心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2006年05月26日(金) ホモセクシャル

東京に住んでいた時には、ほとんど料理なんかしたことがなくて、外食がメインでした。
といっても始終酔っぱらっていたわけなので、酔いが覚めて気がつくと深夜だったりして、食べに行く場所を探すのに苦労していました。

よくお世話になったのは、近所にあったラーメン屋でした。
鶏ガラがダシのお店でした。豚骨も使っていたかも知れませんが・・・。
ラーメン以外にも、焼きそば、豚のしょうが焼定食、チャーハン、レバニラなどなど、いくつかメニューはあったものの、全部同じ味がしました。要するに同じだしを使って料理をしているわけです。さっきまでチャーハンを作っていた鍋で、そのまま焼きそばを作るという具合です。
きれいな店ではなく、テーブルがなんとなく脂っこい感じがするような、そんな店でテレビを見たり、「アクション」を読みながらラーメンをすすったことも多かったです。何を食っても同じ味がする店として、それなりに知られた店でした。

店をやっているのは、中年の男二人でした。たまに若いバイトとおぼしき青年がいることもありましたが、女気のない店でした。

そのうちに噂で、その二人がホモの夫婦であると聞きました。ホモの夫婦というのも変な話ですが、そのように聞いたわけであります。
そう言われてみて、しげしげと見てみても、別に異常な感じはしませんでした。確かに兄弟と言うには似ていなさすぎましたし、単なる商売仲間というには仲が良すぎる気がしました。長年連れ添った夫婦に雰囲気が似ていなくもありません。

ときどき酔っぱらいが「どっちが女役なんだ」などと下劣なからかいの言葉を投げつけることもありましたが、二人はだまって料理を作っていました。

僕はラーメンが食べられれば何でも良かったですし、ビールの中瓶ではなく、大瓶を置いてくれていたのもありがたかったので、夜12時過ぎにはよく行っていました。

そのうち店をたたむ話になったので、理由を聞いてみたのですが、「小平の方に店を開く」としか教えてもらえませんでした。
食事が出来る店が一件減って、ぼくはずいぶんと困りましたが、そのうちコンビニが増えてきて、酒はともかく食事の苦労は減りました。

ホモだという人に会ったのは、それが唯一の経験であります。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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