人権〝一日100質〟
〆よろしければ、相互リンクをお願いします。


2003年02月10日(月) 松本治一郎










☆国会開会式に当たり 松本治一郎、天皇拝謁を拒否(カニの横ばい事件)

一九四八(昭和二十三)年一月二十一日は、「貴族あれば賎族あり」として華族制度の廃止を訴えてきた松本治一郎と、身分制度の頂点にいる天皇とが初顔合わせする日でした。
戦前より開会式には天皇が出席する習わしになっており、参議院の副議長である松本治一郎も 国家のお客さんとして天皇を玄関まで出迎えました。彼が拒否したのは「単独拝謁」といって、便殿でひとりずつ天皇に挨拶をする際、まっすぐ天皇のところまで行かず、顔を天皇の方に向けながら横へ横へと歩くやり方でした。天皇に横顔とお尻を見せるのが失礼に当たるというのがその理由でした。松本治一郎は
「わたしはやらんよ。人間が人間を拝むようなことはできんよ」と言って
「こんにちは、ごくろうさまです」とだけ、挨拶しました。彼は天皇の尊厳を保つために、人間の尊厳を傷つけるような、カニの横ばい式のやり方には我慢できなかったのでした。
 人間の体はすべて大事なところであり、失礼にあたるところなどない。人間宣言をした天皇がまだこんな格好で歩かせていることこそ、失礼だということだったのでしょう。次の国会からは、この「カニの横ばい」は廃止されました。

☆、「貴族あれば賎族あり」松本治一郎語録

1920(33歳)「お宅ではネコが田植えばするとか」「するわけはないが・・・」「ネコと我々と、どっちが働きがあるとか。ここの蔵が建ったのはネコのおかげか」「そりゃあ、そんなことは・・・」「ネコは虫やトカゲを食うもんじゃが、部落の人も食うとか?ええ、食うとか?」「いや・・・」「それでは聞こう。不浄のケモノを座敷にあげ、ゼンのそばに置き、人間さまを土間に置くのは、いったいどういう了見か?はっきりしてもらいたい」

1931(44歳)「数知れぬ同志の犠牲と、尊い屍の上に築かれた陣営を真に働く階級のものとたらしめるために、私は百の言葉よりも一つの行動を取りたいと思います。歴史が必然的に約束せる”佳き日”の社会へ!しかもそれは我々が自らの手によって建設しなければならぬ社会であります。ために私は最期の血の一滴まで闘い抜くことを誓うものであります」

1952(65歳)「結局、全人口の一毛にしか当たらん将軍というものが、九割九部九厘九毛の人民をいじめる道具として天皇を利用してきた。そういう地位であるのにその本質がわからんで、何千年とそういう無道を許してきたという罪は大きいと思うんですよ」「いじめる道具にされながらそれがわからなかったんだから、罪はないじゃありませんか」「いや、被害者があるから」「天皇が加害者ではないでしょう」「加害者の道具になったんだから、加害者よりまだ上です。罪が」「人殺しをした奴よりも、刀のほうが罪が重いってことはないですよ」「しかし、刀がなけりゃ人は切れませんな」「刀がなくってもゲンノウでもやれるしね」「今の例えなら、やっぱ刀に罪がある。鈍器なら死なんところでも、刀なら必ず死にますよ」

「親から譲られた財産は天皇の場合はもうないはずです。憲法の八十八条に「すべて皇室財産は、国に属する。すべての皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない」とあって、天皇一家の生活は憲法で守られとるんです。それだのに隠し財産をもったりするから、私がそれを皇室会議でいうでしょう。どうしても参議院の副議長をやらしとくわけにいかんというので、追放しにかかった」

「人を殺すくらいなら、わたしァ自分が生きていませんよ。人は殺しちゃならない。「不可侵、不可被侵」ということを生きる信条にしとる。しかし、人間五十年、生存権や人格を侵すものがあった場合は、死力を尽くして守れというんです。無法に侵してきたら、そんなものがきたって恐れず対抗するだけの自信はあります」

