無責任賛歌
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| 2001年03月18日(日) |
めおと変態/『セクサドール』(石ノ森章太郎)ほか |
休日だけれども出勤。と言っても午前中だけだし、帰りに買い物もできるのでまあいっかな。 この間から女房が「マクドナルドの照り玉バーガー食いたい」とぴーぴーうるさいので買ってきてやる。女房はやっぱり寝ていたが、「ハンバーガー食うか?」と聞いたら「食う」と言って起きてくる。 ポストの中に郵便局の不在通知が入っている。送り主を見てみると、「アートスフィア」。わわわっ。シティボーイズミックス『ラ・ハッスルきのこショー』のチケットではないか。女房のやつ、また寝ていて郵便に気がつかなかったな。 いつも「一日中寝てるわけじゃない」と嘯く女房だが、それなら全ての郵便が不在通知になる事実はどう説明をつけるのだ。 慌てて郵便局に電話して、夕方に届けてもらうようにする。 6時過ぎにチケットが届く。ちゃんとS席3枚、5月3日の分だ。前の方でもやや端のほうの席。チケット販売2時間後だとこんなものか。ともかくこれで東京行きは完全決定である。今月と来月は節約せねば……って、『ガメラBOX』に『ブルース・ブラザースBOX』もあるんだよう。食費を減らすしかないじゃないか。 ……来月はラーメン生活だな。 チケットと一緒にチラシも封入されていたが、表はタイトルのみ、裏は会場と問い合わせ先のみ。出演者の写真すら載っていない。情報量は必要最低限に絞られているのだが、それがかえって潔くすっきりしたデザインになっているのはさすがである。ウチのチラシはこうはいかないものなあ。 来年の仕事の予定が先日決まったのだが、5月6日に休日出勤なんぞが入っているのである。……危うくニアミス(・・;)。もっともぶつかったらぶつかったで仕事を誰かと交代してもらったのに違いないのだが。 女房に「飲み物持ってきてくれ」と頼むと、突然、口にお茶を目いっぱい含んで「むふふふふ」と気持ち悪い笑い声を立てながらせまってきた。 思わず女房を蹴飛ばし「な、なんだ!?」と叫ぶと、女房はお茶をゴクンと飲み干し、ドアのカレンダーを指差して、「あれのマネ」。 見ると、そこに掛かっているのは「妖怪暦」で、寝ている人間の口から精気を吸い取っている妖怪「山地乳(やまちち)」の絵が。 何が楽しゅうて貴様はこんな毛むくじゃらのトンガリ口のナインティナインの岡村似の化け物のマネをせにゃならんのだ、この変態めが。 ……ちなみにこの『絵本百物語・桃山人夜話』から採られた絵だが、山地乳に寝息を吸われている若衆、年配のオヤジと同じ蒲団に寝ているのである。……するってえと、こいつ、ホ○……?(・・;)
なんだか最近女房の変態度は以前よりも更に輪をかけてグレードアップしてきているのである。
昼間疲れてぐっすり寝ていたので、ビデオも本も少しだけ。 録画しておいた『仮面ライダーアギト』8話。 一杯地にまみれたアギトのリベンジ編、というのは定番だが、おもちゃの飛行機を見ているうちに飛んで攻めてくるカラス男の弱点を発見するあたりが、描写不足でよく分らない。 真魚が、壊れたベッドを修理している翔一の姿を見て、自分の父を殺したのが翔一であるはずがない、と納得するのもちょっと展開があっさりしすぎているのではないか。「超能力少女」と言っても、こう簡単に迷いが生じる程度の能力だと、今一つドラマを牽引していけるほどのベクトルには欠けるのである。 謎の少年、またひとまわり大きくなっちゃったが、このへんで打ち止めだろうなあ。アンノウンの正体のヒントがまるで出てこないので、どうもシナリオライター、先の展開をあまり考えてないんじゃないかという気もしてくる。アギトにギルスにG3と、三本のドラマを互いに関連させつつ進めて行くというのは大変だろうが、なんとかうまくまとめてほしいものだ。 今日は深夜にも、『サンデージャングル』で『アギト』の特集をやっていた。三人の主役は女性週刊誌の取材も受けるほどの人気で、その秘密は「くしゃっとした笑顔が癒し系」だからなそうな。でも番組のプロデューサーは「癒し系って意味はよくわかんないんですけどね」と正直にコメントしていた。 私なんぞは藤岡弘の生きざま見てた方がよっぽど癒されるがなあ。 ヒロインの秋山梨奈ちゃんは今年から高校一年だそうな。素顔はフツーの女の子である。おおっ! いつも番組では髪を下ろしていたが、髪を上げると首筋にホクロがっ! これはチャームポイントだっ! ……って何を娘みたいな女の子に入れこんでんだ(-_-;)。 私も結局、女房と同じく変態(T_T)。
ビデオ『D』episode2。 この監督、てっきりダーティーヒーローものがやりたいのかと思っていたら、そうじゃなくてただ単にグロがやりたいんだな。隕石怪獣が鶏にとっつくってのも明らかにグロ狙い。 見ていてどうにもイライラするのは、まともな神経を持った人間が誰もいないってことだ。「どうせ死刑囚だから怪獣にぶつけちまえ」って、『スケバン刑事』でもやってた設定ではないか。というか、西部劇でならず者を保安官にしたてたネタあたりがルーツだろうから、新味のないこと夥しい。 安手の『県警対組織暴力』の中に怪獣とロボットぶちこんでるようなもので、主役も脇役もみんなさっさと死んでくれないかなー、とこちらも殺伐とした気分になる。 ああ、あと一話か。見るのキツイなあ。最後に一人くらい、清純なヒロインが現れて、「もうこれ以上、人を殺すのはやめて!」とか主役に涙ながらに訴える……なんて展開にはならんのだろうな。
マンガ、石ノ森章太郎『セクサドール』1・2巻(完結)。 先日から石森さんの旧作を少しずつ揃えていこうと買ったもの。エロマンガでもちゃんとSFしちゃうってところが石森さんらしい。 というか、「ロボットに心はあるのか」とか「人とロボットの間に愛は生まれるのか」とか、これ手塚治虫の『鉄腕アトム』と同じテーマではないか。手塚さんの存在って、やっぱりトキワ荘の人たちには抜き差しならないほどの影響与えてるんだよなあ。トラウマに近いのかもしれない。
さあ、明日仕事をすれば休日だ。今度こそ原稿を……書ければいいな。
