ホーム > 日々雑記 「たったひとつの冴えないやりかた」
たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
もくじ|過去へ|未来へ
2006年05月04日(木) 特許 僕がコンピュータープログラムに興味を持ち始めた頃、他の人が組んだプログラムを入手する手段は、もっぱら雑誌からでした。雑誌に掲載のプログラムを自分のコンピューターに入力したのであります。
それも、フロッピーディスクとかCD-ROMとかが付属してくるのは、もっとずっと後のことで、プログラムのソースコードが延々と雑誌に何ページも掲載されているのを、自分でキーボード入力するのであります。もちろんそれは果てしない時間がかかる、一種の修行でありました。
人間ですから、間違いもあります。プログラムが正常に動かない時は、大抵タイプミスですから、間違っているところを直さないといけません。といっても、どこが間違っているか分からないので、最初から全部見直すのであります。これには入力するのと同じぐらい手間がかかりました。
プログラムの中身になんか興味はなくても、ひたすら(たとばBASICの)コードを打っていると、そこに何かの法則性を見いだすことがあります。そうやって少しずつプログラミングの勉強をしていきました。(ああ、こういう時は、こういうコードを書くんだ)とか、(この謎のコードは何を処理しているんだろう)とか。
さすがにパソコンを使うためだけに、何時間も何十時間もかけてプログラムを入力するのは馬鹿げていてると考えたのか、ある雑誌社が掲載したプログラムの別途販売を始めました。当時の媒体はカセットテープであります。
プログラムが入ったテープが、千数百円とか数千円で販売されるようになりました。
雑誌に掲載されているものを、自分で入力すれば無料であります。テープを買うというのは、ソフトを買うというより、入力する手間を買うようなものだと思っていました。
当時はコンピューターを使うことは、自分でプログラムを組むというのと同義ですから、出来たプログラムは人に無料であげても損だとは思いませんでしたし、それが当たり前だと思っていました。
それが、ソフトの入ったテープを売って金儲けをするなんて、なんて不埒な商売だと思った記憶があります。
そのうちに、コンピュータープログラムも著作権法で保護することが決まって、ソフトがパソコンショップの片隅で売られるようになりました。
そうして自分もいつの間にかプログラムを組むことを生業としているのであります。お前の組んだプログラムを無料でよこせと言われたら、商売あがったりな最近です。
先日某社のプリンタードライバーを書いている人物と話をしたのですが、彼の書いたコードが他社の特許に引っかかってお蔵入りしてしまったと嘆いていました。そのコードを世に出すためには、特許料を支払わなければならず、それだけの価値はないという結論になってしまったわけです。最近では、著作権以外に、特許についても気にしながらプログラムを書かないといけません。
もちろん、素晴らしいアイデアを特許で保護することに異論はないのですが、実際の世の中は素晴らしいアイデアを特許で保護するようにはなっていません。
くだらない特許も、素晴らしい特許も、同じ特許であります。
そうして、素晴らしい特許1件と、くだらない特許40件が、バーターで取引されていたりするのであります。
もくじ|過去へ|未来へ![]()
![]()