鍋をたたく...鍋男

 

 

stick and rubber tube - 2001年04月29日(日)

シリーズ・スティック概論

・ゴムについて・
パンのスティックは木やアルミのスティックでできていますが、そのままだと非常に堅い音がします。あのポーンという柔らかい音は先端についたゴムのおかげです。

 僕がちゃんとパンを叩いたのはトリニダードでが初めてだったので、どうしてもトリニダードから話が始まってしまうのですが。
 トリニダードではプレイヤーが自分でスティックを作ります。ホームセンターのようなところで木の棒を買ってきて、自分の手にフィットする長さで切り、好きな硬さ、分厚さにゴムのテープを巻いて作ります。ゴムは食器洗い用の手袋をテープ状に切った物。これが驚くほどに適しているのよ。もちろんトリニダードのパンショップでもスティックは売っていますので、それを使っているプレイヤーもたくさんいます。

 日本に帰ってきて、片っ端からいろんな手袋を買って、いろいろ試してました。日本物は「裏起毛」などというぜいたくな物が多くて、滑ってしまってあまりよくありませんでした。Mr. Othello Molineaux/オテロ・モリノー(マイアミ在住のトリニダード人、Jaco Pastorius のバンドでパンを叩いていた人) にお会いしたのはそんな時。彼はゴムのチューブを1cmぐらいに輪切りにした物を、スティックの先につけて使っていました。あのきらびやかな音がこれから出るんだー、と思ってみてると、僕のスティックを見た彼は「nabe-oh, ソンナスティックジャダメヨ」と言って、彼の持っていたゴムチューブの予備から、僕に一セット切りわけてくれました。とても嬉しかったのをおぼえています。ちょうど音で悩んでいたときだったので、彼のくれたチューブは僕の音にとっては革命のような物でした。

 それからはいろんな所でチューブを探して歩いてました。オテロのくれたチューブとまったく同じサイズの物があるはずと思っていたのですが、悲しいかなオテロのチューブはマイアミで買った物。cmサイズではなくinchサイズだったのね。0.5mm違えば音は変わってしまうので、それでもいろんな規格のチューブを買ったりサンプルでいただいたりしました。知らないうちに、そんなチューブの切れっぱしは、小さな段ボール箱いっぱいになってました。

 大阪のとあるゴム屋さん。なかなかいいサイズのチューブを見つけました。スティックにフィットする内径。適度な分厚さ。素材の柔らかさもナイスです。「これ2-3mくれないですか?」「うーん、うちはトン単位でしか出されへんねん。最低の単位が40箱くらいかな。」「、、、。」

 今の所、一番お気に入りのチューブは横浜でたまたま見つけたお店です。場所は秘密。(ってこれ見てる人で、そのチューブ欲しいって言う人いるかな。) 秘密と言うより、教えられない。なぜか。場所を忘れてしまったからです。もう一度行けばいけると思うんだけど、近いうちには関東に出向く予定もないしなぁ。

 でも今はチューブタイプより、巻きゴムのタイプの方がお気に入り。なぜか。それはまた次回に。


-

Cancunの乱入者 - 2001年04月28日(土)

 メキシコにカンクンという名前の街がある。カリブ海に面したこの街の名前をとったジャズのライブハウスが箕面にある。きょうはこの店のお話。メキシコでの話ではありません、あしからず。言う前にメキシコ行かな、ね。

 関西にも何人かトリニダード人が住んでいるんだけど、その中の一人Aさんは、大阪を中心にあちこちのお店で唄っているヴォーカリストだ。むっちゃうたうまい。もちろん英語もとてもうまい。彼女には、たまにうちのライブに来てもらって、ゲストとして唄ってもらったりしている。彼女から「今度カンクンでやるから、一緒にやりませんか」との電話。「やったー」というわけで行ってまいりました。
 駅からすぐそばのその店は、そんなに広いわけではないけれど、ゆったりとした作りなので、数人で行っても二人で行っても、なんとなくくつろげるいい雰囲気。向こうの物だと思われる料理(僕はあまり詳しくない)も、薄味でとてもおいしい。

 この日はボーカルのAさんと、ピアノの Iさんの二人が出演。各ステージの後半で鍋男登場、数曲ずつ絡ませてもらいました。何とも楽しいライブだった。僕は最近、あんまり「乱入」をやってなかったので、とっても新鮮な感じだった。同じ曲をやっても後ろで弾いてくれている人が違うと、こんなにソロって変わっちゃうんだってのが、自分でわかって、これまたおもしろい。

