心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2008年10月11日(土) 仲間の死

「彼には、アルコール無しの人生なんて考えられない。そしてやがてはアルコールの有る無しにかかわりなく、人生そのものについて考えられなくなってしまうだろう。そのとき彼は、誰も知ることのないような孤独を味わう。彼はまさにぎりぎりのところにいる。終止符が打たれるのを心から待ち望むようになる」〜p.220-221

2005年の春のことでした。横浜の女性フォーラムで開かれたAAイベントで、東北のメンバーの「第11章の先頭を読んで、これは自分だと思った」という話を聞いて、11章の先頭って何だっけ? とまるで理解できませんでした。

最後の入院の時、病院のケースワーカー室に古いビッグブックがあって、入院中に二度は通読しているはずです。退院後も事情があって毎日AAミーティングには行けず、かわりにビッグブックを読んでいましたから、11章だってずいぶん読んだはずです。

「ビッグブックの集い」なんてものに関わって以降、何度も何度もビッグブックは読んでいるはず・・なのですが、先頭から読み出しても11章までたどり着いた回数は意外と少なかったのかも知れません。

改めて読んで「これは自分だ」と思いました。

AAに来て酒がやめられて素晴らしい、と口では言いながら、実は再び無事に酒を飲めるようになれるんだったら、それこそ何でもしたい気持ちでした。その気持ちを無理に封じ込めていけば、やはり死にたい気持ちが浮かんできたものです。「なにがあっても酒を飲むことだけはダメだ」と思いこめば思いこむほど、死は近くにありました。

今は幸いそういう気持ちからは解放されています。まあ、することをサボっていれば、またぶり返してくるでしょうけれど。

11章の続きには「私たちはそこからどうやって脱出したのかを述べてきた」とあります。アルコールに代わる素晴らしいものはあります。けれど、それを伝える能力のない自分を情けなく思うこともしばしば。でも、それも含めて自分なのでありましょう。

ステップをやるのに早すぎることはない、という確信が強まった出来事でした。

あの春のイベントで一緒にお昼を食べた仲間と、新しいグループをはじめたのが半年前。思えば不思議な縁です。

「神さまは、運命の糸を紡いだり、チョンと切ったりする」

という言葉に思わず笑ってしまいましたが、まさにそんな感じであります。長い苦しみから解放されて良かったね、としか言いようがありません。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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