ゲーム業界のふしぎ

がっぷ獅子丸先生復活。「悪趣味ゲーム紀行」などで毒を吐きまくった,がっぷ獅子丸先生による新作です。学習マンガの形式になっていて,妙に健全な絵が笑えます。

少年と少女がゲーム業界のふしぎを聞き,それを獅子丸先生(なぜか海賊フックモード)が答えていくという,まさに学習マンガの王道ですね。とはいえ内容は相変わらずの毒吐きまくりですが。ワンパターンといえばワンパターンなんだけど,ゲーム業界のてんぱっちゃった話はとにかく笑えますなー。
2002年12月20日(金)

メバエ

もう飽きた? 岡田斗志夫と山本弘をホストに毎回濃すぎるゲストを招いての鼎談集です。いつも変な人が登場していますが,今回はフィギュアで有名な海洋堂の専務の話がかなりー笑えます。

チョコエッグで何百万個というフィギュアを日本中に氾濫させた張本人いわく「日本人はフィギュアが嫌いで絶対に買わない」。うーむ。その心は。
2002年12月15日(日)

まるごとわかるアメリカンプロレス アメリカンプロレス スーパースター完全ガイド

話には聞いていたんだよなあ。WWFつーアメリカのプロレス団体については。ただアメリカプロレスはあまりに作りがすぎてウザイ(悪役レスラーが手を組んでベビーフェイスに助けを乞いながら,隙を見て凶器攻撃..みたいな)という印象だったのだけど,ある眠れない日にふとTVを見たらテレビ東京でやっていたWWFの中継をみて評価が一変。確かに作りは徹底している(100%作りであることを隠していない)んだけど,レスラーの能力や試合内容そのものは新日本の試合といっても十分通用するハイレベルなものでした。そこでさっそく本屋にいってこの二冊を買ってきました。

両方ともWWE(野生動物保護団体WWFとの訴訟に負けて改名)のトップレスラー(WWEではレスラーといわず"スーパースター"と呼ぶ)と,その代表的な試合を紹介していて,特にうれしいのが何人かのレスラーのインタビューが掲載されていることですね。ごき二冊を読むと,WWEの"作られた"ストーリーも理解できるし,スーパースター同士の関係もよく分かります。「ハムナプトラ2」に出演して映画スターになってしまったロック様は最近戦線を離脱しているらしい。うーむ。ちょいと昔の試合が見たくてDVDまで買ってしまった私でした。
2002年12月10日(火)

シンプリー・パーム

PDAブームを作り上げた超小型マシンPalmを世に送り出したPalm Computingの苦闘を描いたノンフィクション。いやあ面白かった。

PalmのコンセプトはCEOであるジェフ・ホーキンスが作り上げたものだけど,これが素晴らしいね。技術と使いやすさとコストのバランスを取りながら「使える」プロダクトに仕上げるバランス感覚がすごいと思いました。この本にもちらっと出てくるGeneral Magic社の仕事をしていた身としては,なんであのときこれに気づかなかったかなーと。初めてPalm(そのときはPilotという名前だった)を見たときには「ああ,これだ」と頭の中にあったPDAに対するいろんなバラバラな思いがピタリとかみ合うような感覚がしたものです。

しかしコンセプトで食えるわけも無く,Palmは身売りしたり,スピンアウトを画策したり,MSのCEマシンと戦ったり,波乱万丈の歴史を送りながら,会社は無くならずちゃんと製品をリリースしつづけている。これもえらい。まあとにかくPDAの歴史を知る上で最高の一冊であると同時に,1つのジャンルを作り上げた歴史的製品を追うエンターテインメントとしても一級ですね。
2002年12月02日(月)

怪文書II

前作も面白かったんだよね,これ。「怪文書」の続編です。作者の六角弘さんは,週刊誌の記者として取材中に出会った差出人不明・真偽不明の"怪文書"を収集して,それを一般に公開しているという変わった人物です。

しかしこの本を読むと,世の中で怪文書の出回らないジャンルはないですなあ。政治,銀行,大手企業,宗教法人,芸能界,はてはロータリークラブなんてのもある。インターネットの発達が怪文書を登場させやすくしているのかとも思ったけど,やはり正統派?怪文書はちゃんと紙に印刷されているらしい。ときには数百万部という単位でばら撒かれるそうだから,それだけで数千万円のコストがかかる。うーむ。女子アナを巡る怪文書も載ってます,これって木佐彩子のこと?
2002年10月16日(水)

クリプトノミコン (2) (3)

読んでも読んでも終わらない「クリプトノミコン」の二巻と三巻を読了。往復の電車内だけで読むのは大変な厚さ。「ハイペリオン」みたいな長大なシリーズというわけではなく,やたら長い一冊の本が,日本では毎月一冊ペースの四分冊で発売されたのであった。

