心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2008年01月12日(土) ミーティングにおける本当とウソ

今日はミーティングの人数が少なめでした。地区委員会があったり、仕事やプライベートで忙しい人も、回復のために東京に行っている人もいましたから。少ないと言っても、8人いましたけど。

さて、最初は何はともあれミーティングに行くことは必要だと思います。いままで、どんなに飲んだことを反省しても、最後にはまた飲んできたのです。だから、反省は役に立ちません。いろいろとやり方を変えてみて、自分なりに努力してみたものの、でもやっぱり最後には飲んできたのです。だから、自分の考えでやっているうちは、結果はゼロだったのです。少なくとも「飲む、飲まない」という点では、結果はゼロでした。
だから、自分の家や職場でいくら考えたところで、飲まない力は付きません。そこはミーティングに通うしかありません。

が、通えば何とかなるか、というのも実は結構ビミョーだったりします。

だって、AAミーティングには「こういう話をしなさい」という縛りはなく、自由に自分の考えを述べていいのです。だから、話されているのはその人の考えです。その人の考えである限りは、それも「役に立たなかった自分の古い考え」である可能性があります。

端的に言って、AAミーティングで話されていることには、真実とウソがあります。よく「ミーティングでは自分の経験を話しなさい」と言われます。経験はウソをつかないですから。でも、脚色、歪曲、自分の解釈ってやつで、どんどん経験談にもウソが混じり込みます。もちろん、話している人はそれがウソだなんて思っていやしません。ただ、その人の信じていることが間違っているだけです。

真実でない人の話や意見を信じてしまうと、信じた自分が飲む羽目になりますから、真実とウソは見わけないといけません。でも、それは難しいですね。

ミーティングで話されていることが、ノイズ混じりの生のデータだとすれば、そこから真実を選り抜いていく作業は、まるで科学者の研究のようなものです。つまり、相当頭の良い人でなければ、ミーティングに通って人の話を聞いているだけで、真実をつかみ取って回復することは難しいのです。時間もかかりますから、つかむ前にまた飲んでしまうかも知れないし、死んでしまうかも知れません。

だからこそ、スポンサーとか本というものが大事なのです。僕は頭が良くないので本を頼ります。そしてミーティングで人の話(生のデータ)を聞くと、「おお、本に書いてあることと同じだ、なるほどなるほど」と思うわけです。

だいたい、アルコホーリクの頭は「違い探し」が得意で、ノイズ混じりの生データの中から「ノイズばっかり拾い出す」のがお得意なんです。


2008年01月11日(金) バイトについて

酒で生活が破綻してしまって、今日食う米にも困っているなら生活保護しかないと思います。僕は、みんなから集めた税金を生活保護費に使うのは、悪くない税金の使い方だと思います。無駄に使われてるとしか思えない税金もたくさんありますからね。

じゃあ、働かなくてもいいかっていうと、できれば働いた方が良いと思います。
それは早く働いて、生活保護費をもらわずに「経済的に自立?」しなさい、と言っているのではありません。

生保を受けながらアルバイトしても、稼いだぶんだけ保護費を減らされるので収入は増えず「アルバイトなんかするだけ損だ」と言われます。こっそりアルバイトして保護費は満額もらうという不正もあるので、アルバイト自体が好ましく思われていないようにも思います。

けれど、依存症以外の病気とか、その他さまざまな理由で働けないのならいざしらず、働ける年齢の人が、毎日アパートで一人ゴロゴロしていて、夕方だけAAミーティングに出かけるっていう生活はどうなんだろう? って思います。

アル中って人間関係の病気ですから、人間関係を減らしていけば、(つまりアパートで一人でいる時間が長ければ)表面上起きる問題も減ってきます。それでなんとなく回復しているような気になってしまうのですが、実は何も変わっていないので、ちょっとしたトラブルが酒への引き金になったりもします。

人間関係のごちゃごちゃを起こす自分を見つめる作業ですから、金にならなくてもアルバイトした方が回復の役に立つと思いますし、ミーティングで人にも自分にも役に立つ話ができます。金が目的じゃなくて、回復のネタです。

ダメならすぐにやめられるのもバイトの良さです。もちろん、仕事があって休職中の人がバイトするのは不正ですからダメです。一日3回のミーティングの人は、仕事なんかまだ早いです。

年金暮らしをしていたAAメンバーが、いきなり働きだしたので理由を尋ねたら「家で一人でいるとどうも良くない」と言っていました。確かに働きだしてから、その人は良い方に変わったというのが皆の評価です。長いソーバーの人ですら、こうなのですから。


2008年01月09日(水) 女にバカにされたくない?

