心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2008年08月23日(土) なぜ半額?

税金は誰から取るのがふさわしいか、という話があります。
正解は「課税してもあまり文句を言わない人たち」。つまり政治的弱者からふんだくるのがふさわしい、というわけです。

以前、都知事が増税のために「銀行に対して外形標準課税をする」と言い出したことがありました。これが決まれば、東京に本店のある銀行は、それぞれ数十億円の税金を納めなくてはならなくなります。そこで銀行は都にぶーぶー文句を言い、政府にも泣きつきました。結果、都知事はその話を引っ込めざるを得なくなりました。つまり、銀行は政治的強者というわけです。

なぜタバコを吸う人が、旧国鉄の税金を払わねばならないのか。そこに論理的理由などありません。ただ「文句を余り言わない人たち」に押しつけられただけです。もし喫煙者が、全国喫煙者連合会などという圧力団体を作って活動すれば、たばこ税だって下がるかも知れません。

なぜ交通機関の運賃は子供半額なのか。でも飛行機は半額にならないし。けれど体重の重い人には割増運賃という話もあるらしい。となると、割引きにも割増しにも論理的一貫性などありません。
なぜ障害者だと半額になるのか。それも「そう決めたから」というほかありませんし、障害者と健常者の境界線だって「そういう決まり」としか言いようがありません。それらは決して「変えられないもの」ではないと思いますけどね。

こんなふうに、世の中の決めごとは論理的ではないし、神さまは平等ではないと思います。けれど不公平を恨んでみても始まりません。変えられるものは変え、変えられないものは受容していくしかありますまい。

東京の地下鉄で切符を買おうとしていたところ、おじさんが窓口で駅員に文句を言っていました。どうやら奥さん子供と3人でお出かけの様子なのですが、その子は両足にハーネスをはめ、一目で身体障害とわかりました。おじさんは「子供で障害者だから、半額の半額だろう」と駅員に掛け合っていました。それはその通りらしいのですが、自動販売機で半額の半額の切符は買えません。けれど駅長のいる窓口まで行って欲しい、という駅員の説明に、おじさんはまた文句を言っていました。

おじさんは当然の権利を主張しているだけなのでしょうが、僕には、おじさんが「子供が障害者になってしまった」という運命が受け入れられず、その恨みを世間にぶつけているように感じられました。おじさんはそれで良いかも知れませんが、子供にとってみれば、恨みがましいお父さんと過ごしているウチに「障害者に生まれてスミマセン」という気持ちになるのじゃないかと、その子の表情の失せた顔を見ながら、勝手に同情してしまいました。

僕も障害者手帳をいただいていて、市の施設が無料になることがあります。受付のおねーさんは、「手帳は開いて見せてください」と言います。最近はあれを偽造する人すらいるのだそうで、写真付きになったのもむべなるかなです。


2008年08月22日(金) セデス

といっても市販品の頭痛薬セデスのことではなく、処方薬のセデスGのことです。
透明な袋に入った白い顆粒で、口に含むと舌がピリピリするところが「かなり効く」という印象を与える薬でした。舌に対する刺激と効能は関係ないとは思いますけど、そこが人間の心理というものですね。

で、セデスGがなぜ禁止(というか供給停止)になったのか。
これは処方薬乱用の問題ではなく、長期連用者の中に間質性肝炎を発症する人がでてきて、これがセデスGの主成分であるフェナセチンが原因と考えられたのです。

僕もセデスGを処方されていたので、もともとアルコールで弱っている肝臓が、さらに弱ったのではないかと医者に相談しました。答えは、あなたのわずかな使用量では問題にならない。あれはあなたの何十倍もの量を使っている人たちの話だ、と教えてくれました。僕は、そんなにたくさんの鎮痛剤を必要とするほど激しい痛みを抱えながら、日常生活を送っている人が存在することを初めて知り、衝撃を受けたものです。

それほど量を使わない人でも、偏頭痛や慢性の頭痛を抱える人の中には、セデスGでないと効かないという人も多くいました。

でも、そういう事情とは関係なく、ダメとなったらすぐに供給停止にしてしまう政策です。リタリン依存問題による供給停止にしても、代替品がなかったわけで、それを必要としていた遷延性うつ病やADHDの人は、いまどうしているんだろうと思います。リタリンを使ってようやく仕事が出来ていた僕の知人は、いま生活保護で暮らしています。

市販の頭痛薬でフェナセチンを含んだ物はありませんから「セデスハイ」を買ってみてもムダです。僕も含め代替品としてロキソニンを使っている人が多いようですが、セデスの効き目が懐かしいという話をすることがあります。