テーマは暗号。いやそうなんだけどさ,この小説ってこれだけ長いくせに(長いから?)ディテールがものすごいんですよ。第二次世界大戦時の暗号解読の冒険談と,その子孫が現代で繰り広げるまた別の暗号をめぐる話が並行して描かれるのだけど,ディテールがすごい。無駄にすごい。主人公のひとりが,ジャンクフードをいかに最高の状態で食べるかについて延々と思考をめぐらせたり,PCから漏れる電波を傍受してそのディスプレイに表示されている内容を読み出してしまうテクニック(これは暗号ともからむちゃんとした話だけど)を使って同僚のノートPCをのぞいたら,そこに表示されていたエロ話をまた延々と綴ったり,オレはもう筒井康隆の「寝る方法」を全四巻で読まされている気分でしたね。最初はとまどうけど,だんだんヒステリックな笑いが出そうになってくるような迫力があります。

傑作だと思うけど読む人を選ぶ?
四巻目も楽しみであります。
2002年10月10日(木)

リメイク

コニー・ウィリスの「リメイク」を読了。話題の「航路」が死ぬほど長いらしいので,それを読むかどうか決めるために薄い本を一冊読んでみた。

CG技術の発達で,過去の映画から俳優の画像をデジタル処理で抜き出して,自由に演技させることができるようになったハリウッドが舞台。映画会社は新人を使うリスクを犯さなくなり,「マリリン・モンロー主演のプリティーウーマン」といったデジタル合成によるリメイクばかり作るようになっていた。主人公はそんなデジタル職人のひとり。そこに現れたのは「ミュージカル映画でフレッド・アステアと踊りたい」という夢を持つアリス。リメイクしか作らないハリウッドではとうてい不可能。もちろんCG合成なんて大嫌いなアリスであった。

映画俳優の名前やシーンが山ほど出てくるので,洋画に興味が無いと読むのは辛いでしょう。SFというよりファンタジーかラブストーリーか。薄いからあっと言う間に読めてしまうけど,SF的な濃さがないのでオレ的にはいまいちだったかな。
2002年09月27日(金)

異界への扉

出す小説すべて面白いF.P.ウィルスンンの「異界への扉」読了。今度の主人公は始末屋ジャックだー。

F.P.ウィルスンはリーダビリティ抜群のモダンホラーの書き手で,トランシルバニアの古城に宿泊したナチスが吸血鬼に襲われる「城塞」,相手に触れるだけであらゆる病気を治してしまう能力を身につけた医師の苦悩を描く「触手」,謎の生物ラコシと戦う"始末屋ジャック"もの「マンハッタンの戦慄」,第二次世界大戦で日本の闇の宗教団体がアメリカ全滅の秘法復活を企む「黒い風」,どれをとってもオモロイオモロイ。

その後F.P.ウィルスンはこれらの個別の作品を1つのシリーズにまとめあげる作業を始めます。これが"ナイトワールドサイクル"と呼ばれるもので,今までの怪異はすべて太古の昔から連綿と続く悪と善の戦いの一面だったことが明らかになります。この設定は「またかよ」って感じで,なんでアメリカ人は善悪二元論が好きかなあとか思っちゃうんだけど,とにかく本は面白い。

このシリーズの中でもっとも魅力的な主人公が"始末屋ジャック"です。プライバシーの漏洩を何よりも恐れ,住所や氏名は誰にも知られず,身分証明書もカードも持たない男ジャック。彼の仕事はとにかく妙な揉め事の解決で,ジャックならなんとかしてくれると様々な依頼が来ます。

「異界への扉」は,UFOとか超能力とか政府の陰謀とかを心から信じている人たちが会合を開くホテルが舞台です。ジャックと彼らの会話はまさにトンデモ本の世界で笑ってしまうんだけど,そこで事件が起き始めるんですね。しゃべる猿とか,超人的な能力を持つ黒づくめの双子とか,あやしいキャラも満載です。

相変わらずのノンストップ小説で,最後の方まで読んでもいったいどういうエンディングに向かうのか全然見当がつかない。やはりこいつはB級の天才だな。
2002年09月18日(水)

銀河英雄伝説外伝 4,5

あっと言う間に読めてしまう「銀河英雄伝説外伝 4,5」読了。ユリアン・ミンツの日記形式で,イゼルローン要塞に赴任したヤン・ウェンリーとその仲間たちの日常を描くスタイルです。日記にするとエモーショナルになりすぎるような気がして,銀英伝にはいまいち向かないような気がしますね。事件よりキャラクターを描いているという感じです。しかし,いろんな戦いや事件が言及されるので,なんだか正伝の方も全部読みたくなってきてしまった。これって罠?
2002年09月12日(木)

蹴球戦争

馳星周の「蹴球戦争」読了。相変わらずといえば相変わらずで「この国(日本のことね)のサッカーはひどい。これはサポーターと協会とマスコミのレベルが低いからだ」という持論は止まりません。でも日本と韓国で開催されたW杯を十数試合みての観戦記なので,リアルタイム感がいいですね。もうとにかく悪口ばかりなんだけど(スタンドでタバコが吸えないから怒るというのはどうか思うヨ)。W杯期間中は韓国サッカーに対してはかなり辛辣な論調が多かったようだけど,馳星周は韓国サッカーを絶賛している。これもまた面白い。ときどき出てくる金子達仁が笑える。
2002年08月25日(日)

ま2の本日記 / ま2