目次過去未来


2001年11月26日(月)  独白 「オオカミと嘘」

自分は「嘘吐きオオカミ」の筈だったのに
ふとしたはずみで気付いた時にはとっくに嘘に喰われていて
皆を騙して喜んでいた羊飼いより余程、惨めな有り様だった。

体が重い。
まるで、腹に石を詰められた間抜けなオオカミのようだ。

ひとつ違うのは
この腹でゴロゴロと硬い音を立てているのが
吐き続けてきた嘘の、塊だということくらい。

 巧妙な嘘のつもりだったんだ。
 いつでも取り繕えるように、しっかり憶えてもいた。
 吐いた嘘の半分は、想い出の映画の半券みたいに
 全部、心の隅に重ねておいたんだよ。
 それが、どうやら、誤算だったらしくて。

・・・もうひとつあった
憐れなオオカミと違うところ。
この塊を腹に押し込んだのは
ヒーローの狩人なんかじゃなく
紛れもない過去の自分だということ。
これじゃぁ、誰かに哂ってもらうこともできない。

ましてや、救けてくれ、なんて。


2001年11月22日(木)  或る人の口癖

尊敬するある人の口癖を、今日も聞いた。


「筆が滑る」

文章を読んでいると、部分的に何か落ち着かないようなところがある。
本来書かれるべき内容が十分に書かれていない感じ。
書いた人間が書きたかったような内容とは離れている感じ。

読んでいてあることだから、書いているときにもやはり同じようなことがある。
筆の進む先は其方じゃない気がしているのだが、
何故か、いちばん書きたいこととは違う方向に筆が走ってしまう。
あるいは、ちょっとつけたしてはみたものの納得が行かず、
それでも消してしまうには惜しくて、ついついそのままにしてしまうような。

もっとも今の世の中、筆はあまり走らなくなってしまったが。


2001年11月21日(水)  熱にうかされ


・・・熱が出るっていいなぁ。

脳の膨張したような不快な快感をタダで味わって、

13時間も寝て、

ビミョーに飯食って、

仕事する自分を褒めるのまでアリ。


でも、これも37度台までかな。
それ超えたら、重要過ぎるが故に無駄な機能、って感じがしません? 笑えなくなるし。
なんか知らんが悪者が繁殖したなら、せっかくだからそのままにしといてくれよ。
いっそのこと。


2001年11月19日(月)  噂の流星群

田園都市は最高だ。
何が最高かといって、星の綺麗さをおいて他にはない。
本当に他には何もないのだ。しかし。

正真正銘、星が降ったので、とりあえず満足なのである。

しし座流星群とやら。
日本が観望に最適だったと聞いたが、本当かもしれない、と思った。

全天(=ここでは見える範囲)で、1分間に20個前後。
大火球(←変換に自信なし)満載。
寒さもかなりのモノだったが、ま、快晴だったので仕方なし。
靴下2枚履きで行っちゃったぞ。山に行く格好だ。
・・・行ったのは田んぼの真ん中だけど。
平地でも東京よりは2・3度分寒いともっぱらの噂だし、許してほしい。

その見事さと言ったら、
隣に居る至らない(そのクセやたら趣味の合う)恋人に、
思わず満足してしまうほどだったのだから。


2001年11月16日(金)  流れゆく想いと共に

街路樹の紅(あか)が空に滲んで、晴れ渡った高い空を夕焼け色に染めている。
地上から天へ溶けだした、秋のいろ。
ひんやりと澄んだ空気。

彼方へ溶けてしまいたい。


真 |MAIL