1964(77歳)「人間のとうといということは、大きい土地に住まい、大層高楼に美衣美食をして生活するのがとうといというのではなくて、自分自身の生活を、自分自身の力で、働き立てていくところに人間のとうとさがあると思うが、だれの子だから、だれの孫だからといってぜいたくをしていいということは許されないと思う。私の洋服は五年目です。春夏秋冬背抜きの服なんですよ。何か醜いですか。どこへ行ってもそう軽蔑されませんがね。皇室の者だからといって洋服が幾らかかる、飾りが幾らかかるというようなことでは 質素とはいわれませんね。私の服は冬でもこれですよ。背抜きだから夏でもこれですむ。五ヵ年着ているのです。おかげでそのためにからだが健康である。健康でない皇族の人たちのからだはあまりに贅沢しすぎるからじゃないですか。私はそう思う」

1966年(79歳)「こんどのことは実に簡単なことなんだよ。天皇家に孫が生まれた、そういう天皇家の私事はその一家と関係者があたればよいこと・・・しかしその私事をなぜ人に押し付けようとするのか・・・ほんとうは天皇制の復権強化が企てられている・・・私は国会で追及しているが、昭和四十年度の予算を見ても、皇室関係予算は五十六億三千十三万円と巨大なものなのに、六千部落三百万人といわれる部落に対する予算はわずかに十九億円余りということ、・・・もっと現実を見る、事実を見ることだ。”貴族あれば賎族あり”というこの事実を見ることだよ」

「・・・たたかい抜こう。不幸にしてこのたたかいの中に直接この体をおくことはできないが、私は少しもさびしくはない。全部落大衆が、とくに若い諸君が、私を乗り越え、完全解放をめざしてたたかい続けることを確信している。差別からの完全解放をたたかいとる力は、何よりも部落大衆の団結である。一致団結、堂々と正義の道を歩み続けよう。完全解放のその日まで、私は何としても生き続ける。ともにがんばろう」

(to be continued)

参考文献:松本治一郎対談集「不可侵 不可被侵」(部落解放新書)


☆建国記念日について

賛否相半ばする世論(政府調査で賛成47.4%)をふりきって一九六七年より実施されています。この日が神武天皇の即位日であるという史実がはたして正しいのかどうかを考える上では、古事記編集に携わった天武天皇が、天皇家の危機に対処するため意図的に神武天皇を利用した歴史、同様に、明治時代に伊藤博文が神武天皇を利用し、明治天皇樹立、紀元節の制定をした歴史を知る必要があるのですが、みなさんはそれらをどこかで学ばれましたか。どこで学ばれたでしょうか。

☆1952-10-12 遊郭設置に反対 山口県で(婦人民主新聞)

「山口県玖珂郡玖珂町では九月三十日夜の町民大会に千数百名があつまり、遊郭設置反対、町政の民主化を決議しました。
玖珂郡一体が昨年のルース台風で相当の被害を受け、その災害復旧工事に5千名の日雇い労働者が集まったのに対し、玖珂町の有力者が労働者慰安と称して遊郭設置運動を起こし工事に着手しました。
そこで地元婦人会、青年団が遊郭反対運動を起こし、ボスに対抗して立ち上がったもので、なりゆきが注目されています」

☆2003-01-14 09:20(アサヒ・コム)

山口県玖珂(くが)町教委が町民を対象に実施した「人権問題に関するアンケート」で、心身障害者や「同和地区の人」との結婚についての意識を尋ねていたことがわかった。町教委は町民から「差別や偏見を助長する質問で、不適切」との指摘を受け、13日までにアンケートの中止と用紙の回収を決めた。
 町教委によると、アンケートは昨年12月、人権教育の新たな指針を作るために、無作為に抽出した20歳以上の男女計1000人を対象に、実施された。無記名で今月末までに回答するように求めていた。
 問題の質問は、「人権の個別的な課題について」の項目のひとつ。「次のような人(心身障害者、外国人、感染症患者、罪や非行を犯した人、同和地区の人)との結婚についてお聞きします」とある。
 回答者が既婚なら自分の子ども、未婚なら本人が、その立場の人と結婚する場合の対応を尋ねたもので、既婚の場合は「子どもの意志を尊重する」「家族や親戚(しんせき)の者が反対なら認めない」「誰が何と言っても絶対に反対する」など5つの選択肢から選ぶ。未婚の場合も同様に「自分の意志を貫き結婚する」「家族や親戚の者が絶対反対なら仕方なく結婚をあきらめる」などの4通りの回答が用意されている。
 このアンケートに対し、町民の男性が「列挙された人たちに対する差別や偏見を助長する質問で適切ではない」と抗議。町教委は県教委と相談し、10日に中止と用紙の回収を決定した。担当職員が「質問事項に不適切な項目が含まれていた」とする謝罪文を持って各家庭を回り、ほぼ回収し終えたという。町教委の伊藤卓男・教育次長は「具体的にどの質問が不適切だったかは言えないが、一部質問に配慮が足りなかった。深く反省し心からおわびしたい」と話している。

