ある音楽馬鹿の徒然カキコ♪...みゅう太

 

 

闘い終わり・・・ - 2006年06月20日(火)




話が交互になりますが、
仲間とのコンサート、先週末に終わりました。

コンサート自体は「無事」終わったのだけど
私自身は無事ではない…(哀)


いや悔しいです。
あんなに練習したのに。


前に日記で書いたときは
まったく曲に歯がたたず、って感じだったのが
寸前になって少し光明がみえてきた…
というか自分でもそれは意識してなかったのだけど
いつのまにか弾けてきてて、(弾けてないところもあるにはあったが)
「弾ける、弾けない」という技術面よりも
音楽面での取り組みにウエイトが移って来ていました。

だから「なんとか人に聴かせられ」そうな次元にまで手が届いてきていた。
(ひっかかって、くらいか)


だから、なあ…。悔しいっす。



つまり、またアガリにジャマされちゃったんです。


これは自分が一生付き合わなきゃいけないマイナス面だ、と
よくわかっていながらも
やっぱりやりきれない思いがあります。


あとでビデオを見ると、これはあれだけ弾きこんだ成果なのか
(客観的にみて)
音楽のかたち、展開はわりとしっかりしているし
音の質もわるくなさそう。
だいぶ甘さがとれ、ダイナミックさも出てきてたし、
いちばんネックだった、対位法的に書かれたフィナーレの展開部(フーガのように展開する圧倒的な音楽の流れ)は、自分がやってるとは思えぬくらいちゃんとどの声部(同時進行するメロディー)も弾き分けられてる。

けど、そう、音が細かく走る部分や、3度や4度の和音で弾くパッセージになると
グチャグチャ。

思い出すと赤面ものなのだけど
そういうところを弾いてる時は、本当に腕が縮こまってた。
ビビってしまって。


大体フィナーレに先立つ、遅く幽玄な第3楽章で、
ここはずっと左足で弱音ペダルを踏みっぱなしにしているのだけど
その左足が震えっぱなしだった。


どうして、こう本番に弱いんだろうなあ。
ピアノが一番弱いんだよな。
同じ舞台でも、歌をうたう時とか、
芝居の養成所で(実際の舞台ではなかったけど)、たくさんの人の前で演じても
ピアノほどアガらないのに。


でもね。


やめられないんです。


これだけの曲に取り組めたことが嬉しい。

種のような小さなモチーフが、あれだけ深く大きく音楽として拡がっていく
ベートーヴェンの創作をまたも体験できたことが嬉しい。


そしてもう来年の曲も検討し初めているし。(←ホント懲りない)
















...

寂しいな - 2006年06月16日(金)




前回、「連日オーケストラ」なんてタイトルをつけつつ、
N響の方を全然書かずに終わってしまいました。

で、今回…と思ったのですが、
悲しいことがいくつもおきました。

そう、作曲家ジェルジ・リゲティが亡くなり、
指揮者、岩城宏之さんが亡くなり、
さっき仕事仲間から連絡があったのですが、
やはり指揮者の佐藤攻太郎さんも亡くなられた。


人は誰でも、いつか死ぬ。

それがわかっていても、そして歳をとって何度それに出会っても
やはり寂しく悲しい。


この中でリゲティが一番世界的なのだろうけど、
この国で、しかも音楽の仕事をしていれば
岩城さんの存在は大きかったし、
佐藤さんも地味ながら、時々オペラの指揮などを聴くにつけ、
大事な存在だな、といつも思ってました。


岩城さん、最近実演聴いてなかったですね!
こういう時だから言うわけではないですが、近頃、久々に聴きたいな岩城さん、
とよく思ってました。

私が学生の頃、年に1度くらいN響の定期だとか何だとか指揮してましたから、
結構聴く機会がありました。
その度に思ってたのは、岩城さんが指揮するとオケの音がすっきりキレイに鳴るんだな、ということ。

今になってみると「耳がいい」ということに起因することで、
だからこそ、武満徹をはじめ、現代曲の初演に長け(初演魔と言われてたんですよね)
近代の音楽だったら、プロコフィエフだとかストラヴィンスキーのような、音が込み入った音楽の演奏で特に印象が残る指揮者でした。

前に一度、一緒のテーブルで大勢と食事をする機会があって、
彼が書く軽妙で面白い本と同じく、歯に衣着せぬ物言いをする方、頭のいい方だなあ、と思ったのを覚えています。

そして最近のオーケストラ・アンサンブル金沢との活動。
「コンポーザー・イン・レジデンス」という、いわゆる「座付き作曲家」制度を始めて、
定期的にこの人たちに新作を書いてもらい、アンサンブル金沢で初演するという、
彼ならではの活動に、何より私は注目してました。
だって、そうして新しい音楽が生み出され、繰り返し演奏されていかなかったら
音楽はどこかで閉塞してしまう、って怖さがあるから。
ホント、行動家でしたね〜。

それがまたCDにもなって(しかも1枚1000円)、売られるものだから
私は何枚も買いました。
権代敦彦さん作曲の「愛の儀式」という曲(笙とオーケストラのための曲)、結構何度も聴きました。



現代の音楽といえばリゲティのことも。

リゲティこそ現存最高の作曲家だと思っていましたから、もう充分な御歳だとはいえ、
やはり残念です。

私が好きだったのは、例えばブーレーズやシュトックハウゼン、故ベリオらと比べて、
かつて動乱に満ちていたハンガリー生まれという彼のルーツがそうさせるのか、
同じように音が複雑で鮮やかであっても、そこに強い「意志」や「祈り」を感じさせてくれること。

彼を有名にした、トーン・クラスターの技法(色んな楽器が音をず〜〜っと伸ばし、それが各々入ったり出たりすることで音色や音の増減が変化していくような音楽)で書かれた
「アトモスフェール」(映画「2001年宇宙の旅」で使われた)や
「ロンターノ」といった初期の作品も好きですが、
あの大好きな名ピアニスト、ピエール=ロラン・エマールがリサイタルで弾いたり、CDで出してくれた、あの素晴らしいエチュード!

ホント、これも一時期よく聴きました。


それから何年前でしたっけ?
やはり大好きな指揮者、エサ=ペッカ・サロネンがフィルハーモニア管弦楽団とともに
東京オペラシティでやった「リゲティ・フェスティバル」。

悲惨な客入りでしたけどね、(あの大ホールに500人くらい?1F席は前半分くらいしかお客がいなかった…)
私はすごく楽しかった。
サロネンがまた素晴らしく、透明に明晰に音楽の姿をくっきりと聴かせてくれるものだから、リゲティの音楽が格別に魅力的に響いていたのを思い出します。


う〜ん、やっぱりため息。


どうか、亡くなられた皆さん、
私がいつかそちらに行った時、また素敵な音楽聴かせてください。

今までありがとうございます。










...




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