| 2001年03月17日(土) |
嫌煙権を振り回す気はないけど/『風雲ライオン丸』(うしおそうじ・一峰大二)ほか |
夕べからの頭痛が、一晩寝ても治らない。 日頃煙草の匂いと全く隔絶した生活を送ってるので、たまにちょっと道端なんかで匂いを嗅いだだけでも覿面、アタマに来てしまうのである。 あ……、そう言っている間にも頭の奥がガンガンと……。
駅のホームなんかで平然と煙草吸ってるやつらや歩きながらカッコつけて煙草吹かしてるやつらは、自分が周囲にどれだけ迷惑かけてるかなんて意識はカケラも持っちゃいないんだろうな。喫煙コーナーで吸ってるんだからいいんだ、とか、風に流されてるから迷惑なんかかけてない、なんて思ってる連中に至っては最低なクソ野郎である。か、風で流れるから被害が広がるのではないか。煙はそんなに簡単に薄まったりはしないのだぞ。そんな簡単なことも認識できんのか。ほ、ホームのどこにいようと煙は風で流れてくるのだ。逃げられないのだ。被害は無差別に周囲の人間を攻撃し、苦しめているのだ。私がそれでどれだけ苦しめられ脳細胞を破壊されてきたか知っているのか貴様らは。こ、これはもうまさしく毒ガス攻撃ではないか。げほげほげほ。サリン事件がどれだけ多くの人間を巻きこんだかを考えてみればいい。貴様の一回の喫煙で少なくともその近くにいた数十人、数百人、数千人が確実に被害にあっているのだ。お、お前らはナチスドイツやオウムと同じ行為をしているのだぞ。この鬼め人非人め悪魔めド外道め。私の壊れた脳細胞を返せちぎれたニューロンを返せ。 喫煙の常習者は既に脳が犯されているのでもうそんなことも想像できないくらいバカになっているのだ狂っているのだ。そのくせやつらは我々非喫煙者を大人になれぬやつらとバカにし、シニカルに笑って煙を吐きつけてくるのだ。こ、この既知外どもめが。あんなやつらを放置しているから巷には犯罪者が増え教育が荒廃し政治が腐敗し国家が崩壊していくのだ。喫煙者はみんなとっ捕まえて隔離してしまえ。踏絵を踏ませろ。改宗をせまって従わぬやつは拷問にかけろ。クズどもはみんな粛清だ。血だ血だ血だ。日本を喫煙者の血で染め上げるのだ。まずは私が手近にいる喫煙者を始末してやるぞ。 ……お? あそこに女を待ってるらしい喫煙者がいるな。吸殻が足元にうずたかく山になっていやがる。どうせ喫煙者のことだから女を引っ掛け弄んだ挙句に捨ててやろうとしてるに違いない。あんなやつはこの世から消えた方が世界のためだ。あいつのノドもとにグサリとこのナイフで……。うひひひひひひ。
……ほら、煙草ってとっても危険でしょ。心の健康のため、吸いすぎには注意しましょうね。
帰宅して風呂に入り昼寝する。夕方近くになってようやく頭痛も収まった。ほぼ丸一日、苦しい思いをしたが、気分もなんとか落ち着いてくる。 その間、多少危険な考えが心を支配していたようであるが、まあ、私の中のトレイシー・ハイド氏(*)の仕業であるので、あまり読者の方は気になさらないように。あ、藤田くんに其ノ他くん、私の近くで煙草を吸っても多分危険はないと思うので安心してね。
昨日は「ポパイ」に5時間以上居続けだったので、日記を書くヒマもなかった。こういう時に限ってやたらと本を読んでいて、書くことが多い。うわあ、一昨日の分から溜まっているのだ。もう何をしたか細かいところは覚えていないぞ。なんとかちぎれかけたニューロンをつなぎ合わせ、記憶を取り戻しつつ、ひたすら日記を書く。
マンガ、内藤泰弘『トライガン・マキシマム』5巻。 うわあ、ミッドバレイがもう死んじゃった。ナイブズへの反逆の芽を持っていた人物だけにもう少し引くかと思ってたけど。GUNG-HO-GUNSももう殆ど残ってないなあ。あと数巻で終わりってことなんだろうか。 私はこの『トライガン』シリーズを「人を傷つける意志もないのに傷つけてしまった人間の贖罪の物語」と受け取っている。この場合、その「贖罪」をしようとする主人公のヴァッシュが実は「人間ではない」ことが逆に重要な意味を持っている。「人間でないモノ」だけが贖罪を考えているということは、つまりはそもそも「人間に贖罪が可能なのか」という問いにも繋がっていくからだ。 しかもそこにもう一つ「人はどこまで非暴力を貫けるのか」という問いまでが絡んでくる。 実にハードなテーマに取り組んじゃったなあ、この作者、と思っていた時に起こった、例のバクダン事件。掲載誌の変更といい、作者もいろいろと不運なことであったが、メゲずに書き続けているのは立派だ。出版社が少年画報社というのも幸いしたのかもな。あまりデカいとこだと、連載切った方がリスクが少なくてすむ、と判断されちゃうだろうし。 アニメ版と展開が違ってきているのも嬉しい。もしかしたらウルフウッド、死なずにすむかも……と言うか、死なさない方法を考えて欲しいなあ。彼もまた彼なりの十字架を背負いつつ生きているのだから、それが「死」という形でしか決着を付けられないというのは安易だと思うからだ。
マンガ、和田慎二『超少女明日香 聖痕編』2巻(完結)。 完結ったってどうせまだ続く(^^)。というか出版社を白泉社からメディアファクトリーに変えて(これで二度目だ)、更なる新シリーズを始めるためのプロローグって感じの作品だった。 おかげで一也も出て来ない。でも明日香のヌードが初めてカラー収録(うへへ)。どっちかというとチンチクリンの明日香の方が私は好きだが。 しかし明日香を自然の友という設定にしておきながら、いつまで経っても一也と結ばれないように仕向けているということは、自然ってのはやっぱり意地悪なものだってことなのであろうか。前作までで自然保護団体の欺瞞をバッサリ切って捨てた和田慎二だけに、中途半端な話にはならないと期待しちゃいるが、無理矢理なすれ違いドラマにするのはもうそろそろカンベンして欲しいかな。
