天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

なんて素敵なプラン - 2004年08月30日(月)

8月26日木曜日。
先週のサルサ・パーティで知り合ったチャイニーズの男の子と、サルサ・パーティに行く。行ったお店は、ケガをする前にいつかオスカーと行ったけど、その日はたまたまサルサをやってなくて踊れなかったあのお店だった。ライブのバンドはキューバンのようでちょっとアフロで、リズムを取るのがものすごく難しかった。DJ になるとほっとした。チャイニーズの男の子はとても上手い。ほんとに上手い。スパニッシュでもないのにスパニッシュみたいに踊る。サルサ初めて1年しか経ってないって言ってたのに。

わたしはたくさん教えてもらった。上手な人がたくさん来てた。一目でカリビアンやプエルトリカンってわかるホンモノの人たち。羨ましい。あんなふうに踊れるようになりたいけど、一生ダメだと思う。


8月27日金曜日。
週末出勤の代休。昨日のダンスでくたびれて、一日ぼーっとする。
何かしなきゃって自分を追い立てて、夕方になってからやっとランドリーをしに行った。


8月28日土曜日。
仕事が終わってから、前のアパートのある街に行く。チビたちのごはんを買いに。それから帰り道の途中のアウトレットで、パンツとシャツを買う。ヒールの低い新しい靴を買いたかったのに。靴はおあずけ。当分おんなじのを履くしかない。ヒールの高い靴たちはクローゼットの中でずっと出番を待ってる。いつになったら履けるのかな。足を入れてみただけで、膝が痛む。

毎週メールで来る協会の求人広告で、一番大きなシティホスピタルの求人を見つける。受けたい。受けてみたい。


8月29日日曜日。
ロードアイランドに戻って来たデイビッドと、火曜日のプランを立てる。火曜日は週末出勤の代休だから。ハリケーンのせいで週初めは雨。月曜日の晩からアムトラックでひとりでロードアイランドに向かう予定だったけど、雨がひどければデイビッドは明日帰って来るって言う。結局プランは未定。

病院の求人のことをデイビッドに話してみる。遠くなるじゃんってデイビッドはあんまり賛成じゃなかった。でも応募してみたくて、履歴書をアップデイト。


8月30日月曜日。
ロジャーとサマンサに相談して、仕事が終わってからカバーレターをタイプしてファックスしちゃった。履歴書。ロジャーは押してくれた。サマンサはネガティブ。でも、送った。わかんないじゃん、採用どころか面接通知だって来るかどうか。とりあえず、送った。

夜の9時頃に電話。今夜帰って来ることにしたって。明日の夜に会おうってデイビッドは言った。つまんない。明日は一日お休みなのに。がっかり声でオーケーして電話を切ったら、すぐにまたかかって来た。「今夜うちに来る? そうしなよ。僕は夜中の1時くらいに着くけど、それでもよかったらさ。それからお茶を飲んでクッキーを食べて眠ろう。どう?」。いい、いい、いいに決まってる。なんて素敵なプラン。「もうすぐうちに着くよ」。デイビッドんちから20分辺りのところまで帰って来たデイビッドが車から電話をくれる。

病院のキッチンでもらって来たチキンをタッパにつめて、着替えをバッグに入れて車に乗る。2週間ぶり。会える。会える。会える。

途中でポリスカーに止められる。ストップサインで止まらなかったって。止まったよ。止まりました。ちゃんと止まりました。いつもここではちゃんと止まってます、サー。いつもつけ忘れるけど今日は「サー」もちゃんとつけた。見逃してもらっちゃった。




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湖から - 2004年08月25日(水)

やっとデイビッドが電話をくれた。
遠い遠い遠いメインのどこかの湖から。
携帯のシグナルはやっぱり弱くて、途切れ途切れの声が聞き取りにくかった。
何度も切れて、その度にかけ直してくれた。

