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熱血青春日記(癒し系)
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2005年09月23日(金)
タコス

 この時期は死ぬほど忙しいです。過去日記はそのうち更新しますが、とりあえず今日は早く帰ってきたので書いてみる。

 特に2年生の忙しさといったら尋常ではなく、一体自分はなぜこの大学を目指したのかと自問自答したくなるような毎日ですが、芸大に行ってたらこの三倍くらいは忙しかったんだろうなあ、きっと。一人暮らしだから今みたいに外食ばっかりって訳にもいかないだろうし。

 そう、まともに家に帰ってこないので一日の内2食が外で食事なんですよ。バイト代のほとんどが消えていくのに脂肪はたまってさあ大変。旅行などの予定もないので貯めちゃいないんですが、なんだか東京旅行目的で貯めてたときに貯蓄癖が出来てしまった。まあ良いクセなので、お金を貯めて服でも買おうかなと思っています。基本的に、着ていて楽かどうかという観点で服を選ぶので気がつけば常に服装からやる気のなさが満ち溢れているという事態になってます。
 今日も「その服ってカッコいいんだろうけど、ゆう君が着るとだらけて見える」と言われました。もう勉強とか仕事どころか、人生やる気がないんだ、きっと。

 それで、もうめんどくさくなって晩飯食わなくていいや、夜食うと太るし、と思って一日二食になり、昼飯もなんか食べる気おこらん、メシに金払うくらいならCD買うよとついに一日一食になると、お金は貯まるもののえらい風邪ひきました(駄)ちゃんと食わないと駄目ですね。
 そう思って、今日の帰りはレストランで夕食を取ることに。たまたま通りがかったアメリカンな感じのレストランでタコスを食べました。実はタコスって初めてなんですよ。タコス味、なら何回もあるけど(笑)
 出てきたときは食べ方がよくわからず、とりあえずなんでも突っ込んで見ると溢れ出して大惨事(笑)なんとか意味を理解して食いましたが、あんまりうまくねえなあ、あれ。一人で食べたのがよくなかったのかもしれない。周りはなぜかカップルばっかりで、しかも自分の席は店内のど真ん中という切なさ。いちゃいちゃしているカップルの横で知能検査のマニュアルを読み耽っているのはどうかと。医学書よりはマシか。


 近況としては、最近大学で心理アセスメントというのをやっています。まあ、要するに心理テストですな。まずは性格検査で自分の性格を分析しました。将来非行に走る可能性があるそうです、僕。そういや小学校の頃は脱走の常習犯だったなあ。医学校の心理なんかにいると、精神分析というのがどうしても眉唾にしか思われないのですが、なかなかしっかりしてるじゃないか。
 で、今分析しているのは知能検査です。被験者は女性だったんですが、その方しきりに「私どんくさいから、こう言うの駄目なんです」と終始悲観的だったにもかかわらず、IQ120というとんでもない値を出していかれました。問題ないっていうか、常人超えてるじゃん。超控えめな性格なんだな。今度YG性格検査でもしてみるか。と思いつつ夜中まで結果の分析を続けている次第です。詳しい話は後日過去日記に。



 そうそう、某向日葵寮の主夫(笑)のブログを読んで、こんなんやってみました。浮気テスト、らしい。以下が結果。



ズバリ!! あなたが最後までしてしまう浮気人数(概算)は、0人です。
あなたが生涯費やす浮気費用は、67868円です。
この費用であなた(達)は、こんな事をしてしまうようです。
あなたは、一生の間に、浮気をしないようです。

誠に勝手ではありますが、もう少し、あなたについて分析させていただきました。
あなたの優柔不断度は「36 オロオロ」です。
あなたは、意思決定が早い方のようです。
何でもすぐに決めてしまうあなたは浮気も即決。
気に入った人がいれば即アタック、即………乗り換え……・!?
その後は?