「セックスは好きだけど、女は嫌い」っていう男はいっぱいいるでしょうね。

体が大人になるとセックスの相手が欲しくなります。
その相手は生身の女が望ましいわけで、ビニールの人形で良いわけがありません。ところが、生身の女には感情も自我もあるので、自由に操ることができません。

テレビ番組で、お見合いをしてもなかなか相手に恵まれない、という男性のためのセミナーを取り上げていました。その講師の女性が、男性たちに徹頭徹尾たたき込んでいたことは「そのままのあなたを男として愛してくれる女性は、世の中にたった一人、あなたの母親だけです」ということです。おお、確かに母の愛は偉大なり。
息子がたとえ、女を見下すようないけ好かない男であろうが、自分のことですら自分でしない怠け者であろうが、プライドばかり高くて思いやりがない男であろうが、母にとって息子は一人の男です。ところが、世の中の女性は息子になる男性を捜しているわけじゃありません。
男の中身が変わるのが一番なんですが、それは簡単な話じゃないので「せめてお見合いの間ぐらいは<良い人>にみせなさい」というわけです。

生身の女を相手にしていれば、逆に見下されることもあるし、やって欲しいことをしてくれないばかりか、して欲しくないことばかりやってくれたりします。それは男女の別なく「人間てそういうもの」なんですが、親離れしていない男は母親像を女に投影してしまうので、その違いばかりに目がいってイライラすることになります。

「過去自分はモテたんです」という人の話を聞いてみても、実はモテたのは学生時代だったりします。学生時代ってのは特殊環境なんですよ。年頃のオスとメスを教室っていう檻のなかに閉じこめてあるんですから。ペットだって、そうやっとけばたくさん子供を産むでしょう?
男女混合のアルコール病棟で、恋愛に走って治療にならないので二人そろって強制退院とか、入院するたびに新しい相手ができるとか・・こういう話と、学生時代モテモテ話は五十歩百歩であります。社会人になって、自由選択市場にでてから、どれだけ実績があったかですよ。

ありのままの自分を受け入れてください、って言う方が無理なんです。

え? お前はどうなんだって?

僕は、セックスも好きだし、女も好きですよ。


2008年01月08日(火) カレンダー

数年前のある日。電話がかかってきました。

「また飲んでしまいました」
「あそう。じゃあ、またやり直そう」

「もう、どうしていいか、わかりません。どうしても飲んじゃって」
「そりゃ、やることやってないから飲むんじゃないですか?」

「ちゃんとミーティングにも通ってたのに」
「そうかなあ、カレンダー見てごらん」

「・・・」
「ミーティングに行った日には○を、行く予定だったのに行かなかった日は×をつけるって話だったよね。カレンダー、どうなってる?」

「・・・」
「カレンダーは正直だよね」

「・・・何にも印が付いてません」
「そうだ。もう×を付けることすらやめちゃってたんだ。それが飲む準備だよ」

「ひいらぎさんはやってるんですか?」
「もちろん、僕みたいにミーティングに出たりでなかったりする人間にはとりわけ必要だよ。自分が思っているほど出てないものだからね」

「明日からまたミーティングに行きます」
「うん、それがいいよ」

まあ、実際にはExcelのシートに記録しているだけなんですけど、自分が思っているほど出ていないもんです。毎週行ってるつもりの会場でも、出席率7割ぐらいだったりして。


2008年01月07日(月) beleiveとfaithふたたび

下の子の手首のギブスは完全に取れましたが、上の子の足首のギブスはまだ半分残っています。ただそれでも、月末のスキーには行って良いと医者に言われたので、ずいぶん喜んでいます。

さて、ステップ2には「信じるようになった」と書かれているので、信じるようにならなければステップ2ができないと思ってしまう人は多いようです。

以前にも http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=19200&pg=20071127 beleive と faith については書きました。

コロンブスがポルトガルの港を出港した頃は、ほとんどの人は「世界は平面で、海の向こうには世界の果てがあり、そこからは海の水が地獄に流れ落ちている」と考えていました。一方コロンブスは、地球は丸いと考え、西へ航海すればアジア(カタイやジパング)へ届くと信じていました。彼はプトレマイオスやマルコ・ポーロの本を読んで、地球が丸いことを信じて(beleive)いましたが、確信(faith)というほどではなかったはずです。

多くの人が「彼の船は世界の果てから地獄に落ちるに違いない」いたわけですから、航海を続ける彼にもしっかりと不安があったはずです。

世界は彼の想像通りではなく、ヨーロッパとアジアのあいだにはアメリカ大陸があり、しかも彼が見つけたのはアメリカの東のバハマ諸島でした。彼はそこをインド(の東)だと思ったようで、現地人はインディオ(インド人)と呼ばれることになりました。