夜中の1時半。
湖のほとりに建つお兄さんちのサマーハウスは、目の前がビーチでその先に大きなレイクが広がってるらしい。僕たちが行ったアップステイトのレイクの10倍はある大きさだよってデイビッドは言った。

毎日朝早く起きて、日が沈むまで湖で過ごしてる。
ナターシャはとても幸せで、日が暮れてからもうちに入るのを嫌がってウォウォウォウォーって泣くんだよ。僕は今日ひとりで7マイルほどカヤックをした。

デイビッドの話す声はとてもとても穏やかで、湖の風景をまるで小説みたいに描写してくれて、わたしには、デイビッドの目の前に広がる月明かりに揺れる水面も夜空にちりばめられた星たちも、泳ぐナターシャも吠えるナターシャもカヤックを漕ぐデイビッドも、映画を観てるみたいに見えた。

ありがとう、デイビッド。
ピースフルな声が嬉しい。
残りの休暇をうんと幸せに穏やかに過ごして欲しい。

ありがとう、デイビッド。
わたしもとてもピースフルになれた。



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Fear not, as God is with you - 2004年08月22日(日)

教会に行く。先週も、デイビッドが泊りに来てたから教会はさぼっちゃった。

教会に着いて階段をのぼり終えたところで携帯がなった。ID は「unavailable 」。天使だった。「今電話してくれた?」ってあの人が聞く。「ううん、してないよ」「ほんと? 国際電話みたいだったのに」。日本の携帯のシステムは知らないけど、国際電話ってわかるのかな。「あたしじゃないよ」って笑う。「今どこにいるの?」「教会に着いたとこなの」「そっか。今日日曜日か。じゃあまた電話するね」。クワイアのバンドの演奏が始まってて、聴かせてあげたいなって思った。

パスター・ピートはまだ休暇中で、今日はダリルのお話だった。「Fear not, as God is with you」。何度も何度も何度も自分自身のこころで繰り返してみる。どんなに神さまを信じていても、ジーザスがいつもわたしと一緒にいてくれることを知っていても、恐れが無くなることなんかない。失う恐れ。間違う恐れ。将来への恐れ。欲しいものが手に入らないかもしれない恐れ。難しい。どんなにジーザスが愛してくれてることを受け入れてても。

ジェニーとヒューリンとジョセフとジムと、それから何て名前だっけ、ジムのガールフレンド。6人でジョセフの車に乗って、アパーウェストサイドにローラーブレイドしに行く。いつも行く、デイビッドんちのすぐ近くの公園。「あれがデイビッドのアパートだよ」ってジェニーに教える。「いいなあ、こんなとこに住んでて」って言うジェニーに、なんか得意な気分になる。

そこからバッテリーパークまでローラーブレイドすることにした。言い出したのは果敢にもわたし。一番ヘタクソなくせに。12、3マイルの長い長い距離を、何度も止まりながら滑る。「Fear not, as God is with you」って笑いながら。バッテリーパークからUターンしたときには、もうくたびれ果ててわたしは何度も転んだ。激しく転んだ。おなかが空いて喉が乾いて、日が沈んで真っ暗で、またケガをするのが怖くなってナーバスになる。そのせいでよけいに転ぶ。ジョセフの案で、チェルシーピアでストップすることに決めた。それからジョセフがひとりで延々、車の止めてあるアパーウェストサイドに戻って、そこから車でジェニーとヒューリンとわたしを迎えに来てくれた。ジムとガールフレンドはバッテリーパークに行く途中で見失う。

お尻が痛い。痛すぎ。

ジョセフの車で教会に戻ってから、教会に止めてあった自分の車でうちに帰る。
帰り道で携帯が鳴った。デイビッドだった。「危ないから、うちに帰ってからかけ直しておいで」。

ローラーブレイドの報告。お尻が痛い報告。
「また行きたいな。今度はちゃんとバッテリーパークから最後まで戻って来たい。ねえ、今度はあなたと行きたい」。
「オーケー」ってデイビッドは言った。

一番恐れてるもの。
デイビッドを失うこと。
なぜ恐れるんだろ。
神さまが会わせてくれた人なのに。
Fear not, as God is with you.