あなたのH指数は、「38 えっち」です。
あなたは、エッチにそれほど興味がないようです。
もちろん、浮気にもそんなに興味がありません。
「そういう関係」にもなりにくいタイプのようです。

あなたの誠実さは「110 しっかり」です。
あなたはかなり誠実な方のようです。100越えてしまっています。
逆に言うと、相手には物足りなく映ってしまうかも知れません。 
いや、確実に物足りないはずです。

あなたの浮気したい指数は、「19 ふわふわ」です。
あなたは、特定の人と確実に愛を育む生き方が合っているようです。
浮気したい度なので、実際はわかりませんが(笑) 
相手にとってはいい人でいられるようです。

あなたの度胸指数は、「94 ドキドキ」です。
あなたはかなり無鉄砲なようです。 
きちんと見分けないと、気付いたらヤクザな相手と関係してたなんて事に……

浮気したい!度とあなたの心から、こんな事がわかってしまいます
あなたは、浮気に興味がなく、ある程度相手のことを考えられる方のようなので、愛する人を捜して幸せな家庭が築けそうです。

あなたにとっての浮気とは、
2人でお茶する、食事をする(ランチまで) 
う、うつくしい。

あなたが出来る浮気の範囲は、このくらいのようです。
2人でボーリング。 これでもうドキドキでしょう。 
無理してすることもありませんが(笑)



 ですって。無鉄砲で誠実な男ってどんなヤツなんだ。
 心理屋さんから見れば、インチキ以外の何者でもないテストなんだけど(笑)、なかなかにこういうのって楽しいですよね。いやでも、浮気をしないっていうのは正解だと思う。友人が自分の性格について言及してたことがあったんですが、それによると自分は男と女の区別がつかないらしい。良く言えば性別によって差別することはないし、悪く言えばデリカシーがない(笑)
「ゆうの世界には二種類の人間しかいない。自分か、そうでないか」
 とまで言われました。人間としてしか認識しないってか。

 ああ、心理アセスメントもこんな簡単で楽しかったらいいのになあ……。



2005年09月15日(木)
名月

 今までに習った心理学の知識を生かし、今日から臨床心理査定の演習に入りました。心理学というより医学の印象が強かった我々心理科学専攻組もこれでやっと心理の学生らしくなります。心理といっても臨床心理や神経心理、生理心理といった医学と関連の深い心理学がメインでしたが、ここからは環境心理学だとか、グループダイナミクスだとかいう話も入ってきます。

 今日やったのは、YG性格検査と呼ばれる一般的な性格検査。
 よくテレビやインターネットなんかで見られる「心理テスト」とはえらい違いで、信頼性と妥当性がどうとか、主観性の排除だとか、z得点がどうとかやたらにめんどくさいんですが、やってみるとなかなかに楽しい。
 質問紙法を採用しているので自分で検査用紙に回答を記入して、自分で結果を解釈。
 その査定結果を報告書にまとめて提出します。

 んなわけで早速性格検査用紙にさらさらと記入していき、終わったらそれぞれの得点を計算して表にプロットし、線をひっぱってプロファイルを作成。
 それを基にして性格のタイプをいくつかに分けていきます。

 自分の結果は、何故だか「抑うつ」の尺度がMAXになりました。えらい気に入らないことでもあったのかなと自己分析しながら計算していくと、次に高い得点が「のんき」。
 いや、のんきて。鬱々しているけど本人大して気にしていないということか? パーセンタイルで言えば現在の自分より鬱屈している人が全人口の1%以内という計算になるほどやさぐれモードマックスなんですが、全人口の上位5%にはいるほどののんきさを誇っているらしい。なんのこっちゃ(笑)

 そんなわけで、全ての因子で中途半端な数値が算出されたため、性格をタイプ別に分類するのが非常に難しい。どれにも当てはまらないFタイプ(分類不能)という尺度もあるにはあるんですが、どうもBタイプが高いらしい。
 教授に訊きに行くと、典型的でないBタイプという判定を頂きました。
 じゃあ、それを元に各因子に分けて性格分析だな、はーめんどくさ、と思って、まずはBタイプとはなんぞやとマニュアルを開くと。

 「Bタイプ⇒Black list type」
  性格のアンバランスさがあるため、しばしば非行に走りやすい。

 ブラックリストて( ̄△ ̄;)
 これ間違ってるんじゃねえかと標準化されたテストに向かって文句の一つもつけてやりたい気分でしたが、よく考えると確かに問題児かもしれん。
 そういえば小学生の頃、授業中によく脱走してたな。先生に脱獄犯て言われてたし。
 性格がアンバランスだというのもなんだか納得行く気がする。
 自分は嫌というほど軽い中身の割りに、外見がめっちゃ勉強が出来そうで大人しそうな顔してるんですよ。
 きっと魂がミスって間違った身体に入ったんだよ。それのせいだ。


