たりたの日記
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通勤の日々が始まって二週間が経過した。良くしたもので、身体は次第に慣れてくる。音楽を聴いたり、本を読んだり、書き物をしたり、ただただぼおっと流れゆく景色を眺めたり、考えごとをしたり・・・ 通勤の時間とは人の中にありながら、全くの孤独を楽しむことができる、ある意味、何にも犯されない一人の時間なのだ。
一旦電車を降り、15分ほど歩くと職場である、役所の大きな建物の広いフロアーの、ひしめき合うデスクと人々の中に混じる。 その広いフロアーは教育に関するフロアーで、それぞれの部門でいくつかのグループで成り立っている。わたしのグループは英語教育に携わる専門職非常勤職員8人。今年から始まった新しい制度の元に採用された者たち。みな海外生活の経験があり、アメリカやイギリスの大学や大学院を卒業した人がほとんど。わたしはせいぜい、コミュニティースクールの語学コースで学んだ程度だからアカデミックな部分で相当肩身が狭いし、イギリスで20年間生活してきたという人と比べれば、4年半ほどのアメリカ滞在はとても短い。一方わたしは小学校で英語を教えた経験は7年間、自分の英語教室では15年と、わたしが一番経験がありそうだ。きっと経験で採用されたのだろう。
今は一週間の研修の後、担当する9校の小学校に実際出向き、情報を収集したり、打ち合わせをしたりする時で、来週まで続く。その後、いよいよ小学校に一日入り、そこでの英語活動を支援するという仕事が始まる。 一つの学校は平均4クラスなので、およそ36クラス、つまり40人近くの学級担任と共にティームティーチングをし、およそ1000人の児童とかかわる事になる。
チャイムの音、子ども達のざわめき、給食の匂い・・・ ふっと新卒の頃の、教員になり立ての頃の自分に戻っている。 洋服ダンスに眠っていた新卒の時に買った濃い目のピンク(とも言えないような微妙な色だが)のスーツを取り出した。 スカートは残念ながら虫食いの穴が空いてしまっていて着れないが、上着の方は不思議なように、はじめの形をそのまま保っている。 授業に入る初日は、このピンクの上着を着ていく事にしようか。 あの時に繋がるこれからの始まりを記念する意味で。
この四月から、2時間15分の通勤の日々が始まっている。 起床は5時。家を出るのは6時。8時半仕事始まりで4時15分まで。 7時間の労働時間の中でさらに、自転車、及び電車やバスなどでの移動が往復40分から1時間。つまり、一日に6時間から6時間半の移動時間となる。 今までの仕事が徒歩1分という距離だったから、これは何とも大きな変化だ。私の人生の中で、初めての体験だ。
という訳で、ここに書く時間が見つけられない。 いや、ここに書くというエネルギーが残っていない。 通勤に加えて、新しい仕事の環境そのものに慣れていないための精神的疲労があるからなのだが、それにはいずれ慣れるだろう。 そのうち、通勤時間を利用して、書く事もできるかも知れない。 話に聞けば、何からも束縛されない通勤時間は黄金の時らしいから。 さて、11時半までには寝なくては。
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