うしおそうじ・一峰大二『快傑ライオン丸』2巻、『風雲ライオン丸』(完結)。 あっ、テレビ版でゴースンの人間バージョンを演じていたの、天津敏さんだったのか。放映当時見ていたはずなのにすっかり忘れていたぞ。こ、これはなんとしても手にいれねば……って、どうやって(-_-;)。 多分DVD発売なんてそうそうやるまいし、されたとしてもBOXだろうし。一話かそこらのために全話買うほどの番組じゃないしなあ。 それより『隠密剣士』と『仮面の忍者赤影』のDVDBOX出ないかなあ。これなら天津さん目いっぱい出てるし、絶対に買うのだが。 それはそれとして『ライオン丸』である。 一峰大二の絵は、イマドキの若い読者には濃過ぎて親しめないかもしれないが、私は好きで愛読していた。昔のマンガの伸びやかでやわらかな線と、劇画の硬質で骨太な線とが混じったような感じで、後半完全に劇画になりきって面白味のなくなっていった川崎のぼるの『巨人の星』より、一峰さんの『黒い秘密兵器』の方が野球マンガとしては好きなのである。 『風雲』の第2話、『シャゴン』は特にギャグが満載で(設定がもともとギャグという批評は置いといて)、三吉が作った機関銃の石のタマが地虫忍者の口に「ガポッ」とはまるシーンだの、その三吉を誘拐して無理矢理作らせた特製火薬による弾丸が暴発した途端、怪人シャゴンが「ムハーッ」とのけぞるシーンだの、擬音が水木しげる的に大げさで、その大らかさが本来シリアスなドラマ展開を適度に緩和していていいのだ。やっぱり敵を切る音は「ドバッ」でなくちゃな。 キザなシーンもあるぞ。志乃と三吉を救ったジャガーマン、三吉から「なぜおいらたちを助けてくれたんだい?」と聞かれて、「おまえの姉さんがきれいだからだ」。……豹に「きれい」って言われてもなあ(^_^;)。 テコ入れのためだったのだろうが、ライバルのジャガーマンを殺し、ライオン丸も傷つき挫折し、新たに『快傑』のレギュラーライバルだったタイガージョーの弟を登場させてライオン丸を激励させる展開も定番だが充分ドラマチックだ。 だから戦国時代なのに「ロケットライオン変身!」はないだろう、なんてクダランツッコミはどっかにすっ飛んでしまうのである。いや、突っ込んで楽しむのはいいんですよ、もちろん。 うしおそうじはまたぞろ「立体アニメでリメークを」なんてラッパ吹いてるが、誰も金出しゃしねーって。 『快傑』と『風雲』の巻末に収録されているうしおそうじ本人の筆になる原作版『風雲ライオン丸』、昭和48年の時点でもこの30年代を思わせる絵物語風の絵柄で堂々と描いていたというのはすごい。 設定のいい加減さは一峰版の更に上を行く。一峰版では三吉たちの馬の名は「アオ」なのにうしお版は「しぇーん号」。ひらがなにしたってなんの意味がある(^_^;)。セリフも妙にくどい。「これは母上がかたみにくださったかたみのポンチョです」。ポンチョもなんだかなあ、なんだが、「かたみ」を二度繰り返すのはなぜなのよ。 ブラックジャガーに変身する時のセリフ、「豹変!」……いや、文字通りなんだけどさ、「豹変」ってそういう意味じゃ……。しかもそれを見た敵の怪人のセリフが「変身したぞ! なまいきなやつめ!」。なるほど「豹変」するのは「なまいき」なのか。世の女の子は、もし男に襲われそうになったら「なまいきよ!」と怒鳴ってあげよう。きっと相手は自分のなまいきさを恥じて退散してくれるでしょう(^o^)。 脱力するセリフはとても多過ぎて書ききれないので、あとはどうぞご購入して確かめて下さい。ただし各巻1800円します(T_T)。
半徹夜で日記を書きつづけていると、夜中に東京の友人のこうたろうくんから電話。何だか成り行きで劇団の関東支部長になってしまったのでご挨拶である。 「ホントに俺がはいっちゃっていいの?」 と、遠方でなにも手伝えないのにオジャマムシではないかと気にしている。何がお邪魔なものか。「人生は舞台」というのが真実ならば、その舞台に立ってる人は「必要だから」「役に立つから」そこにいるのではなく、「そこに立ちたいから」そこにいるのである。 演劇が他の職業と違うのは資格なんかいらないということである。その人に芝居の才能があるか、とか、練習をどれだけ積んだか、ということは、演劇をする上では実はなんの意味もないのだ。そこで「何かをしたい」(「何かが出来る」ではない)、という気持ちだけが唯一の条件と言えば条件。 ……となれば、ウチの劇団に入るのなんて、「何かしたい」だけで十分で試験なんていらないんだけどね。女房のやつ、こうたろうくんにレポートまで書かせたらしい。なんてイジワルなやつなんだ(^_^;)。 久しぶりに声を聞けたので、つい『ホームズ』や『ワンピース』、『仮面ライダーアギト』の話など、長話をしてしまった。オタク同士で話をし出すと、楽しいことは楽しいのだけれど話の切れ目がなくなるのが玉にキズなのである。電話代かけさせちゃって申し訳ない。 しかしこうたろうくんに「面白い!」と勧められて、俄然、『ワンピース』と『デジモン』、見に行きたくなってしまったぞ。女房と一緒に行く時間もなかなか取れないし、困ったなあ。
(*)今日の蛇足。 ギャグが通じない人がいると困るので一応書いとくけど、「トレイシー・ハイド」ってのは映画『小さな恋のメロディ』の主演の少女俳優です。『ジキルとハイド』とはなんの関係もありません。……頭ん中にトレイシー・ハイドがいたらちょっと気持ちいいかも。 あちこちタグを使おうかとも思ったけど、今日のはちょっと切れた演技をしているので、それを本気に取るバカがいると困るなあ、刺激が強すぎるかもと思ってやめました(兼好が『徒然草』の中で「既知外の真似するやつは既知外」と言ってたな。当たってる場合もあるがそうなると役者はみんな既知外である)。 個人のホームページでそこまで気をつかわんでもとは思うんだけどね。
| 2001年03月16日(金) |
ワーオ、なんてこったい!/DVD『シックス・センス』ほか |
ここ数日、すっかり春めいてきていて、仕事場に自転車で行く時もしっとり汗ばむようになってきた。でも桜はまだつぼみもつけていない。 季節は春が近くとも、世間じゃ殺伐とした事件が続いている。新聞は「戦後初のデフレ」を大見出しで載っけた。昔、やたらインフレが続いてたときゃ、「物価は上がるしかないのか」と暗澹たる気分になったが、デフレはデフレで物価も下がるが給料も下がるんでやはりよくないそうである。……だったら結局、経済が安定してる状態、なんてものが幻想じゃないのか。 女房はよく「大金持ちになりたい」と妄想してるようだが、端で見てると『どですかでん』の乞食の親父(三谷昇が演じてたね)みたいで、いつか「プールが出来たよ!」と言い出すんじゃないかと思うと気が気でない。とりあえず私も「うん、そうだね」と相槌を打つのみである。