 検査用紙を抱えて講義室を出ると、彼女が何やらススキを大量に抱えている。
 何故だか串だんごも2パック持っていました。
 何の実験に使うんだろうかと思っていたんですが、向こうが
「今日はね、十五夜なんだよ」
 と教えてくれる。
 心を亡くすとはこういうことなのか。忙しすぎてそんなことさっぱり気がつかなかった。
 忘れちゃいけないよな、と関心していると、
「一緒に祝う?」
 と、一番長いススキを一本手渡してくれる。まあ家に帰ってカレンダー見たら十五夜じゃなかったんだけれども(笑)大事に飾っておこう。



2005年09月08日(木)
男たちの叫び

ジェンダー論の二日目。今日もディスカッションは男女別に分かれて、各ライフステージによってジェンダー差はあるのか、ということについて議論。
 この男女別、という先生の目論見はよろしくない。女子チームはいいかもしれないが、男軍団がんなことマジメにやるわけがない。
 チーム分けは無作為に抽出された5名で行うのですが、何の偶然か自分のチームは色々な意味で心理組にその名をとどろかせる、悪名名高いメンバーばかりがそろう。
 周りから「最強チーム」という称号を貰いました。

 そんな最強軍団がディスカッションしても、そもそもまとまるわけがない。
 「とりあえず発表はゆうでいんじゃね」的なノリで自分が行うことに決まったので、ほかのメンバーから意見を集め、日常生活の中で起こるジェンダー差ということについて考察していく方針にする。
 じゃ、男女差ってどんなときにあるかテキトーに言いあうべ、とあーでもないこーでもない言っているうちに、ライフステージの学童期までやっと行った所で協議の時間が終了する(駄)
 あとはゆうがノリで、とメンバーは自由放任主義の立場を取ったので、ものすごアドリブで超適当な理論を紙に書き付けていざ本番と相成る。

 スライドもパワーポイントで急遽作ったのであまり洗練されてはないんですが、タイトルは
 『ライフステージを考える 〜男たちの叫び〜』
 になりました。この時点でおまえら単位取る気があるのか的雰囲気を醸し出しているところがミソ。

「はい、では4班の発表を始めさせていただきます。我々は各ライフステージごとに社会学的な性差が存在するのかという問題について、日常生活の中から実例を挙げ、その問題点を個別に考察していくことにしました。早速ですが、次のスライドをご覧ください。まずはこの世に生を受けたとき。男女の違いによって服やベビー用品等の柄が分けられていますが、生物学的に考えれば男女で柄を分ける理由はどこにもないのです。例えば色で言えば男子が青などの寒色系、女子は赤やピンク等の暖色系ですし、柄も男子であればアンパンマン、女子はキティちゃんなどと分けられています。このように生まれた時点から、周りの人間の社会学的な性差に基づく環境統制が本人の意思に関係なく行われていくことにより、男子、女子ともにその性別に期待される役割を身につけられるようにと訓練されていくものと考えられます。」

 と、ここまでは比較的まとも。

「しかし、それはそれでいいのでしょうか。もしかしたら赤ちゃんは、「オレはキティちゃんが好きなんだ!」と訴えているのかもしれない。この時点から、個性を否定し、集団の中に埋没させんとする日本の悪しき教育が始まっているのではないか。なぜ、男はアンパンマンと決められているのか! 色や柄の好みは性別ではなく、個体差だ! 個性を尊重すべきだ!」

 と、だんだん言っていることがラリってきます。

「学童期に入ると、男子は外で遊び、女子は屋内での遊びと次第に男女が明確に分かれてきます。しかし! 雨の日など、外で遊べないときにはどうしても男子も屋内に入らざるを得ない。こんなとき、廊下でボール遊びなんかして間違って女子に当たったりすると、ケンカになるわけです。だが、ここで問題が生じるわけです。なぜか日本教育は伝統的に、ケンカは男子が悪いという決め付けがある。ケンカの理由は二の次に、まずは男は女子をいじめるなと刷り込まれていくわけです。これは男女差別以外の何者でもない。小学生時分は明らかに女子のほうがデカくて強い! これは正当防衛なのだ!!」

 と、こぶしも入ってきまして、

「昔は技術という科目は男子のみ、家庭という科目は女子のみが受けるとされてきました。これは近年改正され、今では男女差なく両方の科目を生活一般として履修しています。これはいい。しかし、体育の時間では学校によって男子は柔道、女子は新体操といった差別が起こってきます。みなさん、よく考えてください。男がブン投げられたり首絞められたりして、それこそ命がけで授業を受けている間、女子はダンスなんていう粋なことをしてキャピキャピ楽しんでいるわけです。これは倫理的に許される問題なのか!」