 あとから知り合いに聞いた話だと、結構な老舗で、昔北千里にあったらしい。壁には、日本Jazz会の重鎮達が来店して演奏した時の写真が、所狭しと貼ってある。こんなすごい店でJazzじゃないのにさせていただいていいのかしら。三宮のGBという店もそうだけど、ほんとありがたい話だと思う。
 GBについてはまた後日。

 またこの店のマスターがいい人で、「つぎこんなのあるからまた来てよ」ってLatin dayのチラシをいただいた。次は11日かぁ。早速乱入させていただこうかと、もくろんでいる。腰低いんだか、図々しいんだか。


-

Stick length - 2001年04月27日(金)

シリーズ・スティック概論

・長さについて・
テナーパンのスティックはとても短い。これは鍋の中で長さが邪魔になるからです。

  ドラム缶はアメリカ規格と日本規格で大きさが若干違いますが、だいたい直径58cm。ドラム缶をひっくり返して、底だった所を鍋状に叩きのばして作ります。そのへこみ具合は大したもんで、鍋の深さは20cmほど。(昔、鉄工所のおっちゃんに見せたら、「よくここまで延ばしたなー、こら根気のいる作業やでぇ、俺やったらこんな仕事したくないわ」と大変感心されてました。)
  形状的には中華鍋をもう少し凹ましたぐらい。同じ台所用品で言うならちょうど、ざるぐらいの曲線だと思っていただければいいでしょう。直径58cmのざるって見たことないですけど。。。その内側にたくさんの、いろんな大きさの丸が描いてあって、一つづつの丸が全て違う音に調律されています。
 さぁ、直径58cmのざるの内側をドラムのスティックのような長いばち(40cmぐらいかな)で叩いているとこを想像してみましょう。あー、とても叩きにくそうだ。

 もう一つの理由は、スナップが必要ないからです。ドラムの場合は、大きな音を出すとき、手首でスナップを利かせて、スティックの長さでさらにスピードをつけ、とても強く叩きます。うまいドラマーさんにあなたの体を叩いてもらうとよくわかります。みみずばれを作るぐらいはとても簡単です。
 パンの場合、肩こりにも効かないくらいの強さで叩いていても、うまい人が叩けば実に大きないい音がでます。逆にスナップを利かせて叩いくと、大きな音は確かに出るのですが、耳障りな割れた音がするので、あまりおすすめできません。楽器にもよくありません。あ、もちろん僕も、にぎやかなやかましい曲を演奏していて、テンションがあがった時には「割れた音」をあえて使うこともあります。

 じゃ、どれくらいの長さが適当なのでしょうか。アメリカの会社Panyardでは20cmほどのスティックを売っています。また23cmぐらいのながーいスティックを使っているテナーパン奏者を、トリニダードで見たこともあります。これは少し特殊な例ですが、彼は片手で二本づつ、両手で四本のスティックを使っているときに、鍋の中の一番距離の離れた音(5thスタイルのパンではb5の音) を叩くのにこの長さが必要なのだと言っていました。
 私の教室の生徒さんには、少し短め、15cmほどのスティックを使っていただいています。短いスティックで練習をしていると、パン独自のスティックのとりまわし、腕の動きなどを早く身につけられるように感じたからです。今僕がメインで使っているのは13cmほどの短い物。パンの一番いい音を引っぱり出してやるのに、スティックの当たる角度はとても関係してくるのですが、これだけ短いととてもいい角度でたたけるので、気に入っています。ただ僕もいろんなタイプの曲をやるので、一つの楽器でも二、三種類のスティックを使い分けたりしています。

 短ければいいという物でもありません。長い方が小さな動きで大きく先端が動きますから、早いフレーズの多い曲にはいいという人もいます。ただ、スピードの出る分、コントロールは難しくなります。結局好き嫌いのあるものですから、自分でいろんな長さの物を作って、試してみるのが一番でしょう。


-

チャナ豆のダール - 2001年04月26日(木)

 くだんの武印料品(店舗名です、ただし仮名)でチャナ・ダルという商品を見つけた。
 チャナというのはチャナ豆の事、別名ガルバンゾ、日本ではひよこ豆と呼ばれているらしい。商品パッケージによると、チャナ・ダルとは「チャナ豆の皮をむいて挽き割にした物」だそうだ。
 ダルといえばトリニダードで「ダール」というのをよく食べたのを思い出す。(トリニダードはパンの発祥の地で鍋男は足しげくこの国に通っている。インド人の入植者が多いので、カリブ海の島なのに、おいしいインド料理が家庭料理として浸透している。)
 ぐずぐずになるまで煮た黄色い豆のスープで、原型の認識できる豆ポタージュの濃ゆい奴、といった感じ。大皿にご飯をどん!、その上にチキンの炒め煮とか、カリーとか、カラルーといわれるソース(ほうれん草とオクラをつぶしてじゅるじゅるに煮た物、見た目はきもめ、でもうまめ)とか、そしてこのダールがのせられれば、とってもゴージャスなお食事のできあがり。平皿にのったインド風多種多様ドンブリといった風情。どの料理も塩味は薄くて、材料の味がしっかりしてて、何かのスパイスや香草が効いていて、とってもおいしかった。昼飯でも晩飯でも、いつもおなかいっぱいになるまでおかわりして笑われた。ダールの黄色い色はターメリックの色だと思ってた。

