
「2001年3月8日 知的障害者更生施設における暴行問題人権救済申立事件(警告・勧告・要望)」より抜粋
入所者に対する暴力
相手方Cは、自ら入所者に対して殴打、足蹴り等の暴行を加え、入所者に肉体的にも精神的にも多大な苦痛を与えていたものである。
1.一九九七年三月中旬頃、園内食堂において、配膳係をしていた入所者H(当三三年)、 I(当三三年)、J(当二二年)、K(当二七年)の四人に対し、配膳が遅いと文句をつけ、洗面器で水をかけ、更に右H、J両名の太ももを足で蹴るなどの暴行をした。
2.一九九六年四月八日、同園訓練棟において、入所者L(当三三年)に対し、作業訓練と称して歩行させる訓練を行っていたところ、同人の態度が悪いと言って同人が誤るまで約一五分間にわたって追いかけ廻し同人の身体を殴打する等の暴行を加えた。
3.一九九六年一一月一八日頃、同園居住棟において、入所者M(当三〇年)に対し、同人が障害によるこだわりのため水道の蛇口から水を飲み続けることを繰り返していたためこれをやめさせようと、火のついたライターを同人の身体に近づけて暴行を加えた。
4.一九九七年一月一九日、同園居住棟において、右Mが着替えができないでいると、同様に火のついたライターを同人の身体に近づけ、更に同人の頭を手挙で殴打する等の暴行を加えた。
5.一九九七年五月六日午前九時三〇分頃、同園農園ビニールハウス内において、相手方Cが、入所者Nとともに農作業中、同人がハウス作りに使用した部品を間違えてビニール袋に入れたことに立腹し、中腰で作業していた同人の体を足蹴りして暴行を加えた。
入所者に対する催眠剤、抗精神病薬の多量な投与
相手方Cは、夜間における施設内での入所者管理を容易にするために午後五時から六時に入所者を就寝させ、その行動を抑制しようと、自らの判断で催眠剤や精神安定剤を多くの入所者に投与していたものである。例えば
1.一九九三年三月頃から一九九七年八月頃までの間、入所者Nに対し、同人や家族に何ら説明もせず、また同意も得ずに、毎日、少なくとも朝昼夕の三回にわたり、ユーロジン(催眠剤)、レンドルミン(催眠剤)、セレネース(精神病薬)、ニューレプチル(抗精神病薬)、リーマス(抗精神病薬)、アキネトン(パーキンソン症候群治療薬)名の各薬品を多量に服薬させ、同入所者には薬の副作用と思われる倦怠感、行動意欲の欠如、下痢その他の症状を生じさせた疑いがある。
2.前記と同様の期間、入所者Oに対し、同人や家族に何らの説明もせず同意もせずに、毎日少なくとも朝昼夕の三回にわたり、ユーロジン(催眠剤)、ニトラゼバム(催眠剤)、セレネース(精神病薬)、プロペチル(抗精神病薬)、ノバミン(抗精神病薬)、プロペリシアジン(抗精神病薬)、デパケン(抗痙攣剤)、フェニレン(鉄欠乏性貧血治療剤)、ビレチア(抗ヒスタミン剤)名の各薬品を大量に服用させ、同入所者に薬の副作用と思われる倦怠感、行動意欲の欠如等の症状を生じさせた疑いがある。