 と、教育委員会に恨みがあるかのような演説をし、

「体育前後の着替えもそうだ! 女子は専用の更衣室が用意されるのに対し、男子はなぜか教室で着替えろなどといわれる。男なら裸を見られてもいいのか! 女子には男の裸をみる権利があるというのか! これは、男子に対する冒涜だ! 社会生活に移行した場合も同じことが言えます。男子風呂や男子トイレには、なぜか決まっておばちゃんが掃除に来る。これはなぜか! 女子のほうにおじさんが入っていくことはない。それなのに、男子のほうには、男同士が裸で語らういわば聖域に、堂々とおばちゃんというストレンジャーが侵入してくるのであります。これに対し我々男子は断固として反対し、男子の権利を主張するとともに、我々の最後の砦、男子トイレと男子風呂を守るべきである!」

 と、しまいには女子に対して宣戦布告をしてみたり、

「男子に対する偏見はまだある。例えば、女子が男の服を着たとき。これは周りから「ボーイッシュだね」などと評価される。だが逆はどうか。男が女の服を着たとき、これは明らかに批判の対象である。場合によっては反社会的な行動として排除されるシステムまでもが社会の中に形成されているのである。これは許されることなのか。オレにもスカートはかせろと!」

 と、もう何を主張したいんだかよくわからない発表をしました。最後の主張は正しくない(美意識の生物学的性差)んですけど、そこはノリで(笑)
 正直学童期までが話し合った内容なので、それ以降はその場の思いつきで、女の不倫は法律上不貞行為に該当するが男子に同法の適用はないとか、育児には女性のほうが積極的に関わるということについての研究論文だとか、急にマジメな話をして、最後のまとめとしては、ジェンダー論=女性論になってはいないだろうか、女性の権利が見直されてきた現状があるが、男性の権利をないがしろにすることがジェンダーフリーといえるのかどうか、男性の立場から考察させていただいたともっともらしくゴマかしておきました(駄)

 発表が終わるとコメンテータからの質疑応答があります。
 我々の班にコメントするのは誰かなと思ってちらっと視線をやると、僕の彼女( ̄Д ̄;)
「えーっと、ゆうさんは、スカートがはきたいんですか……?」
 とものすごく控えめに質問してきました。そんな彼女に「男の浪漫です」と答える彼氏。うんざりする彼女(駄)
 もうどうでもよくなったので「まずは我が医大でスカートをはく男たちの同盟を作るべきでしょう」などとべらぼうなことを言いまくりました。嫌な医大ができるぞ。
 ちょうど我々の発表の後、10分間の休憩時間が取られました。
 男子トイレに行ったらその場の全員から英雄扱いされました(笑)
 自分の席に戻ると、同じく戻ってきた彼女からは
「女の子にいじめられるあなたの日ごろの恨みがこもった演説ね」
 と評価され、F女王からは
「あんた政治家になるべきよ」
 と色々。

 一番気になるのは教授様の評価です。他の班がすごいマジメな発表をしてる(当たり前)から殺されるんじゃねえかと今更ドキドキする不届きモノだったのですが、最後のまとめのところで教授が開口一番。
「今日の発表で一番よかったのは6班。その次が4班です。4班は独自の切り口で大変に素晴らしい発表でしたね」
 と何やら褒められる(^^;
 ほかの班が女性の権利をどうのこうのと言うなかで一つだけ男性のほうに焦点を当てたということと、ジェンダー論=女性論の指摘が高評価だったらしい。思いついてよかった(駄)
 授業が終わった後、教授が自分のところに来て、
「スカート同盟、私も応援しますから頑張ってください」
 とやたら激励される。一体僕は何をしに大学に来ているのか。



2005年09月07日(水)
酒と涙と男と女と社会学。

 今は台風の目のようで大変静かなのですが、今日は酷い雨でした。
 そんなわけで大学の講義も早めに切り上げてさっさと帰ることに。んで、ちょっと調べ物に飽きたので日記でも書いてます(駄)