昨日の寝不足がたたって今イチ元気が出ない。自業自得なので早退するわけにもいかない。それに今日は女房の夜の仕事が休みということなので、前々から約束していた通り、博多駅のインターネットカフェ、「ポパイ」に行くことにしているのだ。平日の夜というのは正直な話、ちょっとキツイのだが、今週は休日出勤もあるので、何曜日に出掛けようが大した差はないのだ。なんとかペース配分しつつ、体を誤魔化すことにする。 体調がよくないのは糖尿の薬がそろそろ切れかけているせいかもしれない。仕事の関係で医者に行くのが遅れているので、仕方がないのだが、どうせ病院変わるんだしなあ、と思うと、薬だけをもらいにいくのも億劫になるのだ。毎日飲まねばならぬのを二日に一回と言うように分けているが、これだと検診の結果が悪くなるかも知れず、またまた医者の説教を聞かねばならぬかと思うと気鬱になる。
帰宅してみると女房があられもない格好をしている。と言ってもコスプレしているわけではない(女房に出来るコスプレなど、ドラミちゃんぐらいのものだ)。 てっきり出かける気をなくしたのかと思ったが、やっぱり行くという。 ……あとで判明したが、目当てはやはり『ナニワ金融道』であった。 だからなぜそこまで『ナニワ』にハマる? 外はうっすら霧が出ているようで少し冷えていたが、まあ雨が降るほどではなかろうとタカを括って出かける。 先に紀伊國屋書店で、買い忘れていたマンガなどを買う。『超少女明日香 聖痕編』2巻がやっと手に入った。でも奥瀬サキ『低俗霊デイドリーム』1巻はまだ……。一度買い損ねるとなかなか見つからないからなあ。 「ポパイ」、前回来たときには安い席に座ったが、今日は奮発してペア席を取る。パソコンにプレステ、両方あるが個人席より大して値段が高いわけではない。6時間使い放題で一人2200円。 女房はイスがふかふかのソファなので早速横になってニコニコしている。……私が座れんじゃないか。 女房がひたすら『天才柳沢教授』全巻読破に挑戦している間(『ナニワ』は見つけられなかったようだ)、私は私で、DVD見たり、マンガ読んだり、ハヤシライスやエビグラタン食って、ドリンクバーで際限なく飲んで(あ、抹茶ミルクとかだからね)5時間。気がついたら午前様である。明日も仕事だってのに何考えてんだろうなあ、私は。しかも途中から隣のブースに入ったやつらがヘビースモーカーで、すっかり煙草にやられてしまった。外に出るころには頭痛と眩暈で吐き気までしている。もしかしたらと心配していた雨まで降っていた。 途中でコンビニに寄って傘を買い、買った本が濡れぬよう、ビニール袋をもらったが、女房は「傘をさすくらいなら濡れた方がいい」と濡れ鼠になって帰る。 体力に自信があるやつはいいよな。もう私には「春雨じゃ、濡れていこう」なんてカッコつけは出来ないのである。 帰宅しても風呂に入りながら買ってきた本を読む。就寝は今日も2時。ああ、4時間しか眠れんやんけ。
DVD『シックス・センス』、特典映像を目的で見る。 公開当時は賛否両論、ラストのどんでん返しでビックリするか腹を立てるかバカにするか、反応は色々分れていたようだが、落ちついて見返してみりゃ、それほどバカにするほどのものでもない。「ありふれたネタ」とか、「途中でネタバレする」とかいうのは、この映画の場合、実は批判にはなってないのだ。別に本格ミステリーじゃないんだから。 早い段階でネタに気づいたら、それぞれのキャラクターの演技をじっくり見てもらうのがこの映画の一番楽しい見方だと思う。 ホント、ハーレイ・ジョエル・オスメントもトニ・コレットも半端じゃない上手さだよ。 未公開シーンは、別にカットしなくてもよかったんじゃないかな。特にラストシーンがカットされた理由は「悲しすぎる」ということらしいが、あれは絶対あった方がいいな。
マンガ、久保田眞二『ホームズ』1巻。 シャーロック・ホームズのパスティーシュはこれまで小説か映画が主で、マンガは少なかったと思う。まあ、ヘタなもん作っても貶されちゃうだろうから、手をつけないほうが無難、というところなんだろうけど、そう考えるとこのマンガ、結構無謀だ。 ホームズに鹿撃ち帽を被らせなかったのはひとつの見識かもしれないけれど、絵としてのイメージとして「ホームズに見えない」というのは失敗だよなあ。 トリックがチャチなのも(といってもホームズの原典が今の目で見るとチャチになっちゃってるけど)、小学生向けのミステリ入門的な『コナン』ならともかく、青年マンガとしては興味を半減させるばかりだろう。 でも何より脱力させられるのはワトスン役の「明智大五郎」。……そのうち夏目金之助とも共演させるつもりなんじゃないのか。
マンガ、山本貴嗣『夢の掟』2巻(完結)。 あっ、もう終わりなのか。話の展開からすると、まだプロローグって感じなのに、人気なかったのかなあ。確かにジル・ハワードっていかにもテコ入れキャラって感じだったけどな。 作者ご本人は格闘ものに造詣も深く、それをマンガに描くことがお好きのようだが、本人が思ってるほどにはその格闘術のスゴさを伝えきれてないのではないか。格闘の「型」を描くこにこだわるあまり、「動」が今一つ感じられないのである。効果線で誤魔化してあっても、『イガグリくん』の方がマンガとしての迫力という点では勝っているのだ。
マンガ、北崎拓『なんてっ探偵アイドル』3巻。 借りて読んじゃったわけだけど、買うべきか買わざるべきか未だに迷う(なら買わなきゃいいじゃん)。 ミステリマンガブームの仇花(にすらならんかもしれんが)としてとんでもないことやってくれんかと期待して読んでるようなもんだものな。既に「アイドルだけど実は大金持ちの大立者の娘(らしい)」というトンデモなキャラなら出てるけど。