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バイ、フレンドシップ - 2004年08月21日(土)

オスカーとサルサのダンスパーティに行った。
オスカーは時々わたしのことをなんでも見透かしたような言い方をする。そういうオスカーは嫌いだって言ったら、オスカーはダンススタジオのドアを出てってしまった。まだパーティが始まる前で、携帯に電話をして「戻っておいでよ」って言おうとしたのに、オスカーは電話を取らなかった。まるで子どもじゃん。まるでわたしがデイビッドによくしたみたいに。気分を害しながら、デイビッドもいつもこんな気分だったんだろなって思った。でもオスカーはわたしのボーイフレンドでもなんでもない。気を取り直して、始まったパーティに参加した。

ずっと前にロシア系さんとタンゴのパーティに行って以来のダンスパーティだった。そしてサルサはケガしてから初めてだった。まだかかとの高いダンスシューズは履けないから、履いてった低いかかとの普通の靴で踊る。まだ膝が上手く動かなくてもどかしかったけど、たくさん踊った。サルサはタンゴより膝の動きをたくさん要する。時々膝が痛んだ。でも楽しかった。

うちに帰るとオスカーからメールが来てる。
「僕たちのフレンドシップ」がどうのこうのって深刻ぶったメールの最後は「much, much love」。もうやめた。もういい。「ずっと友だちでいたい」とか書いて来たけど、もううんざり。デイビッドのことを話せば怒ってデイビッドのことをなじってばかりいて、「僕たちのフレンドシップ」が大切? もうたくさん。バイ、オスカー。





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アイザック・バシュヴィス・シンガー - 2004年08月20日(金)

8月14日土曜日。
デイビッドがナターシャ連れてバイオリンを持ってうちに来てくれた。
ナターシャがチビたちを追いかけないように、わたしは言われた通りにチビたちをベッドルームに入れてドアを閉める。ピアノとバイオリンを併せて一緒に弾いた。久しぶりだった。楽しかった。デイビッドがベッドルームでチビたちと遊んでるあいだにわたしはスクォッシュをスチームして、ごはんを炊いてデイビッドの好きなのりで簡単な手巻き寿司を作って、一緒に食べた。ナターシャにも白いごはんにひじきを混ぜたのを作ったら大喜びでペロッと平らげてくれた。


8月15日日曜日。
デイビッドは泊ってった。泊ってくれたのははじめてだった。
ナターシャをリビングルームにひとりにして、チビたちと4人で寝る。
小さなことでまたケンカして、ケンカしたせいで明け方に眠る。起きたらお昼過ぎだった。ダイナーにブレックファストを食べに行った。ダイナーでディナーを食べようとは思わないけど、ダイナーのブレックファストは楽しくておいしい。ケンカのことなんかすっかり忘れて、たくさん食べてたくさんおしゃべりして、長い時間ダイナーで過ごした。

「もうケンカはほんとにうんざりだよ」。帰り際にデイビッドは笑いながらそう言った。やめたい。やめたい。ほんとにやめたい。もうケンカなんか。

夜、Barns & Noble からデイビッドが電話をくれる。わたしにアイザック・バシュヴィス・シンガーの新しい本を買ってくれたって。


8月16日月曜日。
朝、病院の駐車場の前の道路で、大きな穴ぼこに落ちてオイルパンをぶつける。突然なぜか道路の真ん中が落ち込んで出来てた大きな穴ぼこが、雨のせいで見えなかった。ラヒラもやっちゃったって。でもラヒラの車は平気だった。お昼休みに AAA に来てもらって、修理屋さんに引っ張ってってもらう。修理代500ドル。信じられない。

