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2014年12月15日(月) |
リジリアンスを育てよう |
もうすぐ訳本が出ます。カナダのソーシャルワークの専門家マイケル・ウンガーによるもので日本語題は「リジリアンスを育てよう:危機にある若者たちとの対話を進める6つの戦略」です。原著名は"Strengths-Based Counseling With At-Risk Youth”ですので、そのまま訳すると、危機にある若者たちとのストレングスにもとづくカウンセリングとなりますが、本書で実際の内容は、いわゆる非行少年、不良少年、やんちゃ、ワルetcのリジリアンスを高めることができるのかという問題意識にもとづいて書かれています。
「非行」がキーワードとはいっても、彼(女)がいかに更生できるのかといった、ありきたりの立論ではなく、非行にはしる少年の健康をどうとりもどすことができるのかというところに力点がおかれているのがウンガーの特徴だと思います。非行にはしる少年たちは逆境とリスクにさらされて生きていることが多い。そういう彼らが、健康にむかうためにとる道筋といったものは、常識的には考えられないようなものにならざるをえない。ときには、それは非行そのものである場合もある。彼(女)に、よりましな選択肢を提供することが、結果的に彼(女)の立ち直りにむすびついていく。若者のやることを、禁止するのではなく、代替案を提供するべきだというのがウンガーの主張です。
さて、ウンガーは博覧強記、多才な人で、読者層におうじていろいろな本を書いています。彼が著した"The social worker"はカナダでベストセラーの小説です。この本は実践者や一般向けに書かれたものです。日本では研究者が中心になっちゃうかもしれませんが、学校関係者など、若者にかかわる多くの人に是非手にとっていただきたいです。
ちなみにウンガーは来日したときの講演では、individualy focused interventionをvery uncoolとし、ソーシャルワークこそがリジリアンスを育てるんだといってます。ここでの個人に焦点づけられた介入というのは、心理学的介入のことを暗に指しているのは明らかです。そういう本を心理学者が訳するのは屈折しているようにも思えるかもしれません。自分自身、自分が心理学的な関わりを行っているのかどうかもよくわからなくなってますが、とりあえず、ウンガーの考え方はcoolだと思っているのは確かなのです。
ぜひご一読ください!
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========================================= マイケル・ウンガー著/松嶋秀明,奥野 光,小森康永訳 「リジリアンスを育てよう:危機にある若者たちとの対話を進める6つの戦略」 A5判 208頁 定価(本体2,600円+税) 2015年1月刊
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