 最近、自分の中で社会学が熱い。とうとう夏休みも終わってしまった今、大学では『ジェンダー論』という集中講義を受けています。2時限目から5時限目までぶっ通しの非常にきつい授業なのですが、社会学の中の一分野で主に社会学的性別差(例えば男性は働き、女性は家を守るというような性差)について論じる学問。流石に医学校ですから、生物学的な基礎を持つもの(解剖学的な構造の違い)として論じられています。その基礎である社会学の知識を得ようと友人と図書室から関係のありそうな本をかっさらってきて勉強していたわけですが、その社会学の中に「恋愛の社会学」というタイトルがありました。その中に
『恋愛は論じるものではなく、するものだ』
という名言を発見。さっそく「恋愛は暇人がするものだ」と言ってはばからない恋愛恐怖症患者のS田にこの名言を教えてあげました。「恋愛とは条件付けである」と言う徹底的な行動主義論者のT君と一緒に『恋愛は実証科学だ、実験が第一だ』と爆撃。お前らなんなんだとキレてました(笑)心理専攻組には色んな立場から研究しているやつがいるから議論が白熱しておもしろい。
 そんなこんなで勉強してるんだか遊んでるんだかわからない最近ですが、今日はマジメに前日の講義とグループワークの結果を踏まえて発表を行ったのです。テーマは『家事労働を考える』。アホなゆうさんはまたもやこの発表会の総合司会を担当することになったわけですが、コレがまたなかなか興味深い発表会でした。

 我々のグループでは、友人がなかなかに興味深いデータを引っ張ってきたので、それを活用することになりました。もし、主婦が職業だとしたら一体幾らの金額が支払われるか、ということを統計学的に調査。その結果、主婦、という職業は平均年収300万ほどの価値をもつ労働を行っているのだ。そんじょそこらのバイトより良い金額出てます。ところが実際に、家事労働に対して対価が支払われるわけではありません。この事を「Unpaid Work」(報酬なき労働)と言いますが、この無報酬労働に従事するのが日本国内では女性が圧倒的に多い。統計学的に見ても有意差(意味のある差)が認められますが、これは女性が家事労働向きだという結果なのか、ということについて論じるという、なんだか難しげに見えて簡単そうな、でも難しいどっちだよ的な発表会です。


 生物学的に見れば、育児には女性が必ず必要です。どこからを“育児"と定義するのか、僕は専門家ではないのでわかりませんが、妊娠から出産の10ヶ月10日は女性が担わなければならない役割です。医学的な研究論文からも、男性は子供を生み育てることができるかということについて、着床はしても流産か、着床後に消滅してしまうことが結論づけられています。それに、離乳食に移行する前は母乳を必要としますし、これは男性には担えない役割です。そりゃ、大手術でもすればできるかもしれないけど(^^;

 しかし、他の家事労働について生物学的見地からはどうか。これについては全く性差はないと考えられます。例えば介護現場で、同性でなければわからない痛み、苦しみがあったり、所謂下の世話や入浴時には不都合が生じるかもしれません。しかしそれを除いたとしても日常生活の中で、男でなければ、また女でなければ出来ないことなどあるでしょうか。育児だって、離乳してしまえば父親だけだって十分に育つんです。言ってしまえば遺伝的に繋がっている親じゃない赤の他人が育てたって何の問題もなく育つ。僕は発達行動学も発達心理学も専門ではないので詳しくはわかりませんが、よく育児現場では「母性」という言葉が強調されますけれども、医学的にも心理学的にも、必ず母親がいなければならないわけではないんです。育児に母親は欠かせないとする考え方を「母性神話」と言います。
 他にも例えば食事一つとっても、お母さんが作るのが当たり前になっている現代ですが、純粋に生物学的な見方だけすれば、個体差があるにしろ料理は男性のほうが向いているんです。なぜか。少しアレな話ですが、女性には生理というものがあります。この生理の前後で身体が求める栄養素が変動するため、女性の味覚というのが本人は意識しないレベルかもしれませんが、ガラリと変わります。そのためいつもより味付けが塩っぽくなったり、薄くなったりと味にバラつきが出てしまいます。一流コックに女性がいないのはそのためです。

 じゃ、生物学的に見れば男女カンケーないってことで、では終わらないのが現実の問題。そこで登場するのが社会学、という学問です。どこの先生が言っていたか忘れましたが、社会学と言うのは、普段目にする「当たり前」のことを、まるで異邦人のように立ち止まって考える感性を身につけるための学問領域。社会学の中では「お母さん、お弁当まだ?」が「当たり前」ではないのだ。