セデスGには、フェナセチンのほかにイソプロピルアンチピリンやアリルイソプロピルアセチル尿素が含まれていました。実はそちらの成分のほうが効き目があったという人も多いことでしょう。セデスが懐かしいと思っている人は、そうした成分のある薬を使いたいと医者に相談してみたほうがいいかもしれません。

痛みがあって鎮痛剤を使うぶんには依存にはなりません。けれど、もともと薬物への依存傾向を持っているアルコホーリクは、1錠の薬が頭痛を楽にしてくれるのなら、もっと大量に飲めば頭痛以外の人生の問題も楽になってくれるはず、という妄想を抱きがちです。結果として過剰服薬・大量服薬(OD)をやらかして病院の世話になったりします。飲んだものが酒でなくても、やはりそれはスリップであり、ソーバーをリセットしてやり直すべきです。だって、「飲んだ薬物にたまたまアルコールという名前が付いていなかった」だけの話ですから。

アルコホーリクが薬を飲むのは危険が多い。けれど必要な薬を拒むことは正気とは言えません。安全なソーバーのためには正しい知識を身につけることが大切ですから、薬の話もタブーにせずにオープンに話し合った方が良いと思います。少なくとも、薬のことを相談できる相手を最低限一人持っていることが、生き残るために必要です。


2008年08月20日(水) 鶏が先か卵が先か

いつまでもみっともない雑記を掲げておくわけにもいかないので、何か書かないといけません。

昨夜のAA会場はステップミーティングでした。ステップミーティングでみながステップの話をしている、この当たり前のことがこの会場の良いところだと思います。

12&12のステップ2のところに「にわとりが先か卵が先かという議論はやめて・・」というくだりがあります。なぜここにこんな例えが書いてあるのでしょう、と先ゆく仲間に尋ねたら、こういう答えでした。

・神様が人間を必要としたから、神様が人間を作った。
・人間が神様を必要としたから、人間が神様を作った。

どちらが真実かというつまらない議論を、ここでは「にわとりが先か卵が先か」と表現しているのだそうです。

僕は my Higher Power という言葉が好きです。自分のハイヤー・パワー、自分(専用)の神様。僕はアルコールには無力な人間で、ほうっておけば必ずまた酒を飲み出して人生を破壊するでしょう。無力な人間には助けが必要です。AAもAAの仲間もその助けになってくれますが、僕のビョーキも重いので、しばしばゲインラインを突破されてしまいます。頼りになるフルバックは、やっぱりハイヤー・パワーしかいません。

僕はハイヤー・パワーを「見つけた」と思っていますが、実際には僕のハイヤー・パワーは、おそらく僕が作ったものなのでしょう。でもそれで十分だと思っています。そして、その自家製の神様と宇宙の主は、一体のものだと考え出しています。この考え方の反証はとくに思いつきません。

では「偉大な力」はどこに見つかるか。第4章には、誰でも「自分の一番奥深いところ」に見つかると書いています。個人の物語のピーター神父の話でも、神は内在と表現しています。神父である彼が、その考え方ですべてだと思っていたわけではないでしょうが、AAである以上彼自身の宗教は脇において、AAの考え方の一つであるところの、神は一人一人の中に内在しているという考えに従ったのだろうと、解釈しています。

第5章の先頭には「最奥の自分」に対して、酒に対する無力を認めるのが最初のステップだとあります。最奥の自分=ハイヤー・パワーだろうと僕は思うわけです。


2008年08月19日(火) 書くネタがないので

新しい奥さんに望むこと

・毎日料理をしてほしい。
・お弁当も作ってほしい。
・仕事で遅くなって、夕食やお風呂が二度手間になっても、嫌がらないでほしい。
・猫や犬の毛が付いた服を、ダンナに着せないように。
・家計はダンナに握らせるように。

そんなにいろいろ望んでも無理なので、どうしてもこれだけはってのを、一つだけ望むとすれば、

・可能性としては低いものの、前妻が子供の面倒を見る能力がなくなった場合、子供二人を引き取って養育するので、その点納得しておいて欲しい。

やっぱり最後の条件が嫁ゲットの一番高いハードルになるのでしょう。ただ、確定的なことは滅多に言わないカウンセラーが、そのことは明確にしておかないといけない、とハッキリ言うのですから、これは大切なことなのでしょう。というか、これが大切なことだという意識が希薄なのが、僕の抱える問題の一つなんでしょうね。

前妻に送金する養育費がもったいないとか言われても困っちゃうし。

だいたい前妻との子供をそこそこ大事に出来ない男に、新しい奥さんの連れ子(もしいた場合)を大事に出来るわけがありません。そこを見極めずに再婚しちゃうから、継父による連れ子の虐待が起きたりするんじゃないですか。新しい奥さんとの間の子供ができても虐待しそうだし。そうかと言って、前の奥さんとの間にきちんと境界線を引けない男や、新しい家族の生活をないがしろにする男でも困るわけですが。