マンガ、阿萬和俊『ガダラの豚』3巻。 ようやく原作の前半部にあたるところまで進んで終わる。ということは全6巻くらいか。中島らもの原作を気に入っているだけに、絵がヘタなのがどうにも気に掛かる。もっとマンガチックな絵柄の方がかえって恐怖感は増すと思うんだが。
ここまでが借りた本。買い損ねた本ばかりだ。先に読んじゃってはいるけど、この辺の本も改めて買っちゃうんだろうな。……丹念に古本屋を回ろう。で、もし見つかったら『ナニワ金融道』も女房に買ってやろう。
| 2001年03月15日(木) |
ナニワの謎/『怪盗対名探偵 フランス・ミステリーの歴史』(松村喜雄)ほか |
仕事が長引いて帰宅が遅れる。 あぶく銭が手に入ったので、久しぶりに女房を誘って外食でもするかと、餌を持って帰る親鳥の気分で帰ってきたのだが、なぜか部屋のどこにも女房の姿がない。 パソコンは点けっぱなし、前のテーブルには食べ掛けの焼肉が置きっぱなしになっている。 なんだかメアリー・セレスト号のような状況で、いったい何があったのかと、あたりを見まわすと、女房の携帯電話がない。もしかして待ちくたびれて一人で食事にでも行ったのかと、コールしてみると、女房はすぐに出た。 「なんだ、外、出てたのか?」 「うん、そうだよ」 「今どこだい?」 「ウチの近く。もうすぐ帰るとこ。……なんでいきなり電話してくるん?」 「いや、仕事がないなら食事にでも行こうかと思って……」 「なんで!? 貧乏やなかったん!?」 ……確かに給料日前の生活は楽じゃないが、テメエの夫をホームレス寸前みたいな言い方するなよ。
帰宅した女房と、どこで食事したいか相談する。 女房は仕事があるのであまり遠出はできない。 「食事はね、ガストかロイヤルがいいの」 「どっちがいいんだよ。ちゃんと決めろよ」 「『超少女明日香』の2巻が出てるはずなんだよな。『積文館』にはなかったんだろ? じゃ、『ホンダ』に行こうか」 「じゃ、食事はロイヤルだね。デザート食べてもいい?」 「いいよ。先に本屋寄っていこう」 「うん、探したい本もあるし」 「何を探してんだ?」 「……秘密」 「なんで? はっきり言えよ」 「……『ナニワ金融道』」 「……なんでいきなり!?」 「こないだ『明日香』探しても見つからなかったから、代わりに1巻買ったの……」
よくわからないのは、女房がどうしてよりによって『ナニワ金融道』を選ばねばならなかったかということだが、理由は永遠の謎である。
本を買いこんで、ロイヤルホストでチキンカツを食べる。女房はハンバーグ。 食事中、女房は『笑点の謎』に読み耽り、私は『石ノ森章太郎キャラクター図鑑』2巻に没頭する。 ……ウェイトレスさんは変なカップルだと思ったろうなあ。
女房は仕事があるので、本屋の前で別れて、私はもう一軒、馴染みの本屋を廻る。一気にン万円使っちまったが、これでも買う本絞っちゃいるのだ。
帰宅して風呂に入りながら本を読む。
松村喜雄『怪盗対名探偵 フランス・ミステリーの歴史』。 昭和61年度日本推理作家協会賞評論賞受賞作。600ページはある大著だが、面白くて一気に読んだ。 筆者は江戸川乱歩の従弟半にあたる。子供のころから乱歩の薫陶を受け、日本で出版されたミステリはことごとく読破し、飽き足らずに、海外ミステリを原書で読むためにフランス語を学んだというツワモノである。 ……でも羨ましい環境だよなあ。偏見かもしれんが、これが清張だとミステリファンにはならないのではなかろうか。私も親戚に乱歩が一人ほしいぞ。 私もそれなりにミステリファンを自認してはいるので、ミステリの歴史については中島河太郎や九鬼紫郎、ハワード・ヘイクラフトの著作なんかで一通りお浚いはしている。だから羅列される海外のミステリ作家の名前で知らないものはない。 でも名前を知ってるということと、読んでるということは別だ。 ……白状しよう。私はジョルジュ・シムノンのメグレ警部シリーズは『男の首』と『サン・フィアクル殺人事件』くらいしか読んでいないのである(あと短編を少々)。 S・A・ステーマンやボアロー&ナルスジャックは一冊も読んでない。ミステリファンが聞いたら、「えっ!? 『マネキン人形殺害事件』や『悪魔のような女』を読んでないの!?」とバカにされるのは必定だ。持ってはいるんだけど積ん読になってんだよねえ。……20年くらい前から(-_-;)。 本を読むのにも「縁」というものはあると思っている。人間、逆立ちしたって、一生のうちに読める本なんて、十万冊いかないのだ。ちょっと興味をもって読み始めたはいいけれど、何となくそのまま放りだしたって類のものはいくらでもある。それをもう一度読む気にさせよう、ってのが評論の使命の一つではなかろうか。 松村さんの批評は、日本のミステリが英米の影響下にあるという通説に真っ向から反対して、むしろフランスミステリに源流を置いている。その論理にはやや我田引水的なものも感じないではないが、確かに乱歩の『怪人二十面相』シリーズに『ファントマ』や『ジゴマ』の影響を感じないわけにはいかない。 『ファントマ』の表紙絵を見てビックリしたのは、そのいでたちがシルクハットに覆面で、二十面相のイラストにそっくりだったことだ(実は原作小説にそういう描写はない)。イラストだけに留まらず、逃げる怪盗と追いかける探偵の活劇パターンを、乱歩はフランスのロマン・フィユトン(新聞小説)からそのまま自分の通俗小説に移植したと言っていい。 ……それが巡り巡って、『ルパン三世』や『キャッツ・アイ』、『怪盗セイント・テール』にまで及んでいるのだ。これは冗談でも何でもなく、昔見た映画で、ジャン・マレーのファントマと、それを追うルイ・ド・フュネスのジューブ警部の関係が、あまりにルパンと銭形にそっくりだったので驚いたこともある。 コナン・ドイルよりもモーリス・ルブランの方がトリッキィであり、ルパンシリーズを冒険小説と見るのは不当だ、という筆者の意見にも賛成だ。ホームズとルパンはある程度読んでいるから、その比較は容易だ。例えば『ホームズの冒険』と『怪盗紳士ルパン』『ルパンの告白』『八点鐘』を読み比べてみればよい。犯人が仕掛けるトリックとしては、ドイルよりルブランの方が相当凝っている。 目からウロコが落ちたのは、ジュール・ヴェルヌをSF作家としてではなく、ミステリ作家として捉えていることだ。もちろん、ヴェルヌがSFの鼻祖であることを否定するつもりはないが、『八十日間世界一周』の最後のどんでん返しを一つのトリックと見るなら、それはまさしくミステリのものである、という指摘には思わず首肯した。 こういう評論読むと、俄然、積読本の中から読み逃してたミステリを引っ張り出してきたくなっちゃう。で、ステーマンの『マネキン人形』とサジイの『ジゴマ』、枕元に用意したけど、今度こそ読み通せるのだろうか。
