悪者見参

「悪者見参」読了。ストイコビッチを中心としたユーゴサッカーの面々を軸として,ユーゴ内戦(コソボ紛争)を追ったノンフィクション。いやあ面白かった。

しかし,自分がいかに無知かが分かったなあ。まさか「民族浄化」って言葉が,アメリカの広告代理店が考えたキャッチコピーだったとは。ユーゴ代表に勝てそうに無かったアイルランドが,意味もなく対ユーゴ戦を中止にして,その上FIFAに「3-0で不戦勝にしてくれ」と頼んでいたとは。もうとにかく知らなかったことばかり。民族感の紛争はほんとうに不毛であることがよーく分かります。
2002年03月22日(金)

スノウ・クラッシュ

「スノウ・クラッシュ」byニール・スティーブンソン。いやあ面白かったなあ。系統はサイバーパンクだと思うけど,とにかく以前のサイバーパンクと違うのは面白いってこと。こりゃ「面白いサイバーパンク」ってジャンルだと思った。

主人公は日本刀を携えたハッカーにしてピザ宅配人。こいつと運び屋のY.T.の二人が人間に感染するデジタルなウィルス「スノウ・クラッシュ」をめぐる事件に巻き込まれるって話です。メインアイディアは半村良の伝記モノに匹敵する大風呂敷で楽しいし,ディテイルもこりまくり(犬から作る番犬ロボットとか,都市単位で国家が乱立する"フランチャイズとか",主人公が利用する仮想空間メタヴァースとか)で,読んでいて飽きることがないっす。
2002年03月14日(木)

お父さんは時代小説が好き

「お父さんは時代小説が好き」読了。時代小説と書いて「チャンバラ」と読む。吉野朔美の本に関するエッセイ風の漫画です。「本の雑誌」に連載中に全部読んでいると思うけど,文庫化された記念に買ってみました。対談とかあとがきとかも追加されているし。

基本的に本に関するあれこれが描かれたものですが,一冊の本をめぐって面白いのつまらないのと議論を戦わせる活字中毒者の生態観察書とも言えるかな。絵柄がほのぼのしていてとても好きですな。
2002年03月07日(木)

だめんず・うぉーかー 3

「だめんず・うぉーかー 3」読了。ダメな男にばかり引っかかる女性(だめんず)を描くこの実録漫画もとうとう3巻。相変わらずのノリですなあ。しかし,こういう態度で女性と付き合えるオトコがいるというのが驚きだよなあ。もしかして暴力って普通?
2002年03月03日(日)

プラネタス

「プラネタス」の1巻2巻を続けて読了。宇宙飛行士を描いたSF漫画ってことで,大昔に読んだ「アストロノーツ」(沖一+史村翔)なんてのを思い出したけど,「プラネタス」の方が人間の描き方が抜群にうまいね。

主人公はデブリ(宇宙に漂うクズ)回収屋の青年で(つまり未来の物語なんですな),いつか自分の宇宙船を持ちたいと夢見ている。こいつ(けっこうアホ)が,成長していく姿が描かれているんだけど,マインドがSFしてるよね。とくに事故で宇宙にしばらく放置されてしまい,無感覚に耐えられなくなってしまった主人公が立ち直るシーンは感動的。
2002年03月01日(金)

テレビを消しなさい

山本直樹(エロ漫画家)の「テレビを消しなさい」読了。いつも漫画家の本を読むと思うが,漫画の方が面白いのであった。ただアシスタントを雇うのがイヤで,マックを導入してすべて自分で書くようになった経緯がでてきて,これは面白かった。

Photoshopを使わず(スキャナも使わず),SuperPaintなんてレトロなお絵描きソフトを使っているそうな。SuperPaintのペンの太さは一定で,筆圧感知とかにじみとかかすれとかぼかしなんて機能はない。山本直樹はこれで「ペンタッチから開放された」と言うんですね。山本直樹は本職の(っていうとヘンだけど)漫画家にコンプレックスがあるようで,自分のペンタッチにこだわりがないのだな。ふーむ。
2002年02月14日(木)

ちょっと待て

忙しくて1月は何も書けず。
記憶を掘り起こして過去を補完します。
2002年02月11日(月)

牌はささやく

1月は日記をつけていなかったので,今から(3月)記憶に頼って,適当に埋めていきます。「牌はささやく」は麻雀小説のアンソロジー。阿佐田哲也の作品がちょっとひねりすぎな選択な気がするけど,山田風太郎のお馬鹿な話(昔読んだときにあまりにアホな話なので,よく記憶に残ってました。これ)とか,黒田博行の王道の博打モノとか,なかなか読ませますね。
2002年01月10日(木)

サムライ・レンズマン

まさかレンズマンの新作が読めるとはねえ。作者はブラックロッドシリーズの古橋秀之とくれば期待しないわけにはいかない。「サムライ・レンズマン」という題名もいいね。

主人公はシン・クザクという盲目のレンズマン,武器は日本刀で,アルタイル柔術(ははは)の達人でもある。お懐かしいキムボール・キニスンも出てくるし(リゲル人とかも出てきます),超化学兵器にはいちいち動作原理が説明されるE.E.スミス節も踏襲していますなあ。レンズマンなんだから主人公はもっと強くてもいいくらいかな。
2001年12月25日(火)

煙か土か食い物

「煙か土か食い物」読了。傑作。ミステリノワールとかいう不明なジャンルらしいが,読んでみると「ボビーZの憂鬱」とか思い出す。でもちゃんと謎があるから,オフビートなミステリですね。

主人公のキャラがすごすぎ。奈津川四郎はアメリカでERの医師をやっているのだが,母親がけがをしたという知らせを聞いて帰国(これが福井ってのがまた変)。母親は実は連続主婦生き埋め犯に襲われたと知り,独力で犯人探しを始める..って書くとなんだか普通だけど,この四郎君は新本格ミステリ史上最強のキャラといってもいいっす。謎はがんがん解く。暴力はふるいまくる。女とは寝る。捜査には介入しまくる。これがリズム感あふれる一人称の文体で語られると快感快感。で,兄弟である一郎,二郎,三郎もすげーキャラであることが分かり,父親も祖父もすげー。どうなってんの奈津川家。

メチャクチャな謎が四郎の力技で解決していくんだけど,ラストも盛り上がります。この小説だけは続編は無理だろうと思ったのだけど,すでに出ているらしい。おなかいっぱいだから,続けて読めないっすよ。2001年のミステリではベスト1。
2001年12月20日(木)

ま2の本日記 / ま2