 このチャナ・ダルを手に入れたのだから、ちょっとカレーでも作ってみようという事で、昨日あたりからでかめの鍋(楽器じゃないやつ)にカレーを作り始めた。ダルの説明を読むと、水にしばらく浸したあと煮込むだけでいいようだ。カレーに入れてしまわないで、いっぺん素のままで煮てみる。塩はもちろんかなり薄目。ところがどうだ、あのトリニダードでたべた「ダール」の味そのままではないか。早速カレーライスにお手製「ダール」を並べてかける。うーん、なつかしい感じ。まさにこんなのなのよ。
 あのみんなが「ダール」と呼んでた黄色いルーのような物は、ただ単に「挽き割の豆」という意味で呼んでたんだね。もう何回も行ってるのに、未だにこんなつまらない間違いを発見してしまう。思いこみってこわいです。

 さぁ、今日もカレーだ。ご飯も炊けたようだし、トリニーな気分でお食事タイムだ。でもカレーの方は普通のジャワカレー。ジャワってどこだっけ。


-

シリアル - 2001年04月25日(水)

 僕はシリアル好きだ。最初に感動したのは輸入食材スーパーで売ってた紙パックの奴。牛乳パックをでかくして紙を分厚くしたようなパックだった。

 甘みがまったくついてなくて、バナナチップがまばらに入っている。あとはほんとに穀物の味と牛乳の味だけで食べる。シリアルを食べきって残ったミルクを飲むときもただの牛乳の味しかしない。輸入食材なのでだいぶ高かったけど、僕は一発でファンになった。レーズンのやらなんにも入ってないのやらいくつかの種類も試してみたけど、どれもうまかった。2年ほどはその店で買えたのだが、売れなかったのだろう、その後二度とそのシリアルを見ることはなかった。
 コープのとかケロッグのとか甘くないのはいくつか出てるので、試してみたけどあの穀物臭いうまさはちょっと特別な感じだった。

 ちょっと前に近所に無汁試料品(仮名)という名前の生活ブランド屋ができた。チャナ豆やら、トムヤムスープやらおもしろいものをおいているので、その店の食材売場は結構好きだった。
 うろうろしているとシリアルに会った。いくつかの縦長のプラスチックのタワーにシリアルが満載されていて、レバーを押すとざざーっと口から出てくる。自分で好きなだけ紙袋に入れるのだ。
 アメリカの映画館とか、ショッピングセンターで、ゼリービーンズを売っていたのを見たことがある。あれとおんなじだ。あの時は、ざかざかゼリービーンズが出てくるのを見ただけで、「もう、ごちそうさん」という気分だったが、今回は少しわくわく。

 ためしに買ってみたらこれがうまかった。そのままで食べたときの「ごつっ」っとした食感がいい。分厚さの問題だったのかな。牛肉食ってるアメリカ人の強靭なあごは、これぐらいの歯ごたえが欲しいのだろうか。あの最初に「輸入もんシリアル」を食べたときの感じにほぼ到達。

 意識の隅に置いていた「さがし物」がひょんな所で見つかるととてもラッキーな気分になるというお話。


-

Basspanで狭い - 2001年04月24日(火)

 車がつぶれたので修理に出している。車に積んでいる大事な物は店の中へとほりこんだ。っていってもドラム缶だったりする。それ以前から、店には三本あったので、四本たして合計七本のドラム缶に囲まれて仕事している。
 「ああ、しあわせ」
 ふざけている場合ではない。いくらドラム缶大好きな私も、狭くて仕事がはかどらないのは辛い。もとからある三本は棚のしたに滑り込ませてある。ドラム缶の上に板をおいてテーブルにし、その上で作業をしているような状態だ。実は今これを打ち込んでいるパソコンも、その上にのっている。
 さてあと三本だ。もともとケースを積み上げていた場所に一本。ケースはその横でさらに高ーく積みあがってもらう。書類や資料を入れていた段ボール箱をまとめてそこにドラム缶をかぶせて一本。コンガの上からかぶせて一本。これでなんとかなった。以前よりは狭いがいたしかたない。次の車が来るまでの辛抱。
 二本は完成しているのだが、あと四つがまだ未調律だ。そう言いながらもう、一年以上経つ。彼等はベースパンという楽器になる予定なのだ。スティールパンというとメロディを奏でる「テナーパン」の音の事をいってることが多いのだが、低いパートのパンもなかなかいい音がする。ぶぅぉーおんって感じの音はなかなか他では聞けない感じだね。早く彼等をデビューさせたいのだけど、調律には集中力とおっきい時間が必要なのだ。この二つはなかなかそろってくれない。
 完成したあかつきにはあっちこっちの演奏に連れまわしたいと思っている。


