心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2009年05月19日(火) 脳の病気(その1)

(信州サーモンはおいしくいただきました)
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精神病は、心の問題であると同時に、脳という臓器の障害でもあります。
精神医学も、心の問題に傾いている時期と、脳の器質変化を追いかけている時期を、まるで振り子が左右に揺れるように、繰り返しているのだそうです。

アメリカの精神科医というと、患者をソファーに座らせて話を聞く精神分析医というイメージが定着した時期もありました。一方で、脳を調べることが流行っていた時期もあったそうです。

手元にある『精神医学ハンドブック』という本では、精神病を大きく三つに分類しています。

最初は心因。いわゆる心の病というやつです。心身症、神経症、拒食症、性機能障害などなど。原因が取り除かれれば治りやすいという特徴があります。

(二番目は飛ばして)最後は器質因。これは脳の器質が変化したのが原因です。痴呆・てんかん・アルコールや薬物の中毒。脳梅毒もここに入ります。
なぜアル中、薬中がここにはいるのか? 重度のアルコール依存症患者には、しばしば脳萎縮が見られます(亡くなるまで萎縮が見られない人も多いですけど)。だから、画像診断でまだ脳萎縮が分からないレベルであったとしても、もっと小さなレベルで器質変化はすでに起きているに違いない、というわけです。
(その変化が不可逆なので、二度とマトモに飲めるようにはならない、というわけ)。

飛ばした真ん中は内因。ここにはうつ病と分裂(統合失調)が入ります。(高血圧や糖尿と同じ意味で)明らかに遺伝的な病気になりやすい体質が元にあり、それに環境の問題が加わって発病します。遺伝的な脳の病気だというなら、器質因に入れても良さそうですが、少なくとも二十世紀の科学では、脳の変化が見つけられなかったため、違う内因というジャンルが作られました。

うつ病については「誰でもなる可能性がある」とは言いますが、実際には同じ環境でなる人もならない人もいます。同じ食事をしていても、糖尿になる人ならない人がいるのと同じことです。

二十一世紀になって、病気による脳の変化の研究が進んだ、という話なのですが、続きは次回。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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