ある音楽馬鹿の徒然カキコ♪...みゅう太

 

 

原初的・・・ - 2006年04月07日(金)




「人は何故音楽をやるのか。」
「人は何故踊るのか。」


この2つの、人間だけの特殊な行為、
全然違うことだけど
「ナゼ」という部分は同じところに根ざしてる。



今日、久々にバレエ(ダンスというべきか)を観に行って
そう思いました。



ピナ・バウシュ&ヴッパタール舞踏団。
(舞踏好きの方には恥ずかしながら、私は初めて観ました。)







...

夢のような一晩でした - 2006年03月30日(木)



…って別に色っぽいネタでもなんでもなく
いつもの話、コンサートです。


昨日行ったバリトンのベルント・ヴァイクルの「ワーグナー&ヴェルディの夕べ」。
飯守泰次郎指揮する東京シティ・フィルとの共演。


前にも書きましたが、何と言っても歌手、
そして極めつけの名歌手の名唱ほど心震わせられるものはないです。

実は私は昔からヴァイクルが大好きで
学生時代から彼の声が私の理想。


柔らかく、甘く、気品があって
ふくよかに拡がる深い響き。
他の誰からも聴けない美声。
一声聴けばすぐヴァイクルのものとわかる声。

初めて聴いたのは1986年、N響の1000回定期公演記念で
サヴァリッシュが指揮をしたメンデルスゾーンのオラトリオ「エリア」。
彼がエリアの役を歌ったのだけど、それに感動して
私は自分の卒業試験に、エリアの後半のアリア「主よ、足れり」を歌ったくらい。


そして何といっても、ヴァイクルといえば、
(絶対昨日来てたお客さんの大部分がそうだと思うのだけど)
ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のハンス・ザックス。
それも1988年バイエルン州立歌劇場日本公演での彼の名演は
忘れられない。

あの舞台はサヴァリッシュの指揮のもと
ヴァイクルはじめ、ルネ・コロ、ルチア・ポップ、ペーター・シュライヤー、ヘルマン・プライ、クルト・モルといったドイツ系最高の歌手のオン・パレードで
あんなキャスティングでオペラが観れたなんて、今でも夢のような気がするし、
大体、今じゃ絶対あり得ないだろう。


そのザックスを昨日も彼は歌い、
それもあれから20年近いというのに
あの頃そのまんまの声で、私は本当に夢を見ているようだった。
さすがに涙がでました。


まあ、彼も64歳なので、
ところどころ、長くゆったりとしたフレーズになると
往年のように声のテンションを支えられないところもあるにはあったけど。
(アンコールで歌った、ヴァイクルの十八番中の十八番、「タンホイザー」の「夕星の歌」)
でも、それは彼の素晴らしさ全体からすれば、微々たるもの。


あと、私はヴァイクルが歌うヴェルディというのは全く初めてでしたが、
そう、イタリアの名バリトン(例えばブルゾン)とは声の質感こそ違うものの
やっぱり持ち前の知性と経験がそうさせるのかなあ、
「オテロ」のイヤーゴの悪魔ぶり、
「仮面舞踏会」のレナートの男の怒り、
「ファルスタッフ」の喜劇的な怪物ぶりなんか
全部それぞれにしっかり出てくる。


これにはホント感心しました。



ヴァイクルのザックスが再び聴けただけで満足するはずだったのに、
それに今回が最後だ、と覚悟して行ったのに、
また聴けるならもっと聴きたい、とすっかり気が変わってしまいました。


「人の声こそ最高の楽器」だ、ってよく言いますが
私にとってはまさにヴァイクルがそれですね。



ところで、指揮した飯守泰次郎さん。
この人が指揮するワーグナーがこれまた素晴らしいんです。
(彼は70年代に、ワーグナーの聖地、ドイツのバイロイトで長らくアシスタント・コンダクターを務めていた。何といってもその時の経験からくる財産でしょう。)

実は、これももう15年くらい前かな、
ヴァイクルが、やっぱり「ワーグナーの夕べ」をやった時も
指揮は飯守さんだったんです。(オケは東京フィルだった)

ファンの方にとってはそんなこと言うまでもないのでしょうけど、
それにしても彼が指揮するとどうしてああいう底力のある、
これぞワーグナー以外何物でもない、って音が出るんでしょうね。
不思議。



ヴァイクルを聴くには、日本でこれ以上のパートナーは考えられないです。




















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