カリプソについてのうんちく - 2024年10月03日(木) とあるイベントでカリプソについて役者がしゃべる部分を作りたい、と言われて書いた文章が出てきました。 ムラジなりのカリプソが誤解なく伝わる文章として書けているじゃん、と思いまして、 せっかくなので、こちらにも載せておきます。(少し加筆修正しました) - - - - - - - - - - - - だれかを説得したいとき、理路整然ばっかりじゃつかれちゅう。 ちょっとおもろい、とか ぴりっと風刺が効いてるとか そういうのって大事。 カリプソみたいにね。 だれかを巻き込みたい時もいっしょ。 ほらこんなにおもろい こんなにたのしい 自分が本気でたのしんでいれば、みんな勝手に巻き込まれにきちゃう。 セバスチャンのこの歌、楽しいけど、アリエルは最後まで聞いてないんだよね。 それくらい、恋に夢中だったのかな。 どうもセリフで書いた方が筆が進むので、書いてみました。アレンジよろしくお願いします。 解説も書いておきます。 カリプソ というのはリズムの名前でもあり、ジャンルの名前でもあります。 その時々の社会を風刺し、笑いに昇華することで、民衆のストレスを発散させる社会システムの一部でもあります。この精神性をPICONと言うらしいです。本で読んだだけですが。 「あの曲はカリプソじゃないよ、PICONがない」などと使われるようです。 カリプソで民衆の不満を歌っていると、当局からは目の敵にされます。あまりに的を射ていると「発売禁止」になったりします。その曲をスティールバンド(スティールパンのバンド)で演奏しても当局は取り締まれませんでした。歌ってないならよしとしたのか、もしかしたらメロディだけだとどの曲かわからなかったのかもしれません。 発禁になっていても歌詞は民衆の心の中に刻まれています。 スティールパンのバンドは街を練り歩き、いろいろな曲を演奏します。やばい曲を演奏しているスティールパンのバンドには民衆がついてきます。 民衆は口づさみ、大きなうねりとなってついにはトリニダードはイギリス植民地からの独立を勝ち取ります。 1962年8月31日 トリニダード独立 (トバゴ島はのちのち) トリニダード=トバゴ共和国の独立には、カリプソという音楽スタイル、それをカバーするスティールパンのバンド(スティールバンド、スティールオーケストラ)とが重要な役割をはたしていました。 パレード(バンドが街を練り歩き、民衆がうたい踊りながらついて行く)も大事ですね。 その切っ先にいるのがカリプソニアンです。カリプソを歌う人は「カリプソニアン」と呼ばれます。 カリプソニアンが歌を作らなければすべては始まらない。 歌がうまい、へたは二の次、歌詞の内容はとても大事です。音痴だけど、メロディ、ノリがよい、歌詞がいいカリプソニアンはたくさんいます。合衆国ではブルースがあったし、現代ならラップがありますね。 社会が成熟してくると説教じみたカリプソは若い層から煙たがられてきます。ちょうどアリエルがセバスチャンの説教を嫌ったように。「おなじような話、なんどもききあきた」ってなってくるわけです。 1980年、1990年ごろからカリプソよりビートのきいたソカ(soul and calypso)が台頭し始め、歌詞の内容よりパーティーで踊れることジャンプできることが売れる条件になってきました。 レゲエとミックスしたラガソカ、ラップと融合したラプソなど、つぎつぎと新しい楽曲のスタイルが登場しています。 でも、根本にはカリプソのリズムがずっとある、っていうのが変わらない。そこはゆずれないんですねー。 ちなみに、、 Under the sea のラップの部分では、セバスチャンは各楽器の紹介をします。 海の中のメンバーで構成されたバンドを「Hot Crustacean band」と呼んでいます。Crustaceanは甲殻類、カメやカニの甲羅をたたいてメロディを奏でたりしてました。 スティールパンのバンドをトリニダードでは「Steel band」と呼びます。これに引っかけているのですね。 -
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