☆玖珂町民の方のご意見
 アンケート 投稿者:フッコ  投稿日: 1月29日(水)04時52分58秒
Kさん、あなたのしっかりとした貴重な意見に感動し、そしてとても嬉しく思いました。玖珂町在住の20歳ののかたですね。あなたのような男女青年が陸続と玖珂そして日本に育っていって欲しいと思います。青年が変えていくんです!砂漠に水を得たような思いがしました。私自身マスメディアの報道に影響されてしまっているのか、26年も日本を離れていますので、報道から今の日本の若い人たちの言動に少々不安を持ち、日本の将来に憂いすら持っておりました。あなたのような青年がこれからの玖珂をそして日本の意識改革をしていく先頭となっていって欲しいです。部落問題や人種・国籍での差別は特に小さな町や村では否めないでしょう。21世紀の今、一つの町や国レベルではなく地球市民として、あなたのような若い人
たちが大きく変革していって下さい。ロサンゼルス近郊に住んで、26年。私は前回も投稿しましたが、国籍・人種・家柄身分(すみません、日本語がみつかりません)等を超えて「人間対人間」としての付き合いをあらゆる人々としております。命と命で対話を重ねたときに、「人間は平等であること、そしてみんな平和を幸せを願っている」ことを痛感します。アメリカのテレビの宣伝で・・・生まれたばかりの赤ちゃんが画面に現れてナレーションが・・バックは何も無く、真っ暗の
画面、赤ちゃんだけにスポットライトが当たっています。「生まれたばかりのこの子には、差別意識など全く無い。そのまま差別の無い人間に育てていくためには、家庭や地域社会からまず差別を無くそう!」というのがあります。強烈なメッセージです。玖珂町のアンケートの意図は、「差別の無い町」を築くための町民の意識
を知るためへの第一歩だったのでしょう。私個人としてはアンケートというより、個人個人の「人権問題」についての意見を自由に書き込んでいくものにしたらどうかなと思っています。記名、無記名は本人の自由にして。そうして町民の意識調査をされたらどうかなと思います。Kさん、あなたの投稿に感謝します。あなたのような青年達が玖珂町発展の為に将来バトンタッチで進んでいって欲しいと切に願います。国際化、地球市民といっても外国に行くとか外国語が喋れるとかではないと思います。あらゆる人に対して差別の無い寛容性のある人になることではと個人的に
思っています。講演とかも良いのではないでしょうか?玖珂町発展を遠くアメリカから祈っています。

人権問題アンケート 投稿者:K  投稿日: 1月28日(火)15時47分11秒
自分は現在二十歳で先日のアンケートにも答え、自分なりに一生懸命考え、答えたつもりです。だからこそ、「中止」の事を役場の方から聞かされた時、非常に残念に思いました。「何の為の人権問題アンケートか」という事について自分自身もそう思っていました。ただ、「おっさん」さんの考えとは異なります。逆に問いたいと思います。「玖珂町は何の為にアンケートを行ったのか?」という事を自分なりにお考えになった上で先の質問をなされたのでしょうか?
江戸時代からこの平成の世まで無くならずに残り続ける「差別」です。今までのような生易しい「道徳教育」で改善する事は無理だという事はわかりきっていると思います。「差別はいけない事だから、無くして行こう!」口で言うのは簡単です。でもそれで済むならとっくの昔に無くなっています。「差別を助長する」とありますが、アンケートの対象は二十歳以上だったと思います。今の二十歳以上はそんなに馬鹿ですか?特に今からこれからの中心となる世代は今現在、中心となっている方々よりも柔軟な考え方が出来ると思います。それだけの情報を手に入れる術を持っているからです。例えば、自分の母は同和地区の方に関して否定的です。でも、自分は一切そういった事を気にはしません。何の根拠も無い事だと分かっているからです。現在そういった状況が少しづつ増えているのでは無いでしょうか?気にしているのは年寄りだけ。次の世代の人間は徐々にそういった事を気にしなくなっているのでは?悪く言えば「無関心」と捉えられるかもしれませんが、決して悪い事だけでは無いと思います。人権問題のHPには今まで訪れた事は無いのでどのような議論がなされているのか分かりません。今回の事で「見てみよう」と思いました。他の人の意見を目にする事はマイナスにはなりませんから。ただ、笑っている連中には好きなだけ笑わせやれば良いのです。笑っているだけでは何も変わらないのですから。今回のアンケートの目的は「差別の改善の為の前準備」であって、「差別の助長」では無いと思いますし、そうあって欲しいです。それでも尚「差別の助長に繋がる」という理由で「認めない」ならば、何も出来なくなってしまうのではないでしょうか?まだまだ人生経験が足りないので気づかないのかもしれませんが、その分これからもっと勉強していこうという気になりました。このような気持ちの人が少しでも増えれば今回のアンケートは無駄じゃ無かったのでは?と思います。最後に、アンケートに関してはもう一度、何らかの形で実施し、その結果を踏まえ行政で何らかのアクション(講演会等)をして、この問題を少しずつでも前進させて欲しいと思います。

