サーモンはおいしくいただきました)
53.1Kg, 9.8%

精神病は、心の問題であると同時に、脳という臓器の障害でもあります。
精神医学も、心の問題に傾いている時期と、脳の器質変化を追いかけている時期を、まるで振り子が左右に揺れるように、繰り返しているのだそうです。

アメリカの精神科医というと、患者をソファーに座らせて話を聞く精神分析医というイメージが定着した時期もありました。一方で、脳を調べることが流行っていた時期もあったそうです。

手元にある『精神医学ハンドブック』という本では、精神病を大きく三つに分類しています。

最初は心因。いわゆる心の病というやつです。心身症、神経症、拒食症、性機能障害などなど。原因が取り除かれれば治りやすいという特徴があります。

(二番目は飛ばして)最後は器質因。これは脳の器質が変化したのが原因です。痴呆・てんかん・アルコールや薬物の中毒。脳梅毒もここに入ります。
なぜアル中、薬中がここにはいるのか? 重度のアルコール依存症患者には、しばしば脳萎縮が見られます(亡くなるまで萎縮が見られない人も多いですけど)。だから、画像診断でまだ脳萎縮が分からないレベルであったとしても、もっと小さなレベルで器質変化はすでに起きているに違いない、というわけです。
(その変化が不可逆なので、二度とマトモに飲めるようにはならない、というわけ)。

飛ばした真ん中は内因。ここにはうつ病と分裂(統合失調)が入ります。(高血圧や糖尿と同じ意味で)明らかに遺伝的な病気になりやすい体質が元にあり、それに環境の問題が加わって発病します。遺伝的な脳の病気だというなら、器質因に入れても良さそうですが、少なくとも二十世紀の科学では、脳の変化が見つけられなかったため、違う内因というジャンルが作られました。

うつ病については「誰でもなる可能性がある」とは言いますが、実際には同じ環境でなる人もならない人もいます。同じ食事をしていても、糖尿になる人ならない人がいるのと同じことです。

二十一世紀になって、病気による脳の変化の研究が進んだ、という話なのですが、続きは次回。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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