心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2009年05月17日(日) 情報に踊る

計測なし。

「最近パキシルを飲むのをやめたんですよ」

という相手の言葉を聞いて、僕は(ふむ、なるほど)と思いました。
日曜のマクドナルド店内は、昼食をマックですませようという家族連れで混み合っていました。金のない若いカップルもちらほら。日本の女性のファッションは年々幼児化していくという話もありますが、それも別に悪いことじゃないだろうと思いながら、190円で買ったコーラをじゅるじゅる飲んでいました。

で、パキシルの話です。もちろんその人が飲むのをやめたのは、医者が処方を中止したのではなく、勝手な服薬中止でした。そして、理由は聞くまでもありません。

数週間前、パキシルなどのSSRIの副作用で攻撃性が増す、という記事が新聞に載りました。それを読んだときに、(こりゃ勝手に服用を中止する人が増えるな)と思ったものです。

「私は自分が攻撃的な人間だと思います。それはたぶんパキシルのせいだと思うんです」

という相手の訴えを聞いて、僕はコーラを飲み干すと、「それはパキシルとは何の関係もない、元々の性格だと思います」と冷徹に答えました。

ではなぜあんな記事が新聞に掲載されたのか?
掲載されたのは、もちろん厚生労働省がその情報を流したからですが、その意図は何か、と考えてみると、やはりお金のことでしょう。

パキシルの薬価は20mg一錠で216.9円だそうです(wikipediaから)。これをうつ病の最大用量40mg使うと、日に233.8円。ひと月に一万三千円になります。自己負担率が三割だとしても、残りの七割の約九千円は健康保険からでるわけです。パキシルの服用者は100万人を超えているそうなので、単純計算では毎月九〇億円です。

一方伝統的な抗うつ薬の例としてアモキサンを取り上げると、25mg一錠が15.9円。75mg使うとするれば、日に47.7円、月に1,431円。パキシルの10分の1です。健康保険の収支のために、新しい高価な薬ではなく伝統的な安い薬を使ってほしい、と厚生省が考えたとしても不思議ではありません。
ただ、あの記事に振り回された人も多かったのではないかと思います。

「薬を飲みたくなければ、医者にそう言って止めてもらいなさい。それでも医者が飲めというなら飲みなさい。あなたは医者より経験も知識もないのだから、そういう思い上がりを抑えるようにしましょう」

というアドバイス以外に何が言えるでしょうか。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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