心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2009年05月16日(土) 何のために?

53.1Kg, 9.6%

在宅勤務も良し悪しです。
一日24時間の中で、1時間半〜2時間を費やしていた通勤の時間が節約できるのは嬉しいことです。一方で、その時間は、仕事とプライベートの気持ちを切り替えるのにも費やされていました。車のハンドルを握っているうちに、仕事上の「あれもやらなきゃ、これも片づけなくちゃ」という焦りが消えてくれました。風呂に入りながらふと仕事のことが気になっても、「どうせ職場に行かなければ何もできない」と諦めて忘れることができていたのです。
それがいまや、家の中を移動するだけで職場に行けてしまうわけで、仕事がプライベートを、プライベートが仕事を浸食しないように、腐心せねばなりません。
(いや別に、それを雑記を更新しない言い訳にしようってわけじゃないですけど)。

「ビッグブックのやり方」を、この短い文章で説明するのは無理なので、かわりに別の話をしましょう。

ある時スポンサーシップの中で、スポンシーからこんな質問をされました。

「自分では解決不能な酒の問題を、神さまが解決してくれるというのは分かりました。でも、それが神さまの役割だとするならば、なぜ僕は棚卸し(ステップ4・5)や埋め合わせ(ステップ8・9)をしなくちゃならないのでしょうか?」

それはとても良い質問でした。なぜなら、僕には答えられなかったからです。
アルコールの問題を解決するのに、なぜ自分の性格の欠点と向き合い、傷を与えた人に償わなくてはならないのでしょう? それと酒と何の関係があるというのでしょう。
僕が自分でやったときには、そんなことを考えたこともありませんでした。そこで僕は改めてビッグブックや緑色の本を読み、先達に質問してみました。

中には、ステップは「酒をやめた後」で人格を磨くためにやるという人もいます。でも僕はそれは間違いだと思います。道徳や哲学で酒が止まるなら、誰もこんなに苦労しやしません。やはりステップは「酒をやめるため」にやるのでしょう。

五章の最後に「神とあなたの間に、あなたの頑固な意志が作っていた障害物」という言葉が出てきます。ハイヤーパワーの恵みによって酒が止まるにしても、自己中心的な思考が神と自分の間に障害物として立ちはだかっていたのでは、助けは得られません。

アル中の酒を止めるのも、回復させるのも、(本人を含めた)人間の役割ではないと思うのです。それはハイヤーパワーの役割です。ならば人間の側は何もしなくても回復できる、ということにはなりません。人間は人間の側の役割を果たさなければなりません。それが12ステップであろうと思うのです。

だから酒のことも回復のことも神さまに預けておいて、いまはステップに集中しましょう、と翌週になってスポンシーに回答したのでした。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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