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2008年07月12日(土) |
第7回「ナラティブと臨床」研究会のお知らせ |
みなさま長らくお待たせしました。このたび次回研究会の日程と内容がようやく決まりましたのでお知らせします。時間がずいぶんとたってしまいましたので「あの会はどうしたの」とご心配をおかけした皆様、申し訳ありません。
さて、今回は、滋賀県立大学の細馬先生の話題提供をお願いします。細馬先生は、ジェスチャー分析をご専門にしておられまして、コンマ何秒かのあいだにおこる身体動作から、私たちが意識せずにやっているコミュニケーションの仕組みについて解明されています。また、近年は認知症患者や高齢者への回想法、グループホームでの参与観察なども行っておられます。当日は、こういった調査から得られたデータについてもふれていただける予定です。
「ナラティブセラピー」や、それを理論的にささえる「社会構成主義的な認識論」は、言葉の力を大きくとらえています。しかし、どんな言葉も真空に存在するわけではなく、それが埋め込まれた文脈、相互作用に参与する人々の身体動作によってつくられる制約のなかではじめて意味をもつものだともいえます。言葉と、それがうまれる身体動作、文脈への注目は、思弁的になりやすいナラティブ理論と、実践とを架橋する際にとても重要な役割を果たすかもしれないと私は思っています。その意味で、今回のご発表は大変楽しみだと想います。みなさま、是非、ご参集くださり議論を深めていきましょう。
日時:2008年9月27日(土) 17:30-19:30 話題提供者:細馬宏通氏(滋賀県立大学人間文化学部) 演題:「ことばの淀みと動作の淀み ー発語とジェスチャーの個人間相互作用ー」
【要旨】 フロイトは「精神分析入門」で、ことばの言い間違いに代表される「しくじり行為」を「二つの互いに異なる意向の干渉」の産物と考えた上で、「二つの意向のうちの一つは他の意向を妨害することを通して姿を現すために、その遂行に一種の抑制を受けた」結果である)ことに注意している。 しかし、日常会話の言い淀みや言い間違いを観察していると、心と行為間の関係というよりは、ことばと身体動作間の関係として記述できるものが散見される。たとえば: ある種の言い間違いには、発語単独ではなく、身体動作を伴って起こる。 言い直しのタイミングと身体動作の調節はマイクロ秒単位で同期している。 動作に同期させるために発語の「言い直し」が起こる事例がある一方で、発語に同期させるために動作の「やり直し」が起こる事例がある。 さらに、こうした「言い直し」「やり直し」は必ずしも個人内で閉じているわけではない。動作の停滞ややり直しのタイミング、あるいは停滞後の再開のタイミングは、他の参与者の発語の影響を受けることが多い。 本発表では、こうした事例を実際に検討しながら、「言い淀み」「言い間違い」を、個人内における心的過程と発語との関係としてではなく、個人間における発語とジェスチャーとの関係として捉え直すことを試みる。
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