だったら前の奥さんと再婚すれば面倒がない、と言われることもありますが、「それは自傷行為なのでやめるように」とも言われていますし、そのとおりだと思います。

毎日明かりのついていない部屋に帰るのは淋しいもので、こんな生活に5年も10年も耐えられるはずがないと思います。ただ、今はどちらに進むか方向性すら決まっておらず、無風状態の帆船のようにふらふら漂うばかりであります。

なんにせよ、稼ぎは多い方が良いんでしょう。


2008年08月17日(日) 東京行き

週3回ヤクルトおばさんからジョアを買っているのですが、低カロリーのレモン味がなくなってしまいました。何もかも価格高騰の折、商品を値上げする代わりに、売れ筋でない商品を廃してコストを抑えるのだそうです。同じく低カロリーのジョアライトも販売終了です。おばさんは「手持ちの在庫がある限り持ってきます」と言ってくれたのですが、ついにそれも底をつき、今日からイチゴ味を飲むことにしました。

さて、日曜は東京へ。睡眠時間4時間で仕事に行くのは大変ですが、同じ4時間で東京のAAに行くのはそれほどでもありません。特急電車か高速バスに乗り込んだら、あとは3時間追加で寝ていけばいいわけですから。今回は三鷹のバス停あたりまでぐっすり寝られました。

飯田橋の駅を降りたのはいいのですが、会場がどこだか忘れたので、携帯電話でセントラルオフィスの「かわらばん」のページで確認しました。集まった人数は70〜80人ほどでしょうか。女性6割、男性4割、あるいは女男比2:1ぐらいでしたでしょうか。女性が多いのは、アルコール以外の人や家族の人が多いせいではないかと思われますが、「あなたは何の病気ですか?」と聞いて回ったわけではないので確信はありません。

中身は濃かったと思います。「他よりステップの話をしているスピーカーの割合が多い」と感想を言っている人がいました。確かに、僕が朝10時から午後4時まで、部屋の外にふらふらサボりに行かずに話を聞いていたのは久しぶりです。普段のイベントではたばこも吸わないのに喫煙コーナー付近を漂っていたりしています。不真面目と言われればそれまでなんですけど、正直な話、会場の中にいるのが耐えられなくなるAAイベントもあるんです。

午後は、ビル・Wが経験した「白い閃光」のような劇的な霊的体験を経た人たちの話が3人続きました。(後で聞いたら、意図的にそれを3人並べたのだそうです)。霊的経験の後でそれを霊的な助言者に相談したところ、「それは神様とのふれあいのほんの始まりに過ぎない。言ってみれば神様が名刺を渡してくれたぐらいだ」と言われた、という最後の人の話が印象的でした。ちなみに僕は霊的体験を持たない「その他大勢」の一人です。

一つ気になったのは、一部に跳ねっ返り的発言が目立ったことです。確かにこのステップのやり方は、その人に効いたのでしょう。だからそのやり方が本物だという意識を持つのは分かります。でも、本とはかなり違ったやり方でステップをやっている人たちも、ステップをやっていることには違いないし、ステップをやらずにミーティングだけで助かっている人も、助かっていることには違いないのです。そういう人をあからさまに批判しては反感を買うばかりです。たとえば、断酒会には12のステップがないから断酒会はダメだ、と言ったら断酒会の人たちは怒ってしまうでしょう。断酒会でもたくさんの人たちが酒をやめて社会生活をしている事実に目を向けないといけません。それはAAの中でも同じことです。
主催の人たちは、もう何年も前に「跳ねっ返り発言」のしっぺ返しを経験済みのようで、いさめる言葉も出ていました。

ところで僕は思うのです。仲間に会い続けることで酒をやめて幸せでいられる人に、僕は無理にステップをやれと勧めるつもりはありません。でも、仲間に会い続けても、酒が止まっても、相変わらず苦しさが取れない人もいます。ミーティングに出続けても、しっかり酒が止まらない人もいます。そういう人たちに「やる気がない」とか「感謝が足りない」とか叱っても仕方ありません。苦しんでいる人は、仲間やミーティング以上のものを必要としているのですから、「あの連中と一緒にステップを試してみたらどうか」という提案があるのが親切ではないでしょうか。