「人権問題に関するアンケート」について 投稿者:フッコ  投稿日: 1月23日(木)04時58分55秒
謹賀新年 久しぶりに投稿板を見てびっくりしました。玖珂町で人権問題に関するアンケートが実施されたようですが、私個人としてはこのアンケート(実際に用紙を見ていませんが・)実施の目的は差別の無い街づくりということでよかったのだと思いますが、質問のしかたなんでしょうか?実はアメリカでは20日はアメリカ黒人の地位を向上させ、人権差別撤廃をめざした黒人リーダー キング牧師の誕生日(15日)を記念してのお休みでした。今日なお、その崇高な行動に尊敬を受けて人種・国籍を問わず続けています。有名な「私には夢がある、いつの日かわれわれの子供達は白人・黒人問わず共に手をつないでいくことを・・」というスピーチがあります。日本を離れて26年、今の玖珂町民の差別に対する意識への理解度は全くわかりません。が・・私は、人間の価値はその人の出身地、出身国、人種、家柄等ではなく、その人の「行動」だと思っております。一人一人が「人間は平等なのである」という理解を持って、人に接していくことで差別はなくなっていくと思っています。幸運にも人種のるつぼ、それも南カリフォルニアという自由なところに住んで今はイラン、イラク、アフガニスタン、台湾、香港、中国、アルゼンチン、メキシコ、ドイツ、フランス、インド、パキスタン、フィリピン、パナマ、エクアドル、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア・・・もう沢山の友人を(宝)持っています。差別意識が薄くなっています(全く無いとは言えません)。
玖珂にも多国籍の人たちが居住するようになったときに、町民がどう接していかれるのかが興味あります。人は行動によって価値がわかるのでは?
長々とスミマセンでした。遠く、アメリカから愛する故郷・玖珂を思いながら投稿しました。

☆<町長、教育長声明>まもなくHP上から消去されました。

「人権問題に関するアンケート調査」について
 昨年末に、町民1000人の方に「人権問題に関するアンケート調査」をお願いいたしました。このアンケート調査につきましては、今後の玖珂町における人権教育を適正に推進するために役立てたい、という純粋な考え方に従って行ったものです。 しかしながら、アンケート調査をお願いした後、住民の方より「アンケート調査の質問事項の一部が不適切である。」とのご指摘があり、教育委員会において内容を再度検討した結果、「誤解をまねくおそれがある」と判断し、中止と回収を決定いたしました。
 中止決定後は、ただちにアンケート調査をお願いした方のご自宅を訪問し、経過の説明と調査表の回収をさせていただきました。
 心ならずも今回のアンケート調査により、大きな混乱をまねいたことに対して、心からお詫びを申し上げます。
 今後とも、町民の皆様から貴重なご意見をお伺いしながら、玖珂町における人権教育を総合的かつ効果的に進め、明るいまちづくりの推進に真剣に取り組んで参りますので、皆様のご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

平成15年1月17日
           玖珂町教育委員会
           教育長  柳川 堅一

山口県玖珂町HP http://www.town.kuga.yamaguchi.jp/


 < 一つ前の日記  目次  次へ>


ミンク [MAIL]

My追加