とり・みきの映画吹替王

「とり・みきの映画吹替王」読了。洋画を中心に吹替えをしていた声優インタビュー集。なので新しい声優はいません。山寺宏一が最若手。

テレビのなんちゃら洋画劇場で映画に親しんだ世代だと楽しい本ですね。なんとなくそれぞれの声も思い出せるし。待遇改善のストを契機としたけっこう根深い問題とか,吹替え初期にいた舞台系とそれ以外の人たちの対立とか,シリアスな話も出てきます。アニメ声優じゃこういう本にはならんよな。
2004年09月07日(火)

凹村戦争

「凹村戦争」読了。ハヤカワJコレクションの一冊だけど,小説ではなくてコミックス。凹村(おうそん)の凹中に通う三人の学生(みんな苗字に凹がついている)の話だが,ストーリー的には要約不能。凹村上空を飛び交う流れ星を見て,主人公は何かが迫ってきているんじゃないかと思う。他の村人は村の外のことには一切関心がない。主人公の友人の凹伴は秀才で,何かを知っているようなのだが,主人公の「村の外へ」という衝動に冷たい視線を向けている。
こんな中で淡々と妙なことがおきる。独特の可愛らしい絵とあいまって,不思議な魅力があるよね。でもあまりに飄々としすぎて,金返せっていう人もいるかも。
2004年09月01日(水)

亡国のイージス

ハードカバーで挫折した「亡国のイージス」を文庫本で買いなおして読了。なかなかに骨太な冒険小説であった。映画化が進んでいるのだが,出演を決めた韓国の女優が「日本の再軍備を促す映画に出た」ということで大変だとか。そんな小説ではないことは読めばわかる。これは日本という国を考え直そうという小説である。自分の国を守ることを真剣に考えなかった国が,どのような災厄に巻き込まれることになるのか。
自衛隊のイージス艦「いそかぜ」が,北朝鮮のテロリストと結託して叛乱を起こす。しかし,その情報をいちはやくキャッチした自衛隊の情報局が,工作員を艦内に送り込んでいた。しかし,工作員はたった一人。「いそかぜ」をそして日本を救うのは誰か。「女王陛下のユリシーズ号」なんかを思い出しますね。こっちのほうがウエットだけど。
2004年08月28日(土)

揺籃の星(上/下)

J.P.ホーガンの新作「揺籃の星」を読了。いやあ,久々にホーガンの面白い小説を読んだよ。面白いぐらい出てくるキャラに個性がないホーガンですが,この小説では個人間の争いとともに組織間の争いが描かれていて,されがオモロイ。ホーガンはこういうのが向いていたのかも。
土星に移住した人々が,そこに(ホーガン的)理想郷を作り上げる。ある日彼らが地球の危機を知らせてくる。既成の理論に合わない事実を受け入れない地球側科学者は,土星人(じゃないけど)と激しく対立して,結局はその指摘を全て無視/放棄してしまう。ところが,突然土星から巨大彗星アテナが飛び出し,地球に接近。地球にはアテナの影響で大災害が訪れる。土星人(じゃないけど)のいう通りだったのだ..
そして何より素晴らしいのは金子隆一によるあとがきでしょう。ホーガンがこの小説のベースとしたヴェリコフスキーの「衝突する宇宙」論と,それをめぐる問題点を分かりやすく解説して「揺籃の星」のたつポジションを浮き彫りにしています。
あとがきまで読まないと,読んだことにならない本ですね。
2004年08月18日(水)

斬魔大聖デモンベイン 機神胎動

「斬魔大聖デモンベイン 機神胎動」を読んだ。古橋秀之の新刊。「デモンベイン」は,元々PCのゲームで,それのノヴェライズとして小説が三冊出ている。本作は外伝という位置づけ。
クトゥルーの邪神と戦う巨大ロボというのが基本設定で,ここに燃えられないとこの本は読めませんな。「デモンベイン」は,古橋秀之の「ブラックロッド」シリーズスに影響を受けているらしいから先祖返りなのだろうか。ブラックロッドほどには魔術趣味が濃くないけれど,魔術書の写本として,パンチカードを使った「機械語写本」とか出てきて古橋流ガジェットは健在。相変わらず一日で読めてしまう。
2004年08月09日(月)

カルカッタ染色体

「カルカッタ染色体」読了。インド製マラリアSF。いやはや,これはどういう小説かなあ。インドが舞台で,マラリアのことばかり出てくるSFなんて,想像できないよね。

マラリアの原虫の発見(発見した人はノーベル賞を取った)には,なんらかの作為的な働きかけがあったと信じる変な男が主人公で,一言じゃ説明できないような展開を見せるのだけど,とにかく面白い。描写されるインドの街の様子とか,次々出てくる変なキャラとか,ひたすらカオスです。はい。
2004年07月26日(月)

陰摩羅鬼の瑕

「陰摩羅鬼の瑕」読了。やっと読んだよ! 今調べてみると発売は2003/8だった。なんと1年も放置していたのだ。だって重いんだもん! 一念発起して通勤電車の中で読みましたよ!
で,今回はネタは即割れます。犯人もすぐ分かる。本の表紙にも「本格小説」って書いてあって,推理小説とか探偵小説とか妖怪小説とか書いてないもんなー。ペダンチックな会話はいつもの通りで,今回のお題は「儒学」です。榎木津が炸裂しないとか,京極堂がちょっとしか出てこないとか,ストーリーがシンプルすぎるとか,いろいろ批判されていまけど,京極作品は「本を読む愉しみ」を与えてくれる。これが一番大事なところだと思う。
2004年07月20日(火)

〈美少女〉の現代史――「萌え」とキャラクター

「〈美少女〉の現代史――「萌え」とキャラクター」(ISBN:4061497189)読了。
コミック・アニメの美少女表現の変遷をたどりながら,見る側の意識の変化を解きあかしている本。なかなか面白いんだけど,結末にむかってちょっと話が広がりすぎかな。Amazonでは自分の妄想している解とは違うということで批判されているけど,これはこれでアリだと思うよ。
2004年07月05日(月)

上司は思いつきでものを言う

「上司は思いつきでものを言う」(ISBN:4087202402)読了。
けっこう話題になったようだけど,やはりオレには橋本治の文体は合わないと再認識。内容もいまいちピンと来なかった。もっと大きい会社で無能な上司の元で修行を積まないとだめか。
2004年07月03日(土)

日本の偽書

「日本の偽書」(ISBN:4166603795)読了。
私のこよなく愛する偽書ネタです。この本では偽書のなかでもいくつかの代表的なもの(竹内文書や東日流外三郡誌など)にしぼり,その成立過程や偽書が広まって行った背景などを解きあかしている。
偽書を作るのは簡単だけど,これを否定するのは本当に大変。嘘はついたもん勝ちですなー。
2004年07月01日(木)

ま2の本日記 / ま2