一緒に行ったスポンシーが、会場に女性が多いのを心配し、「ひいらぎが女と話し込んでいたら、間に入って止めるつもりだった」そうであります。僕が離婚したことは知れているから、よけい危険だと言うのです(狼はどっちだ?)。別に僕は女をつかまえにAAイベントに行ってる訳じゃないんですけどね。それに、親切なナイトの実際の行動は、休憩時間にはタバコを吸いに行ってしまって、ひいらぎの監視どころじゃなかったし。今の僕は、いろんなことで手一杯ですから、余計な心配ですよ。僕は女性に「一緒にステップやりましょう」とか言って誘う男じゃありませんて(むろん、やれと強要もしない)。

給料日が来たら来月のイベントの振り込みをしよう。来月はスポンシーがついてこないから・・・。


2008年08月16日(土) 低空飛行

調子最悪というほどでもありませんが、全般的にウツっぽい状態です。
掲示板でもメールでも、四角い文章(つまり改行が少なくて行数が多い)を読む気になれません。別に記憶力が悪くなったわけではなく、うつで注意力が散漫になったせいで、入ってきた情報がザルで水をすくうみたいに漏れ出てしまい、脳に残らなくなっているだけ・・だと分かっていても、なんか頭が悪くなったみたいで情けなくなります(いや、老化かも)。

とはいえ、記憶力にも自信はなくなってきています。
何年も前とはいえ、ミーティングに通った場所を忘れるわけはないと思っていたのですが、実際にその場所の近くまで行ってみても、細かい地理が全然思い出せませんでした。

明日はまた東京であります。明後日は出勤だ。


2008年08月14日(木) 家風

離婚騒動の中で、母が話してくれたことがあります。

それは、○○家(僕の旧姓)に嫁に来た立場から、この家の家風について語った言葉でした。この家は元は地主でありました。もっとも農地改革で財産の大半を失ったので、今はビンボーですが。

地主は借地人から地代を徴収することが出来ます。その大半が農地だったので、地代は米など穀類の現物納付(つまり年貢)でした。土地に対する徴税権を武士階級が握っていたにせよ、実際に徴税・納税の義務を背負っていたのは、土地所有者である地主農民たちでした。裕福ではないにせよ、毎年年貢が入ることが保証されているということは、手持ちの金を全部使ってしまっても、次の収入で何とかなる、ということです。そういう地主時代に培われた、多少無理してでも、礼式はきちんと整えたい、金がないからと言って見栄えの悪いことはしたくないという家風は、没落後も簡単には消えません。

難しい言葉を連ねてしまいましたが、平たく言うと「金遣いが荒い」わけです。僕もそこに育った以上、それから自由ではないのですが、それは別の話として。

話は変わって、娘二人とお盆で実家に行ったのですが、その道中二人が「お好み焼きが食べたい」と言い出しました。なんでも、おじいちゃん(元妻の父)にお好み焼きを焼いてあげると呼ばれたので喜んで行ったら、具がピーマンとシソの葉だけで、とても子供の食べられたものではなかった、という話でした。
具がピーマンとシソの葉だけのお好み焼きか・・・どうも見栄えの悪い話だ、と僕は思いました。

じゃあ、お好み焼きの店に行こう、という話をしました。外へ出た息子が孫を連れてきたのだから、多少はご馳走しなければならない、と母も思うでしょう(そういう家風)。ここは母を当てにしてもいいはず。

母、僕、娘二人の4人で出かけようとしたら、兄が「一緒に行く」と言い出しました。休みだからといって昼間からビールを飲んでいる兄が同行する目的は、お好み焼き屋でさらにビールを飲むことに違いないのですが、断る理由も特にありません。弟にハンドルを握らせれば、さらに安心して飲めるという算段でしょう。

ところで午後3時には、お好み焼き屋は閉まっていて、夕方になるまで開店しないわけです。店の駐車場で途方にくれていると、兄が「それまでの間、ボウリングをやろう。金は俺が出すから」と言い出しました。遊びに来た弟を、多少金を使ってでも、もてなさなければならない(という家風)ってことにしておきましょう。ここで帰ったらビールが飲めない、という理屈かもしれませんけど。

2ゲームだけの予定が3ゲームになってしまったのは、僕にスコアで負けた兄が「もうひと勝負」とがんばったせいです。酔って勝負になるわけがない。ちなみに僕のスコアは3ゲームトータルで400と高いものではありません。

○○家(離婚後も名乗らせてもらっている婚家の姓)のムコとして、その家風に12年も染まった僕は、ボウリングもお好み焼きもゴチになって悪いな、どこかでお返ししなくては、という意識が希薄です。これは、どこにバランスを取ったものか、いまだに悩みます。

中ジョッキを4杯飲んだ兄は、帰宅後すぐに寝てしまったようです。「最近いつもそうだよ」と母が言います。兄は明らかに酒に弱くなってきています。このまま定年まで大過なくすごしてくれるのかどうか。僕が心配しても仕方ないことですけど。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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