借りてたアイザック・バシュヴィス・シンガーをやっと最後まで読む。
新しいアイザック・バシュヴィス・シンガー、早く読みたい。

なんとなく、また自分の人生に心配と不安がいっぱいになって眠れない。


8月17日火曜日。
地下鉄で通勤。悪くないかなって思う。


8月18日水曜日。
ジェニーからメール。「今度の日曜日、教会終わってからジョセフとブレイドのプラン立ててるんだけど、来る?」って。ジョセフとはもう話してない。いつかの電話以来、教会で会って声かけられても、もう前みたいにフレンドリーになれない。でもローラーブレイドはしたいから、「I'd love to!」って返事を送る。送ってから気がついた。わたしのブレイドは、修理屋さんの車の中。


8月19日木曜日。
夜マジェッドから電話があって、踊りに行こうって誘われた。
マジェッドはこの界隈が好きで、うちの近所のことをよく知ってる。わたしよりうんと知ってる。カダーもそうだった。カダーがよく行ってた中庭のある大きな素敵なクラブに連れてってくれたけど、今日はなぜかバーとレストランのところしか相手空いてなくて踊れなかった。場所を変えてわたしが聞いたことのあるクラブに行ってみたら、ラップのショーをやっててつまんなかった。もう一件トライしてみようってマジェッドは言ったけど、わたしはもううちに帰りたかった。拗ねるマジェッドを説得してうちまで送ってもらったら、トイレ貸して欲しいってマジェッドは言う。お手洗い使ってからリビングのカウチに座ったマジェッドはわたしを隣に座らせて、「キスしたい」って近づいて来た。「帰って! あたしにはボーイフレンドがいるんだよ。デイビッドを愛してるんだよ」。怒ってマジェッドを追い出す。やな気分。


8月20日金曜日。
車が直ったって修理屋さんから連絡。予定よりうんと早かった。お昼休みを内緒で1時間よけいに取って、車を取りに行く。「この夏一番」みたいな気温の高い日だった。暑くて暑くてめちゃくちゃ疲れた。でもこれで、日曜日にローラーブレイド出来る。

7月に仕事に戻ってからもらってなかったお給料がやっと手に入る。

明日からデイビッドは、ロードアイランドで週末を過ごしてから、マサチューセッツのお兄さんちの、メインランドにあるサマーハウスに休暇に行く。31日まで帰って来ない。「今日は予定あるの?」って夜遅くに電話がかかって来たけど、ハードだった一週間のせいでぐったりくたびれて、会いに行く気になれなかった。「31日まで会えないのか。向こうから電話するよ」ってデイビッドは言った。サマーハウスは街からうんと離れた湖にあって、携帯のシグナルが届かないかもしれないけどって。

10日以上も遠く離れるなんて、はじめてだ。
もう淋しい。

会いに行ってたら、買ってくれたアイザック・バシュヴィス・シンガー、もらえたのにな。早く読みたい。




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I'm not in love - 2004年08月11日(水)

8月6日金曜日。
仕事を終えて帰ってから、電話でデイビッドと会う約束する。
ガールフレンドとスペイン旅行に行ってる弟のダニエルのアパートに、デイビッドとふたりでねこにごはんをやりに行った。ダニエルのねこのシャーキーはちょっとクールな顔立ちでストイックに振舞う。おもしろい。シャーキーと遊んでテレビを観て、デイビッドは冷蔵庫からアイスクリームを持って来て1パイント全部スプーンですくってはわたしに食べさせてくれた。ダニエルのアパートは古くてアーティスティックで素敵だった。

デイビッドのアパートに戻ってから、ナターシャとデイビッドのふたりの写真をたくさん撮る。


8月7日土曜日。
デイビッドの仕事のお手伝いをしてから、ナターシャを連れて夜のバッテリーパークにドライブ。


8月8日日曜日。
教会さぼってデイビッドとジョーンズビーチに行く。水はあったかくて、たくさん泳いだ。ビーチでスカッシュをして本を読んで、夕方遅くまで過ごす。本の話をしているあいだに何気なくデイビッドが言った言葉に悲しくなる。「I'm not in love」。