マンガ、青山剛昌『名探偵コナン』31巻。 小学館漫画賞受賞は遅すぎた感じもする。読者の心を掴む要素はちゃんとあるのだ。相変わらずトリックには無理があるし、犯人があまりにも犯人っぽくはあるけど(^^)。 笑えたのは裏カバー見返しの「青山剛昌の名探偵図鑑」。31人目ともなるとネタが尽きたか、「遠山左衛門尉景元」だと。 ……多分、青山さん、テレビ見てただけで、原作小説は一冊も読んでないな。「私のオススメは『遠山の金さん捕物帖』」なんて書いてやがるが、陣出達朗の原作は『すっとび奉行』とか『はやぶさ奉行』とかの『〜奉行』シリーズであって、『遠山の金さん』シリーズとは言わないのだ。山手樹一郎の小説版なら少し近いが、こちらも『遠山の金さん』で、「捕物帖」という言葉はない。……こりゃそのうち鞍馬天狗や旗本退屈男も出してくるかも知れんな。
マンガ、矢野健太郎『ネコじゃないモン! ミレニアム版』10巻(完結)。 ♪おっはよっで、始まるっ、まったねっで、お休み、そして、好っきよっで、も一度、ネコじゃないモン♪ ……最近、谷山浩子も聞いてないなあ。 女房に冷ややかな目で見られつつ、シツコク買いつづけてた『ネコモン』も、やっと完結。今読み返すと作者と登場人物は真剣に恋に悩んでるつもりかもしれんが、相当支離滅裂で、その時々のイキオイに引きずられてストーリーが右往左往している感じが強い。というか、絵の演出力がないので、話が薄っぺらになっていくのだ。カッコつけのキャラ、多過ぎだもんなあ。 じゃあ、今は画力も演出力も上がったかなあと、巻末の新作を見ると……。 クサイ演出は変わっとらんわ(-_-;)。作者、もうトシなんだから無理してコギャルを主人公にするなよ。 でも当時の私がなんでこんな恥ずかしいシロモノに入れこんじゃったかというと、登場人物と年齢が全く同じだったからである。しかも似たような恋愛沙汰やってたし(^_^;)。ああ、青春ってバカなんだよなあ!! 「昔ハマって読んでたことが今になると恥ずかしいマンガベストテン」、なんてのを作ってみてもいいかも知れんな。とりあえず私の場合、この『ネコモン』に小山田いくの『ぶるうピーター』は絶対にランクイン(^o^)。
『石ノ森章太郎キャラクター図鑑 volume002[仮面ライダー+中期作品編]』 第1巻からほぼ一年ぶりの第2巻発売。編集に時間が掛かったのか、それともよっぽど売れなかったか。メディアファクトリーのショウタロウ・ワールドシリーズも売れ行きが厳しいとも聞いたし、原作がちゃんと売れてくれないと、『仮面ライダーアギト』や『キカイダー・アニメ版』の続編も、『009』のアニメ化も苦しくなるからなあ。 しかし改めて思うが、石森さん、手塚治虫の執筆量に負けないくらいの作品数があるんじゃないだろうか。手塚作品もとても全作読破は難しいが、石森作品もこうしてカタログ見ているだけで、ああ、あれもこれも読んでない、というのがゴロゴロあるのである。何しろ私は『リュウの道』をまだ通して読んだことがないのだ。ってこればっかだな。 『仮面ライダーアマゾン』が単行本になっていないのは、ページ数が少ないせいなのかな。あれだけテレビの原作を担当しておきながら、石森さん自身がマンガ連載を行っていないものも多い中(『ビッキーズ』や『ポワトリン』のマンガ版、見てみたかったなあ)、この『アマゾン』はペン入れこそ石川森彦に任せはしたものの、下書きは石森さんの手になるものなのである。なんとかショウタロウワールドの第3期に収録して欲しいんだがなあ。 晩年の描けなくなった時期の作品は哀れで見返すのも辛いが、初期、中期の傑作群は今見ても充分楽しめる。SF作品に比べて、ギャグマンガは今イチ評価が低いが、『ちゃんちきガッパ』はぜひ再版して欲しい傑作だと思う。今や忘れられかけているこの作品が、ちゃんと2ページ使って紹介されていたのがうれしかった。 ……でも女房の好きな『シロクロード』は紹介されてないな(^o^)。
マンガ、MEIMU『キカイダー02 SGE』。 ついうっかり買っちまったが、これ、あくまで「スペシャル・グラフィック・エディション」ということだから、普通の単行本をあとで出すんだろうか。 ……1900円もしたぞ。2巻以降もこの薄さ、この値段で出すんだったら客はちょっとばかし怒ると思うが。 キカイダーやダークロボットがエヴァンゲリオンモドキの生物的デザインになっちゃってるのもなんだかなあ、という感じだが、光明寺ミツ子の弟のマサルが、謎の美少女って設定に改変されてるのはただのウケ狙いと違うか。いや、美少女出すのはいいのよ。MEIMUさんの描く女の子キャラ好きだし。ただ……ネーミングがねえ……ヒナノはねえだろ、ヒナノは(-_-;)。
マンガ、『藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版』8巻(完結)。 パーフェクトといいつつ『中年スーパーマン左江内氏』は未収録。中公愛蔵版ではちゃんと収録されてたのに、なんでやねん。 更に巻末に『絶滅の島』があたかも藤本さんの遺作であるかのように収録されているが、これは同タイトルの作品を改稿したもので、既に1988年の中公愛蔵版『SF全短編』に収録されている。初出一覧で「1995年8月てんとうむしコミックス」とあるのは間違いだ。小学館は、こういう書誌的なことにはひどく無頓着なところがあるんだよなあ。 ホントの遺作の『異人アンドロ氏』、「ビッグ・コミック」に載った時には「新シリーズ!」ってアオリがついてたんだよなあ。一作一作、雑誌掲載時にリアルタイムで読んでたものが多いので、当時の思い出と相俟って切なさがいやでも募る。 石森さんも藤本さんも、病気になってからは極端に作品数が減っていった。『ドラえもん』だけで手いっぱいになっていたのだ。死ぬ少しまえのインタビューで、「手塚さんの『火の鳥』みたいな大長編SFを書いてみたい」と語っていたのが思い出される。それは中絶した「四万年漂流」などへの思いもあったのかもしれない。 『ドラえもん』はもういいからもっとSFを、と思っていたのは私だけじゃないはずだ。