 歴史的に、その身体の解剖学的な構造の違いから、文明の曙の時代には、男性は狩猟に従事し、女性は家事労働というスタイルがとられてきました。それに対して何の疑問も抱かないままに時代は進んでいきました。ところが、文明が進歩するにつれて、必ずしも生物学的に「男は仕事、女は家庭」ではなくてもよくなってきたんです。だがその社会システムが修正されないままに現代まで来てしまった。そんな訳でいまだに「お母さんが家事をする」という“常識”が出来上がってしまって払拭されずにいるのです。
 生物学的な縛りもあります。女性が出産する場合、どうしても「産休」というのを取らなくてはなりません。出産が終わり、ある程度育児も終えて保育園などに送り出し、社会復帰しようと会社に戻ってきた場合、そこに彼女の席はないのです。仕事内容によっては復帰の可能性も考えられますが、例えば時代の先端を行くような企業の場合、長期休暇は致命傷になります。戻ってきたときそこに見知った風景はなく、また1からやりなおし。そんな社員を会社は雇っておくのかという問題。
 最近では男性の育児休暇を認める風潮もありますが、男性にとってもそれは同じことです。休暇を終えて帰ってきた頃には、部下に仕事を教えてもらうことになっていたりする。自分の抜けた穴をまわりがフォローしなければならず、余計な負担をかけさせてしまうことになる。仕事がそれで廻らなければ、代役をいれ、本人が帰って来たらお前なんていらないよ、と一蹴されてしまうケースだってあります。
 これについて男性は女性よりも平均寿命が5年短いという結果からも推測できるでしょう。5年という期間が統計学的に有意な差を持つのかどうかという結論をつけるにはデータが足りないのであくまで仮説ですが、こうした就労に関するストレスの多さが男性に重くのしかかり、平均寿命が5年短縮されているのかもしれない。その考えで行くと、日本の女性は世界一平均寿命が長い。食生活や人種など色んな変数は考えられますが、もしかしたら日本女性は世界で一番ストレスを感じなくてもいい幸せな人たちなのかもしれませんし、それだけ女性の社会進出が遅れている何よりの指標なのかもしれない。

 価値観は世代ごとに急激に変化します。昔にはありえなかった「主夫」という考え方が社会的に認知されるようになってきている。それを上の世代にどう伝えていくかが重要です。「お母さんが家事をする」なんて「当たり前」ではない。偉大な親に感謝しましょう、ということで。

 まあ、授業時間内だけで考えたことだから掘り下げが浅いんですが、(日本人の「和」の心なんかも絡んでくると思うし)そんなようなことを発表しました。文面だけ見てるとカッコよさげですが、実際に質疑応答に入ったら

Q「男女平等に家事をする、という考え方では外での仕事量が統計的に多い男性が不利ではありませんか?」
A「そこは愛でカバーします」

Q「共働きの家庭では家事がおろそかになりませんか?」
A「明日やればいんじゃね?」

 という超適当な応答でしたが(駄)
 総合司会も特に困ることなく進みました。なかなか頭使うなあ。知恵熱出るよ。



2005年09月01日(木)
翼の王国

 ANAの機内に『翼の王国』という雑誌が座席に備えられているんですが、なんだか知らないがこの雑誌がえらく気に入っています。格調高い文章で綴られる記事は旅という非日常性を実にうまく表現している。日常的な話題が極力出ないように編集されているので、読者を一気に旅の世界へと誘うのです。雑誌全体が上品な仕上がりになっています。内容も国内外の旅の記録が綴られていて、読んでいて非常に興味深い。
 そんなわけで雑誌なんて読まないから他のものがどうかじっくり読んだことがないので知りませんが、コレだけは読みたい、と思えた雑誌で飛行機に乗ると必ず読んでいます。今もちょっとANAへ就職を考えているくらい全日空ファンなんです(笑)
 でも、読むためにはいちいち飛行機に乗らなきゃいけないのかな、と思っていたらばANAのHPで発見した定期購読のお申し込み。
もうその場で速攻電話。速攻定期購読の年契約。

 んで、今日その雑誌が届きました。8月号と9月号がセット。8月号は東京旅行の帰りに機内で彼女と読みましたが、奇石(チーシィ)という、変わった石の特集記事が秀逸でおもしろかった。9月号は「ほがらかなドイツ」という特集。
 元々旅好きだから、こういう旅行記っていうのは興味深くておもしろい。家にいながらにして世界が見える気がして、教養も身につくし。1年間の契約で4500円也。オススメです。是非、ってなんで僕は宣伝しているんだろう。