8月9日月曜日。
朝いつものように出掛ける前にベッドに戻って、「I love you」って言った。「I love ou too」って返ってこない。「愛してないの?」「愛してるけど」。わかってたのに悲しくて、飛び出すようにアパートを出る。うちに帰ってから仕事に行く車の途中でデイビッドからの電話が鳴った。「大丈夫?」「平気だよ」。平気じゃないけど、・・・いい。

仕事が終わってから、ロジャーとポーリーンとペキンダックを食べに行くプランにジェニーを誘う。それからポーリーンんちに行って夜中まで延々おしゃべり。ポーリーンは突然離婚することになった。あんなに仲のいい夫婦だったのに。平気そうに明るく振舞うポーリーンが悲しい。


8月10日火曜日。
今朝も仕事に行く車の中で電話が鳴った。心配して一睡も出来なかったって。バカだね。もう「I wanna kill myself」なんて言わないのに。そう言ったのに。それよりもデイビッドの「I'm not in love」がわたしのこころを凍らせたままで、今日も夜電話をしなかった。


8月11日水曜日。
今朝はもう仕事に行く途中の電話がなかった。仕事を終えてうちに帰ると声が聞きたくてしょうがなくなる。うちの電話にかけてみたけど、いなかった。メッセージを残さずに切った。夜になって電話をくれた。「電話してくれたんだろ? メッセージなかったけどきみだと思ったよ。よかった、電話くれて。ありがとう」。凍ったこころが溶ける。


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Let it run - 2004年08月05日(木)

8月3日火曜日。
週末の仕事の分の代休。
夕方からひとりで公園のスイミング・プールに泳ぎに行った。
1時間くらい必死で泳いで、プールサイドで体を焼く。クローズの時間ぎりぎりまでいて、それから公園の芝生に水着のまま寝転んで本を読む。

平日の休日をゆっくりのんびり過ごしたせいか、昨日はバリバイ仕事に力が入った。走り回って走り回ってたくさんたくさん患者さんを診て、それでもちっとも疲れなかった。


8月4日水曜日。
昨日の反動か、仕事のペースがスローダウン。
最近のお昼休みはロジャーとキャッチボールして過ごす。夏の公園は子どもたちやバスケットボールをするティーンズたちでいっぱいだから、ローラーブレイドは危なくて出来ない。っていうより、ロジャーはわたしとローラーブレイドするのを怖がる。もう大丈夫なのに。でも小さいソフトベイスボールでやるキャッチボールは、デイビッドとする大きなソフトボールと微妙に違って面白い。


8月5日木曜日。
オスカーと電話で話す。週末に、先週会ったオスカーの友だちの映画監督とガールフレンドのステファニーを誘って、サルサのパーティに出掛ける予定だったから。映画監督とステファニーはサルサを習いたがってて、フリーのレッスンつきのサルサパーティをオスカーと探した。結局うちのダンススタジオのパーティに決める。

そしてオスカーとケンカ。オスカーはデイビッドのことをいつも非難するけど、今日はデイビッドのことを「きみと僕のフレンドシップの邪魔をする」なんて言う。そういうこと言うなら切るって言ったら「I don't care」って言うから切った。長々と謝りのメールが来てうんざり。


転換期。
オスカーはそう言ってた。わたしもそう思う。
だからじっと待つ。静かに待つ。

Let it run.
I'll go with the flow.