マンガ、岡田康則『ドラえもん のび太と翼の勇者たち』。 藤本さん亡きあと、『南海大冒険』『宇宙漂流記』『太陽王伝説』と続いてきた中では、一番よい出来。やっばり駄目な少年が努力するってパターンは継承しないとね。 それでも表情一つとってみても、単調に見えて微妙に線を変えて複雑な心理を表現していた藤本さんに比べれば、雲泥の差があるが、それを言うのは酷というものだろう。ただエピソードを詰め込みすぎて、イカロスレースや、イカロスの島探索があっという間に終わってしまうのは感心しない。お子様は長い間は画面に集中していられないからどんどん場面転換させようという考えなら、とんだ考え違いだ。子供は速い展開を望んでいるのではなく面白い展開を望んでいるのだ。画面の密度を上げることに最近のドラえもん映画は腐心していない。 映画、未だに観に行くかどうか迷っているのである。
手塚治虫『ブラック・ジャック豪華版』16巻。 ああ、今日はなんでこう昔を懐かしまねばならないマンガばかり読んでるんだ。年取っちゃったのかなあ、やっぱり。 初期の傑作、と言うか、この作品が圧倒的好評で迎えられたために連載が決定した『ミユキとベン』が、やっと収録、というのはどういう事情があったのか。雑誌掲載時は「ブラックジャックの正体は誰も知らない。ただ彼は今もどこかで奇跡のメスを振るっているだろう」というナレーションがラストのコマに入っていたはずだが、さすがに16巻まできて今更それはないだろうということなのか全面カット(本名「間 黒男」ってのも分っちゃってるしな)。 でもこれがかえってラストに余韻を醸し出しているのだ。怪我の功名ってところかもな。 ラストを飾る『過ぎ去りし一瞬』は、唯一の中編。『サンメリーダの梟』というタイトルでアニメ化もされたけど中身は殆ど別物になっていた。 多分描いてる途中で構想が変わったのだろう(手塚治虫にゃよくあることだ)、前半と後半で主役が変わっちゃうというとんでもない話なのだが、ラストで『鉄腕アトム・キリストの眼』を髣髴とさせるシーンが出てきたのは手塚さんのファンサービスかも。
マンガ、高橋留美子『うる星やつら・コピーdeデート』。 山口勝平と高橋留美子のインタビューが目的でまだ買ってる雑誌版『うる星』。依然持ってたやつは人に貸してるうちに所々抜けてしまっている。文庫でもう一度揃えなおしたいんだけど、18巻もあるから古本屋で買うしかない。 しかし今見返してみても、『うる星』に出てくる女性キャラって、性格的に男に敬遠されても仕方のないやつらばかりである。連載当時、よく「うる星の男キャラってどうしてバカばっかりなんですか?」という質問がファンからされていたが、あたるほどのバカでなければ性格ブスのラムと付き合ったりはできまい。 『めぞん一刻』の響子さんもそうだが、男が付き合いたくない女の要素、嫉妬、ひがみ、鈍感、無意識の傷つけ、そんなものをやたら持ってるのである。で、未だに『犬夜叉』のかごめでそれやってるのな。 高橋さんは「あたるに絶対ラムのことを好きだと言わせない」と禁じ手を作って物語を作っていったそうだが、端から見てはっきりそれと分るものを言わないでいるのは白けるだけだ。 私の場合、『うる星』はやっぱり映画版第2作『ビューティフルドリーマー』で終わっちゃってるのだ。
……こんなに読んでちゃ寝る時間がなくなるのも当然だな。気がついたら時計は2時なのであった。というわけで女房が買ってきた『ナニワ金融道』1巻にまでは手が出ないのでありました。
| 2001年03月14日(水) |
さて、勝ったのはどっち?/『HUNTER×HUNTER』11巻(冨樫義博)ほか |
ホワイトデーである(昔は「クッキーデー」とか「マシュマロデー」って呼び方もあったがすっかり消えたな。お菓子屋の陰謀だってことがこのことからもはっきりとわかるな)。
期待してる人も、石投げつけたい人も、両方いるだろうからあらかじめ言っとく。 今日はノロケるぞ。読みたくないやつぁ、さっさとご退場願おう。
儀式だイベントだというのは所詮は欺瞞なのであまり好きではないのだが、かと言って、人の思いに背を向けたいというわけでもない。「お返し」はちゃんと用意してある。
バレンタインデーの前に、「アンタ、欲しい?」と女房が聞いてきたが、これは「あげたい」という言葉の裏返しである。私も決して素直な人間ではないので、「くれるならもらうよ」とそっけなく答えたものだった。 女房はどうも私とのコミュニケーションを一種の「勝負」だとみなしている向きがあるのだ。女房のアタマでは、自分の方からアプローチすること、即ち「負け」ということになるらしい。 その辺の発想が私にはよく分らんのだが、なんとか私の方から「チョコ欲しいよう」と言わせようとしている時点でもう「負け」てるようなものだ。私は実際、女房がくれる気がないならもらいはしないし、仮にくれなかったからと言って別に気を悪くしたりするわけでもない。 そういう執着のなさが女房には暖簾に腕押し、糠に釘で気に入らないんだろうが、それが私の自然なのだから仕方がない。逆に私が粘着質な性格で何かにつけ執着するタイプだったら、そのほうが女房は困ると思う。
