何にこだわっていたのだろう

何がそんなに苦しかったのだろう


ひとり真っ赤な靴を脱ぎ捨てた

よく見てみると子供だった

泣かないで　だからまた私についてきて

純粋に信じた手を取り戻して



何がそんなに大切だった？

多分きっと

もうゲームオーバー

言うことを聞いて

おとなしくなってみようか

あの子のように


髪の毛を撫でて

いとおしく想ってみようか

いつかのように


うわのそらで満たされ

誇らしくなってみようか

子猫のように

またここで会えるのかな


またここで待ち合わせをして

君は少し遅れて来て

急いで向かう夏祭り


来年がくるまで待ってみよう

偶然だけの繋がりだけど

ロマンティックにとらえて待とう


偶然だけを頼りにしながら

夏の終わりに例えて待とう

またここで見つけてくれるなら

今すぐに向かおう

目の前から消える前に

憶えたての言葉を胸に

そして忘れにいこう


今すぐに向かうよ

今きっと会いにいける

憶えた手の在り処を探し

そして忘れに行くよ


置きざりなんかじゃない

誰かのせいでもない

忘れながら消えていけばいい

拾えない昨日を思い出しながら



ひとつだけ気づいたことがあるよ

私は誰のことも好きじゃなかった

私は誰のことも嫌いじゃなかった

責めるのは嫌だし

泣かれるのも困る


どこかで悟っているから

迷いながら捨てた昨日も今は拾えない


誰にも誓うことなく

誰も知らないところで僕は



でも　今はまだ

明日が当たり前にある気がする

「それが全て」だなんて大袈裟すぎた

ファインダー越しに見る夜はあまりに暗く


「何もない」だなんて考えすぎた

不安だと口にした夜はあまりに遠く


「伝えたい」

少しだけ夢を見ていた

口にしなければ何も無いものと同じなのに

突き抜けていた空が

急に目の前を真っ黒に染め上げたとしたら


途切れていた雲が

急に目の前を真っ白に埋め尽くしたとしたら


通り過ぎていた道が

急に綺麗なものだと気づいたとしたなら



凍りついた感情が


僕の傍から離れようとしているから

そういえば僕はわざと雨の日を選んだ

傘で隠せる自分の姿に気づいたから



今だったら全てを話してくれるかな

癒してくれるのは時間だけだと気づいたから



間違いも今は許せる気持ちでいるかな

不安定な僕の心を察知して

自ら無神経な役を選んでくれた



足りない嘘を補うようにして

ふたりは最初に交わした約束を忘れた

口元は見ないように

もう少しリラックスして



昨日まであんなに晴れていたから

何か誤解していた



足元は見ないように

今はまだ決めつけないで