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労働者の日ということで今日は祭日。朝から一日中曇り空だった。冷気まで流れてきた。短かかった夏とも別れが近いことを思わせる。
間借り人もマスターも、ほとんどは家で過ごす。
それにしても、楽才なし、詩才なし・・・、で取り柄というものが無いことを自覚しては、落胆してしまう。伸ばせるものならその努力は惜しまないでしょう。しかし自分の能力の限界を知ること、自分自身であることを認めることで今は精一杯なのであります。それでも、向上心と動機だけは捨てられない。気抜けしたままじゃ生きていても面白くない。
今日はちょっと良いことがあった。
感動以上の何かに心を打たれ、今日は何度も聞いていた。ルームメイトのCDに入っていた「IF YOU ASKED ME TO」(Celine Dion)である。思わず空を見上げたくなるような開放感と優しさに満ち溢れた曲だ。ただ、歌詞を見て、すこしばかり受身ではないかと思わずにはいられなかった。こういうラヴソングもあるのですね。
今後の私の行動に影響を与えるだろう。それほどの印象と刺激を受けた。
手遅れというガイネンが存在するとしたら、もうその時は過ぎてしまったのかもしれない。最も大切なことを忘れてしまっていたのなら、もうそれまで。どうなるか、様子を見守るとします。
さて今日は午前中にトレイシーの店に一緒に行く。午後にバスターミナルまで乗せてもらう。私は行き先については「これからただ北へ行く」ということだけ話しており、お互いにいい週末をと、別れる。さて、どこへ行こうか、とバスの中で考えていた。そもそも、後に旅行に出かけるつもりでブラントフォードに帰って来たのではなく、当然準備も十分であるはずが無い。ただ一つ決めていたのはトロントのサウンドポストに行くということだけだった。そういうわけでヴァイオリンだけは持参していた。
定刻にトロント着。ベイストリートを数ブロック歩き、グレンビルを左に曲がったところにサウンドポストはあった。喧騒から離れたそれは本当に清閑な一角に、木々に囲まれながら私を迎えてくれた。というのは、視覚的な感想である。今日は朝から急な雨だとか強風だとかで、とても散歩日和とはいえない天候だ。だから正確には、普段は静かな一角にそれはあったと表現したいところだ。何しろ風が建物や耳に当たる音、道路の表面上を吹き荒れる音が絶えなかった。そのサウンドポスト、写真で見たとおりだった。クラシカルで小ぎれいな外装が印象的。ウィーンの街角で見かけてもおかしくない、むしろ見た様な気がする、と思ってみたり。市街地の真ん中にあるのが少し不思議に思えるほどだったが、それもまた良い。中に入ると、弦楽の音。誰かがチェロを弾いていた。内装も当然クラシカルではあったが、暖かな木の床の上を歩き、弦が響くのを聞くと、ここは明らかにあの日訪れたHAUS DER MUSIK(入り口右のヴァイオリン工房)そのものであった。
弓の張り替えを頼みたいと伝え、まもなくうわさのデヴィッドが登場。張り替えだけか、他に問題はないかとか尋ねられる。1週間かかることになり、お願いしますと頼み店を後にする。その前に、次回弦を全部交換したいということも少し相談してみた。来週までに新しい英単語を覚える必要があるようだ。
意外とあっさりと用件を済ませてしまったので、スタバや書店で過ごしている間にその後の予定を考えてみる。そして結局帰ることにしたのである。どちらかというと南へ行きたい気分だったからだ。南というと、合衆国くらいしかないので、そうなるとパスポートを忘れたのでは話にならない。それに、落ち込んだときは旅行に行くのが良いから、なんてトレイシーに話したものの、一体何が落ち込んでいるのか自分でもわからなくなったのである。混雑したバスターミナルへ戻り、18時30分のエクスプレス便でロンドンへ。
今日中にどうしても手に入れようとして、2軒目のHMVで買ったのがセリーヌのFALLING INTO YOU。過去を思い出すことで、また新しい自分が、あるいは忘れていた自分が見つかるかも知れないと感じたからである。呼び起こしたのは1999年。バスの中で聞く。2回半聞いて、家に着く。
何が本当なのか分からない。分からないから、信じるしかないのだろう。自分がそう信じたいと思うことしかできない。真実なんて、分かるはずがないのだから。
だけど、だけど。面白すぎる。
帰省といってもロンドンから元の滞在先のブラントフォードへという意味。ここはそもそも原点だから。
午後にハーモニービュッフェへ。時間があったので帰りにギャレリアモールに寄り洗濯ネットを買う。Mac'sで高カフェイン飲料というのを発見。カフェインが何ml入っているのかという表示はなかったのでコーヒーか栄養ドリンクと比較できなかったが、栄養ドリンクのような薬品っぽい味や刺激は全く無いものの、効いた。スーッと顎が上がるように、それはもうすっきりと目が覚めた。午後遅くのことだ。一旦家に戻る。荷造りはしてある。マットと少し話す。学校が休みにも関わらず働く必要があるそうで、以前断言したとおりヴァイオリンで1曲をマスターするというのは不可能になった模様。家を出る間際、ドアを開けて待っていてくれたが、なぜかその時、もうしばらく会えないのかもしれない、というあてのない予感が遮った。気のせい以外の何でもないのだが。
子供用の浴衣が着せられなかった!
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