ともかく彼は、大西洋の向こうに土地があることを知り、本国へ帰りました。彼はその後3回新大陸へと航海します。けれどこのときにはもう彼の心には、世界の果てから落ちる不安はなかったはずです。逆に新大陸があることは、経験から来る確信(faith)に変わっていたと考えられます。

ステップ2も同じです。酒に対する無力をハイヤー・パワーが救ってくれる、ということを、疑いを持ちながらも信じてみる(beleive)ところから始めるしかありません。そして、コロンブスがパロスの港を出発したのと同じように、不安と疑いを持ちながらもステップ3で出発する決心をします。順調にその後のステップを航海すれば、いずれステップ12で「霊的目覚め」という新大陸にたどり着くでしょう。
その時に初めて「自分がやってきたことが自分を救ってくれた」というfaith(信仰)が生まれます。

だからステップ2では、疑いながらでも「いっちょ信じてみっか」と始めればいいのです。


2008年01月06日(日) 二者択一

妻がちっとも家計簿を付けないので、仕方なく僕が付けることにしました。薬局でダイエット用と称する栄養剤を買ったり、初詣の神社で何千円もお守り買ってみたり、結構無駄遣いしてるんじゃねーかよ、とは思うのですが、それを追求してスネられて、家計簿を付けることに協力してもらえなくなると、本末転倒です。なので、とりあえずスルーです。

さて、同じことの繰り返しになるのですが、ステップ1は人を回復させないと言います。ステップ1で「無力になる」のではなく、ずっと前から無力になっていることに今さらのように気づくだけの話です。つまり、ステップ1は知識です。
ただ、単に「自分が無力だ」という知識を持つだけじゃなく、無力を「心の底から」認めることが求められます。

無力であるのは嫌なことです。無力であることは絶望です。絶望が好きな人はいないでしょう。誰でも無力は嫌なものです。ですから、無力を認めると、人は無力を解消しようと努力が始まるはずです。

ここから先は僕の考えなのですが、無力の解消には二つの手段があるように思います。ひとつは「大きな力」によって無力を解消するステップ2へと進む方法です。

もうひとつ「もっとやさしい楽なやり方」があります。それは否認です。無力から目を背け「自分は無力じゃないんだ」と言い聞かせる方法です。生活が楽になればなるほど、恵まれるほど、この自己欺瞞が得意になります。もちろん無力は解消できていないので、長い目で見ればいずれ酒へ戻ることになるでしょう。

ステップ1だけができている、という人はいないはずです。そんな絶望的な、暗く、辛い状態に長いこと留まれる人はいないでしょう。だから、前へ進むか、後へ戻るか、どちらかをするはずです。

「AAミーティングに通い続けているけれどステップ1がから後ろに戻っちゃった人」はいっぱいいるんです。


2008年01月05日(土) エレキネタ

携帯電話とPHSの二台持ちという生活を続けています。
単純に電話代の節約を目指しての話ですが、予想外のこともありました。
それはPHS端末の作りがチャチであることです。

携帯とPHSの両方を持っていると、どうしても比較してしまいます。買ったのは京セラ製の最新端末なのですが、全般的に動作がもっさりと遅いのです。ただ、メニュー操作については、もっとレスポンスが悪い携帯電話もあるので我慢しましょう。
こらえられないのは、Opera(フルブラウザ)の遅さです。通信速度の問題ではなく、積んでいるプロセッサの遅さでしょうか。忍耐力養成装置になっています。

おまけにそのフルブラウザが、普通のホームページをまともに表示してくれません。「家路」も読めないところがたくさんあります。いきなりPHSを床にたたきつけて、「ぬおー」と叫びながら外に駆けだしていきたくなりますが、そこは我慢です。

あと作りが安っぽい。携帯電話3社のなかでは、auの端末が一番調達価格が安い=一番安っぽいわけですが、それと比べても明らかに安っぽい。キーの感触も悪いし、手に持ったときの重量バランスが悪いので、メールが打ちにくくてたまりません。いきなりPHSを床にたたきつけて、「ぬお(以下ry

Windows Mobile を積んだスマートフォンには力が入っているのかも知れませんが、主戦場の音声端末がこれでは・・PHSの未来が暗く感じられる今日この頃です。

いや、慣れればいいんだ、慣れれば。

「おせちもいいけどカレーもね」などと言ってしまったら、三日間カレーが続いたりしております。

いや、慣れればいいんだ、慣れれば。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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