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修復の途中 - 2004年08月02日(月)

火曜日にディディーから電話があって、水曜日にはディディーんちに行ってタンゴを踊った。ディディーはすごく上手くなってて、くやしいけどたくさん教えてもらった。

木曜日はお休みで、ジェニーとロッカウェイのビーチに行った。それからいつも車から見てただけのあのクロス・アイランド・パークウェイの海沿いの道に、ローラーブレイドをしに行った。

金曜日にはオスカーとラティノ・フィルムフェスティバルのプレミアム映画を見に行った。オスカーの友だちが撮った作品で、ものすごくよかった。

デイビッドとは毎日電話で話した。デイビッドは水曜日の夜にロードアイランドから帰って来た。週末はわたしは仕事で、土曜日に仕事が終わってから晩ごはんを一緒に食べる約束だったけど、デイビッドの調子が悪くて「明日にしよう」って言われた。


日曜日。
会いに行った。
ナターシャは前と変わらずに大喜びでわたしを迎えてくれた。あの日、わたしに吠えたナターシャのことをわたしは少し心配してた。3回目のラディエーションを終えてから、副作用のせいでで目の周りの毛が落ちてた。それでもナターシャは可愛い。そんなこと関係なく可愛い。わたしにまとわりつくナターシャが、可愛くて可愛くて仕方ない。よかった。ナターシャはなにも変わってない。

会いに行く途中も会ってからも、長いこと長いこと長いこと会ってないみたいだった。
デイビッドはとても優しかった。とても優しくたくさん微笑んでくれた。優しさの意味がつかめなくて、わたしは緊張してた。ディナーを食べに行って、いつものようにオーダーしたふたつのお料理を半分こしあって、いつものようにジョーク言い合って笑いながらおしゃべりしてる間も、わたしは少しだけ緊張してた。デイビッドは、きっと以前ならわたしがムキになって言い返したりしたようなことも何度か言った。わたしは少しだけ緊張したまま、笑って聞き流したり笑って返事した。

デイビッドはあれからオスカーと話したかどうか聞いた。わたしは金曜日にラティノ・フィルムフェスティバルに出品してるオスカーの友だちの映画を観に行ったことを話した。サイコセラピーのことを聞きたかったのかもしれない。だけどわたしはもう大丈夫だから。大丈夫だから、もう敢えてそれを言わなかった。

デイビッドのアパートのドアの前に知らないマウンテンバイクが置いてあった。引っ越してった誰かが置き忘れてったんだってドアマンのおじさんが言った。それを借りてナターシャを連れてデイビッドと真夜中のバイキングに出掛ける。ナターシャが帰りたがらずに何度も何度も公園を3人で走った。捨て猫のいる丘のところで、塀によじ登って猫たちを見てたわたしを、デイビッドは抱きかかえて降ろしてくれた。いつものことなのに嬉しかった。

そして一緒に眠って、いつものようにわたしはデイビッドより早く起きて、今日はデイビッドんちでシャワーを浴びてそのまま仕事に行った。出掛ける前にベッドに戻っていつものように「行って来るね」を言う。それから「I like you」ってほっぺにキスしたら、ちゃんと「I like you too」が返って来た。


仕事が終わってから、休暇から帰って来たロジャーとごはんを食べに行く。
傷つけ合って憎み合うような言い争いに至るきっかけを自分から作ることをやめたいのなら、どうしてやめたいのか言ってみな、ってロジャーは言った。もう傷つけたくないから。自分もデイビッドも。もうあんなにイヤな気持ちになりたくないから。もう気が狂ったみたいな自分が嫌だから。もうデイビッドをあんなに怒らせたくないから。

「50点だな」ってロジャーが言った。わかってる。大切だから。デイビッドが大切だから。デイビッドとの関係が大切だから。デイビッドとの時間が大切だから。大切に育てていきたいから。思い合って大切にし合いたいから。


まだ修復の途中。
ジーザスはわたしに言い続けてた。変わりなさい。助けてあげるから。って。
変わる意味がちゃんとわかった。
まだ少し苦しくて痛い。
だけど、変わる。自分のためとデイビッドのためと、ふたりのために。





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