マルドゥック・スクランブル 圧縮/燃焼

美少女アクションSFマルドゥック・スクランブル開幕。第一巻が「圧縮」で,二巻目が「燃焼」です。虐待を受け殺されたかけた主人公が「スクランブル9」という法律を適用されて生還する(スクランブル9が適用されると,通常は禁じられている技術が使えるのだ)。主人公の少女は電子機器に対して遠隔的に干渉できる能力を手に入れ,どんな武器にも自在に姿を変えるネズミ型の生物を相棒にする。

あまりといえばあまりにベタな設定ですが,アクションシーンはけっこう燃えます。主人公をサポートするドクターもいい味出している(この人もベタな設定なんだけど)。自分を殺した相手を追いかけて復讐するだけの話にならないところがよくて,物語に厚みを加えている感じかな。。次から次へと出てくる敵やら味方やらのキャラもたっております。つい最近「排気」がでました。これで完結らしい。一冊があまり厚くないので気軽に読めるのもイイ。
2003年07月15日(火)

日本オタク大賞

こいつは,ロフトプラスワンの企画で,BSで放送されているらしい。今回で二回目。審査員のメンツは,岡田斗司夫,眠田直,鶴岡法斉,切通理作,唐沢俊一あたりのメンツ。1年間のオタク的ニュースを振り返り,適当に論評しながら最終的に「オタク大賞」を決めるという番組を書籍化したものでございます。まあ笑える座談会と思えばいい。本にはなっていないが2001年度の受賞作?はこのへん(http://www.super-otc.com/award/)。
2003年07月07日(月)

チョウたちの時間

山田正紀の「チョウたちの時間」を読了。20年振り? 例によってまったくストーリーは覚えていなかった。こんな話だっけ。電子の直径を光が横切るのにかかる時間を「時間粒子」と呼ぶという設定にすごい衝撃を受けたのは覚えているんだけど,他は新作を読んでいるのと変わりませんな。人間の「時間」に干渉してくる強大な敵との戦いが描かれているんだけど,いまどきのSFだったら,出てくる「敵」をとことん異形のものとして描くんだろうと思う。ここではファンタジーっぽい扱いになってしまっています。今の視点で見ればそこが物足りない。とはいえ山田正紀はすごいね。
2003年07月01日(火)

将棋の子

将棋界のマドンナ高橋和と結婚した大崎善生の「将棋の子」を読了。いやー子供を棋士にするのはやめましょうね。プロをめざす子供たちが集まる「奨励会」を中心に描いたドキュメンタリー。

奨励会には年齢制限(ある歳までにある段位に到達しないとクビになる)があり,これを突破しない限りいわゆるプロ棋士にはなれない。幼いときから敵なしの天才将棋少年(or少女)として育ち,30歳近くまで将棋だけを生活のすべてにして,そしてプロになれなかった者にはなにがあるのか。この本では奨励会を去っていった人たちを中心にその後の生活を描いている。ドキュメンタリーというにはあまりに叙情的なタッチだけど,筆者は将棋雑誌の編集者として長年業界にかかわった人間でもあり,そのシンパシーが伝わってきますね。
2003年06月25日(水)

藩校早春譜

「藩校早春賦」は,学園青春モノ。ただし時代劇。何気なく読みはじめて思わず感動して泣く。電車の中で泣くと恥ずかしい。幕末のととある南国の小藩が舞台となる小説です。主人公は15〜16歳の三人の少年たちで,まあひたすら爽やかで清々しい小説でございますな。良いやつはちゃんとかっこよくて,悪いヤツがちゃんと憎たらしいのが素晴らしい。キャラがたっているのに加えて話がうまいので,あっという間に読めまてしまいます。ああはやく続編が文庫にならないかな(文庫待ちカヨ!)。
2003年06月16日(月)

アリス

「quater mo@n」の作者中井拓志による脳SFホラー。オープニングは,なんつーかアキラ君覚醒の精神バージョンというノリで迫力満点。"爆心地"近くの人間は全員重度の精神障害に陥る謎の現象を追ういうのがメインストーリーであります。後半になると謎解きになってきて,ややトーンダウンしてしまうのが残念。アリス大爆発を見たかったなあ。
2003年05月21日(水)

マイコン少年 さわやか漂流記

いやあ笑った笑った。というか笑うしかない。

これは8ビットPCの黎明期(まさに暗黒時代)からの,著者のマイコンの歴史を綴ったものなんだけど,当時の少年がみな一度はハマった(ホントか?)クソゲー,ソフトコピー,レンタル,アジア買い出しというフォース暗黒面まっしぐらな内容。いやあ,あの頃は売っているソフトもハードも周辺機器もまさに玉石混淆で,ひどいものは目も当てられないひどさだったからなあ。特に金のない子供にとっては受難の時代だったわけですね。

出てくるキャラも怪しさ爆発で笑えます。とても日本の出来事とは思えない。
2003年05月15日(木)

悪魔の秘薬

天才B級モダンホラー作家F.P.ウィルスンの新作。最近精力的にリリースされはじめた,始末屋ジャックシリーズです。F.P.ウィルスンは,ちょっと前まで自分のモダンホラーの各作品を1つの大河シリーズにまとめるということをやっていて,そっちの方はすでに完結まで行ってしまったので,最近かかれている始末屋ジャックシリーズは,その前に起きたことになっています。

今回は人間を極端に狂暴化させる謎の麻薬「ロキ」と,それにからむ化学者,暗黒街の顔役,フリークショーの団長と,例によって個性的キャラの面々が登場します。懐かしい?化け物も登場して,相変わらず一度読みはじめると止まりません。なんか全作品を読み直したくなってくるんだけど,もう持ってないしなあ。
2003年05月13日(火)

私家版鳥類図鑑

諸星大二郎の「私家版鳥類図鑑」を読了。ホラーっぽいのあり,ミステリーっぽいのあり,中国っぽいのあり,SFっぽいのありという鳥をテーマにした連作集。世界が塔の形をしていて,その中に階層を重ねるように無数の"街"があり,外周に掘られた螺旋階段をたどって上下に行き来する人々がいる..なんて世界観が実に諸星大二郎らしいなあと思ったり。
2003年05月06日(火)

物理学と神

これはなんと言ったらいいのかな。物理学という学問がいかに神との折り合いをつけてきたか,あまいは神を葬り去ってきたかという観点からの科学史って感じでしょうか。新書だから,それほどシリアスな本ではありません。例えば天動説と地動説,定常宇宙と膨張宇宙,ニュートン/アインシュタイン的決定論と量子論,カオス,人間原理主義といった物理学のトピックにおいて神はどういう立場に置かれたのかを解説しています。

興味深かったのは,物理学では「どうなっているのか」を解明することはできても「なぜそうなのか」は説明できない。例えば重力加速度がなぜ現在の値なのかは説明できないというくだりですね。このへんに「神の手」を感じてしまう人もいることでしょう。
2003年05月01日(木)

ま2の本日記 / ま2