今日も女房が「私のこと、好き?」と聞いてくる。 いつものことで私も「好きだ」なんて言ってやらない。「オレが浮気するとでも思ってるのか?」と言い返す。 「今日は職場で私のこと考えてた?」 「考えてたよ」 「ほんと? 忙しいのに私のこと考えてられたの?」 「いや、そんなヒマなかった」 「……ウソついたの?!」 「違うよ。お前のことは心の基本にあるんだ」 「なんかウソっぽい……」 「冷蔵庫にホワイトデーのブレゼントがあるよ。よしひとさんの分も買っといたけど、それもお前にやる」 「なんで?」 「よしひとさんには改めて別のを買うよ。古くなったのあげるわけにはいかないし」 「私には古いの渡すんだ」 「今はまだ買ったばかりじゃないか」 「中身はなに?」 「さあ。忘れた」 冷蔵庫からお返しを持ってきて女房に渡す。女房、早速中を見て確かめる。包み紙を破り、箱のフタを開ける時の女房の目がランランと光る。いや、ホントにお菓子には眼がないのだ。 クランチチョコミックスと抹茶ロールクッキー、そう言えばそんなの買ってたなあ、と今更ながらに思い出す。 女房、そのまままたフタを閉めて引き出しの上に置く。 「なんだ、食べないのか?」 「すぐには食べないよ」 あとの楽しみに取っておくということか。多分私が寝入ったあとで食べるつもりであろう。美味しそうに食べる様子を私に見られると「負け」になると思っているのだ。 ……だからその時点でもう負けなんだってば。 つくづく解りやすい性格してるやつだ。 ……自分で書いてても思ったが、私は基本的にはタラシだな。親の血か。 マンガ、冨樫義博『HUNTER×HUNTER』11巻読む。 前巻の重大発表、子供が生まれたことと、アニメが3月で終わることだった。……引くほどの話題じゃないよなあ。 明朗マンガのフリして始めておきながら、さすがは冨樫、期待を裏切ることなく、幻影旅団のあたりからまた『幽遊白書』の「仙水編」の時みたいにコワれ始めてきた。もう随分、テレビアニメ向きじゃなくなってきたなあ、と感じていたが、今巻15ページのノブナガや、154ページのクラピカのアップはすでに少年マンガのワクからはみ出した作者自身の狂気の顔になっている。 こういうキャラクターが頻出するようになると、もう主役のゴンに活躍の場はない。しかし、私としては冨樫さんはヤケになっちゃった方が面白いと思っているので、ストーリーが迷走しても構わない。作画レベルも決して落ちてはいないし、このまま順調にコワれていってくれることを期待するものである。
漫然とテレビのニュースなど見る。 ここしばらくニュースをまともに見てなかったので、ここらでチト世界情勢でも、と『ニュースステーション』にチャンネルを合わせると、久米宏の白髪がえらく増えている。……私はいったいどれだけニュースを見ていなかったのだろうか(^_^;)。 森降ろしの話題が未だに続いている。 誰が言い出したか、景気対策が先で総裁選なんぞやっとれるかい、というよく分らん論理で六月まで政権が伸びるかもということである。総裁選をあと回しにしたって景気対策できるとも思えんが、具体的な方策も示さず、それで話を都合のいい方に無理矢理通そうってのが国民をナメとるね。でもなめられても仕方ないくらい、国民だって大した識見もなく「森やめろ」コールを繰り返してるだけである。 キャスター連中も憤ってるが、どうせマスコミもなぜここまで森総理を嫌っているか、原因なんか忘れているに違いない。というか原因なんてあったのか。 もはや「怒り」の雰囲気だけが先行していて、報道としての姿勢は完全に失われている。松本サリンの冤罪事件のころからちっとも変わっちゃいないのだ。 愛知で女の子を放置して餓死させた両親の公判の報道も、偏向が目立つ。 被告の母親に取材して、なんとか「娘を甘やかして育てたのが悪かった」という証言を誘導して引き出す手口がいやらしい。子供を死なせて平気な馬鹿親は昔だっていたろうに、それがあたかもイマドキのヤンパパ・ヤンママのせいであるかのように仕立て上げようとしてるんだものな。 そうやって誰かを悪者に仕立て上げなきゃ自分たちのアイデンティティが保てないくらいに、日本のマスコミの思想的基盤は脆弱なのである。結局、弱い犬ほどよく吠えるってやつだからな。 ああそうか、テレビのニュース番組丹念に見なくなったのは、久米宏も筑紫哲也も、その正義派ヅラを見てると吐き気を催すからだったな。 女房がニュースを一切見ようとしないのもひとつの見識ではある。
『唐沢俊一のキッチュの花園』読む。 キッチュ、という言葉自体、もう八十年代の遺物のような印象を持ってはいたが(その点を考えると、この本の売れ行きが心配ではある)、世間からキッチュな物件が消えてなくなったわけではない。 誰も言わないからはっきり言っちゃうが、福岡の街中はまさしくキッチュの花園である。キャナルシティなんて存在そのものがキッチュと言ったっていいくらいのものだ。天神だとジークスあたりがそれらしいか。ともかくちょっとうろつくだけで、妙なもの、変なものが目に付いてしまうのである。 私は唐沢さんのように変なものを集める趣味はあまりないのだが(と言いながらよく探すと変な物が部屋のあちこちに転がってはいるが)、カタログ的に見せられるとちょっと欲しくはなってくる。 コンドームに、こんなに変り種があるとは知らなかったなあ。知ってても使うとは限らんが(^o^)。シンプソンズ型コンドームなんて使いたくもないわ。 アナル用コンドーム、「ナイスガイ」、そもそもなぜ必要なのか用途が分らん。妊娠の心配もなかろうに、何から何を守るというのだ? それともコンドームに関する私の基礎認識自体が間違っているのだろうか。 ウチにあるモノは多分一つもなかろう、と思っていたが、健康器具のコーナーの「ネックストレッチ」、たしか女房が昔、使ってたような気がする。女房も健康のためには命もいらぬってとこがあるので、ムダなものをよく買うのである。20年前なら、たとえユリ・ゲラーに命じられなくともきっと、ルームランナーとぶら下がり健康器を買っていたに違いない。 先年つぶれた「大分ネイブルランド」には、「炭坑夫グッズ」がやたら売っていたが、あれなんか唐沢さんが見たら狂喜したかも知れんな。残念ながら人にやっちゃって、「炭坑夫ボールペン」も「炭坑夫スプーン」も手元にゃないけど。 ……スプーンの柄の先に、真っ黒でリアルなヘルメットかぶった炭坑夫の首がついてんですけど、そんなもんでコーヒー飲む気になれるやつ、いるんだろうか?
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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