-

授業開始! - 2001年04月23日(月)

 I 高校という所の非常勤講師を務めることになりました。というか、四月から授業を始めている。鍋やんおめでと。おおきにありがと。
 I 高校は実はスティールバンド、フルセット分のパンを持っている。テナーはもちろん、ベースパンからチェロパン、セコンド、クアドロまであるのだ。こんな専門用語を使っても「そりゃすごい」っていえる人はほとんどいないと思う。わからない人はとりあえず飛ばして読んで下さい。のちのち、そんな話もしていきます。とにかくたくさんの種類のパンがたくさんあって、すごいのだ。すげぇぜI 高校、びっくりだ。
 で、そこのパンの授業をするのに「本職にたのもか」という事になったようで、呼んでいただいたのである。ぼくみたいなんがまさか高校の講師をやろうとは思っても見なかった。あーびっくりした。
 でも、短いスカートの女子高生が廊下でうんこ座りするのもびっくりだ。ブルマはいてるからって、丸見えになってんだから、やっぱりびっくりするぜ。しかもブルマが赤いから、毛糸のパンツでもはいてんのかと思って、も一回びっくりだ。こんな説教臭いこと言ってたら、おっさんくさいって言われるんだろうなとちょっと気になったけど、考えたらもうおっさんの年だから別にいいやと思ってる自分に、またびっくりだ。もう、今日はとってもびっくりだ。

 びっくりついでに。高校に提出するのに健康診断やら履歴書やら書いてみた。人にパンを教えるという事を始めてからもう7年もたっている。え、もうそんな!ちなみにそれ以前より演奏活動はしてたので、、えーっと、そんなながいことやってるんや。そら、おっさんにもなるはずですわ。



-

なべってなに? - 2001年04月22日(日)

 SteelPanって楽器をご存じでしょうか。南米、カリブ海の方のもので、ドラム缶から作った楽器だといえば、わかる人もいるでしょうか。僕のいうなべはこのスティールパンという楽器の事です。

 とってもきれいな音がするんですよ。テレビでもラジオでも、ここ5年ほどは特にほんとによく使われるようになりました。ドラム缶の底を鍋状に叩きのばして、区切り目をいくつも作り、その一つ一つに正確に音程をつけたものです。
メッキをしてあることが多いので、銀色ぴかぴかなビジュアルです。


 「ドラム缶」は英語で「Steel Drum」。で、その楽器も10年ほど前までスティールドラムと呼ばれていました。でも日本で「スティールドラム」で仕事しているとなかなか不具合が。
 「鉄のドラム、あー、太鼓ですか、ガンガンゴンゴン、うるさそうな感じですね」なんて思われてしまう。ストンプのようなのを想像されてるのでしょう。こいつの音はどっちかというと、ピロピロした感じなんですが。
 で、私は現地の方達が使っているスティールパンという名前を使っています。これにしても、「鉄鍋」という意味しかないのですが、とりあえずこの楽器の名前として浸透させてしまえばこちらの勝ちです。

 そんなことをいいながらもう丸8年も鍋を叩いています。最近では日本のCDやらTVでは、スティールパンと紹介される事が多いようです。よかったよかった。僕一人で始めたわけではありません。僕より東京のH氏やS氏やY氏の影響力の方がもちろん大きかったのだとは思います。それでもなんだかうれしくもあります。

 ながいことやってると、大きいスパンでものが見れてよかですね。



-

PR - 2001年04月21日(土)

 私、鍋を叩いてそれを職業にしております。ここでは仮に「なべおとこ」ということにしておきましょう。この「なべ」に関してはまだまだ知られていないことも多く、これから徐々に皆様に知っていただければと思っております。
 書くことは山ほどあるのですが、生活のサイクルが安定してないので、「日記」といえるものになるかどうか。2-3日に一度くらいの更新になるやもしれませんが、皆様よろしければ末永くおつきあい願えれば、、かたいですな。

 ま、なんにせよ、皆様と気持ちよいなにかを共有できればと考えております。

 とりあえずは初日ということでこんなもんにしておきましょう。
明日からはちょっと書いていきましょう。


-




My追加

 

 

 

 

INDEX
 will

Mail Home