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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2006年06月16日(金) 本の販路(その2) 日本のAAの本はどこの本屋でも売っていません。
(アメリカのAAの本は洋書として注文すれば手に入ります)。
売っていない原因は商社(取り次ぎ)と取引していないからです。トーハン・日販には相手にもされないでしょうが、地小だったら(ASKの本だって扱ってるんだから)扱ってくれそうなものです。
が、そうしていないのは、今までAAの側から依頼したことがないからです。
「ビッグブックや12&12ぐらい、本屋で売ったらいいのに」とか「いや<今日を新たに>とか<ビルはこう思う>だっていい本ですよ」、「本屋で扱っている本なら街の図書館に入れてくれるように頼めるのに」という意見もあります。一方、「本としてまだアマチュアの作った域を脱していない」という否定的な意見もあります。
実は本やパンフレットの売り上げが、各地のセントラルオフィス(CO)の収入の大きな柱になっているのであります。例えば3千円のビッグブックは、6割の千八百円でCOに卸されます。八百円の文庫版なら四百八十円です。
ちなみにこの6割の半分3割は、同じものを再度印刷在庫する費用に回されます。言ってみれば仕入れ費用です。別の半分(3割)は、JSOの維持運営費に回ります。千八百円でビッグブックを仕入れたCOは、それを3千円円で売り、差額千二百円をCOの運営費に回します。
JSOにしてもCOにしても、出版物の売り上げが収入の大きな柱になっていて、グループや個人から集まってくる「献金」よりも、出版物の収入の方が大きいほうが普通であります。AAの出版物は高いから値下げしてくれという話は良く出ます。そのほうがメッセージを運ぶのに効率がいいのですから、当然です。
でも、なかなかそれが出来ないのが「人間の性」というやつでしょうか。
例えば、仮にビッグブックをCOが千八百円で売ることにしたとします。するとそのぶんCOの収入は減るから千二百円を現金で献金してね、ということにします。どうなるでしょう? ビッグブックの売り上げは確かに増えるでしょう。でも、献金はあまり増えない。結果としてオフィスは運営費が不足してしまいます。
本を手に入れるために3千円を払うことは厭わない人でも、何の見返りもなく千二百円を献金することは嫌うのであります。(実際には本を買う人もそう多くはなく、献金には見えない見返りがあるのですが)。
AAの外部に販路を求めてしまうと、現在の流通経路(JSO→CO)に落ちている収益が、外部に流出してしまうという意見があります。
さて、amazon.co.jpの委託販売ですが、版元でISBNコードかJANコードを取っていれば扱ってくれるそうです。AAの本は実はISBNコードがついています。日本語の本であっても、著作権者はニューヨークなので、アメリカのISBNコードですが、それは問題にはならないでしょう。
委託販売なので、入金が「納めた時点」ではなく「売れた時点」であることとか、amazon.co.jpの取り分が4割というのが高いか安いか、考えるべき事は多いです。JSOにとってデメリットは少ないでしょうが、COにとっては商売敵かもしれません。
でも、COに本を頼む層と、amazonで本を買う層は違うのかもしれませんね。
以前の職場だったら、COやJSOから本などと一緒に送られてきた振り込み用紙を郵便局に持って行くのも面倒ではなかったのですが、仕事が変わってから郵便局に行くのは大変になってしまいました。アマゾンで買えるんだったら、便利でいいんですけどね。
まあAAの財政というのは、小規模ながらも経済活動であります。どう展開していくかは、ビジネスとして熟考の上で決めるべきでありましょう。
でも、amazon.co.jpや地小で扱ってもらえれば、僕にとっても便利だし、本屋で扱っていない本というのは、同人的というか、健康食品や宗教法人の会員向け出版みたいで怪しげな気がしてヤだな思う次第であります。
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