詩のような 世界

目次


2002年01月30日(水) 突風の行方




見たくなかった
聞きたくなかった
分からなければよかった




手をつなぐ時は
指を絡めることもなく
冗談交じりの会話
軽い綿菓子のような愛の語り


全ては可愛いモヤのほとり


浮き足立っていた
満足していた
はずだった


どうしていつから?
ちょっと気を抜いた瞬間
突風に巻き込まれ
私は冷たい風の中で君を探し始めた


どこ?
居ないよ?
感じないよ?


軽やかな余韻はまだ残っていて
私は目を瞑った
落ち着け
いつもの私のままで…


でも竜巻は思ったより激しかった
不安
焦燥
嫉妬
独占
恐怖
冷淡


耳をふさげ!
心をふさげ!
この風はいつか止むから

きっと…






2002年01月27日(日) 迷い道



空高くそびえ立つ木々が

僕と君を歓迎している

深い森に迷い込んだ僕らは

はしゃぎながら小道を歩いた



君が下手なリズムを取って

音痴な僕がそれに合わせて歌う

2人の足音はタカタカと

きっと森中に響いていたね



そのうち闇が訪れて

辺りは静寂に包まれた

僕らは手をつなぎ走り出した

行き先もわからずに

さっきまで優しかった森の緑たちは

表情を変えて僕らを睨んでいる



君は握る手に力をこめ

僕は震える声で繰り返し言った

大丈夫だよ

もうすぐだよ



星が瞬く夜空からホワイトタイガーが現れた

僕の腕を食い破って去った

君は叫び大粒の涙を流す

僕は途切れ途切れ囁いた

大丈夫だよ



僕の腕を伝う真っ赤な血を

君は小さな舌で受け止める

泣きながら絡め取る

痛みなんか感じなくなった



朝の光が眩しく森に射しこむと

空の青の中でちぎれ雲が横一列に並んでた

ゆっくりと流れながら僕らを導いている

出口はもうすぐそこだ

















2002年01月26日(土) 耳鳴り



あの場所に行けば貴方に会える
そう思いながら
そう願いながら
私は何度走ったことでしょう



時々耳鳴りがするのです
不快な金属音
きっと助けを求める貴方の叫び声



私は行ってあげられない
貴方は望んでいないから
この手を持て余しているというのに
もちろん貴方のために



聴いてくれますか?
私の錆びた唇から生まれる歌を
見つけてくれますか?
無意味な問いを繰り返す私を
















2002年01月25日(金) Parting for life



深すぎる情愛は命取りね

共に過ごす日々はとめどなく溢れる蜂蜜のように

甘く香り愛しく絡み合う

孤独を緩和し音を奏で続ける


そして時間が流れていることに気づけないの


私が消える時が来たら

貴方が去る日が来たら

私は胸の真ん中に問うことになる

「どうしてあの人はいなくなった?」


現実を直視できなくなったこの目は

きっと私の爪によって潰されるでしょう

真っ暗になった視界の中で

貴方の写真を抱きしめ泣き叫ぶことになる


「どうしてあの人は帰ってこないの?」













2002年01月24日(木) 風穴




「世界」という圧迫された箱の中で

私は
泣いたり 怒ったり
悩んだり 苦しんだり

刺さったり
痛かったり
強がったり



呟いたりしてる



こんなこと
馬鹿馬鹿しいと鼻で笑っても
気分はちっとも晴れないときてる


夕日が溶けて青紫に染まった空は
この星の広さを教えてくれるけど
その空さえも箱の中に収まっている




出して!!!!!

ここから出して!!!!!!



涙が頬を伝っても
どうして何もひっくり返らないの?




貴方がいたら
この箱に風穴が開くかもしれないのに…




























2002年01月22日(火) †青春歌†




視線がぶつかって

心臓は高鳴りっぱなしドクドク

君は目をそらさないから

僕は慌てて誰かに話し掛ける



それでも僕の心は

興奮状態から抜けられず

身体から飛び出して空中分解パーン



分子と化した心は

君の元へ行くのをためらい

意味もなく漂うフワーフワー



身体はかろうじて僕のもの

嬉しくて恥ずかしくてやっぱり嬉しくて



そしてもう1度君を見る

君の目線の先に僕はもういない



わかってるんだ

いつも同じパターンだからだ




真実はヒュルリラ


















2002年01月18日(金) 自己暗示





貴方を許すために私を悪魔にしよう

私が悪かったんだ
私が悪かったんだ
貴方は被害者だ
貴方は犠牲者だ



よかった少し救われた





なんて
そんな単純な思考回路だと思った?


貴方を嫌いになんかなりたくないのに





何で?何で?何で?














2002年01月12日(土) イメージ

一歩一歩天の世界へと近づいて行くの





意地と意地のぶつかり合い

唇から血を流してまで叫ぶこと?





哀れな美しい黒猫よ

おまえはずっと叶わぬ願いを抱いてきた





100階建てビルの屋上から見下ろす景色

そこは死の荒海に過ぎない





エンドレスエンドレスエンドレス

簡単に言葉に出来ると思ったら大間違い






この心臓は誰の創造物?








2002年01月07日(月) The forbidden fruit



さあ少年少女たちよ
手にナイフを持ちなさい




僕が最初に見つけたのはアイツだった
イライラするから話しかけなかった
なぜこんなにも苛立つのか




銀色に輝くこの刃物は
誰の血に染まるべきなのでしょう
時間はたっぷりあります
よく考えなさい
チャンスは今しかないのだから




アイツは言っていた
「僕はみんなが好きなんだ」
偽善者め
どうしてそんな奇麗事が容易く口から飛び出すんだ?




獲物は見つかりましたか?
ナイフは綺麗な布で拭き終わりましたか?
ではそろそろ始めましょう
不必要な同情など感じている者はいませんね




僕はアイツを殴ったのに
アイツは真面目な顔して
「何かあったのか?」





スタート!!




僕は泣いた
泣いて泣いて泣いて
「僕だけを見てくれなきゃ嫌だよ」
呟くことしかできず




辺り一面血の香り
数千のナイフが空を舞う
「あら、なんてことでしょう。あの子・・・」




僕は迷うことなく自分の胸にナイフを入れた
最も恥ずべき存在はこの僕
アイツは僕だけを見てるかな?










2002年01月05日(土) 幻影

烏の大群が空を埋め尽くしたような

星1つない夜空


私は小さな家を目指して歩く

とりあえずの行き先はいつも決まっているものだ




街灯がぽつんと立っていた

雪道をほんのり照らしている


あの人が

いるような気がした

光の下に

見えるような気がした


幻でもいいから

現れて私を変わらぬ力で抱きしめて

今ならきっと私は

背中と背中に挟まれた風船のように

耐えられず破裂してしまうに違いない



アナタの腕の中で粉々に散るなんて

こんなに最高で素敵な最後はないわ



そして夜空は白光で満ちていく






















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